柔整ホットニュース

特集

これからの日本の医療と保険制度

2010/10/16
エピローグ

以上です。

一連の経過の中で、私は何度か重要な選択を迫られました。その判断が果たして正しかったのかどうか、私にもまだわかりません。でもそれは、何と言ってもAさんが本当に幸せになれたかどうか、最終的に身体的にも精神的にもいい状態となって、当院に来て良かったと心から思ってくださるかどうか、それによって決まってくるのだと思います。

答えはまだですが、一つだけ自分自身で確信が持てる小さなことがあります。それは、すべての場面において、どの選択をするべきかを判断する時に、毎回私自身の内なる声、いわば良心に問いながらそれを行ってきたということです。良心という表現はわかりづらいかもしれませんが、言い換えれば自分自身の中心軸に心を向けた、ということです。

しかし良心は、向かうべき方向を示してくれても、具体的な答えを出してくれるものではありません。心を集中させて何とかその声をとらえることができたとしても、その後具体的にどういう行動を取るべきなのかは、自分自身の頭で考えて判断していかなくてはなりません。

私自身の頭はまだ未熟で、独りよがりだったり、とんでもない思い違いをしていたり、浅はかだったり、知識不足だったり、要するにまだまだ不完全な代物です。ちなみにこれは私に限らず、言ってしまえばどんなに偉い人だって、今この世に生きている人々の中に、“不完全でない人”というのはいないのではないでしょうか?
“完全な人”がもしもいたとしたら、その人は“神様”ってことになってしまいますものね。

 

さて、では不完全な私たちが、“正しい判断”をしていくためには何が必要なのでしょうか。

私は、正しい判断を行っていく上で身につけておきたい“資質”として、まず大切なのは次に示す10のカテゴリーの中の28の要素だと考えています。

「素直さ」、「誠実さ」、「真摯さ」、「向上心」。
「観察力」、「分析力」、「想像力」、「探究心」。
「ものごとをプラスに考える力」、「ものごとの最悪を想定する力」、「ものごとを公正に見る力」。
「責任感」、「忍耐力」、「逃げ出さない覚悟」、「決してあきらめない心」。
「立ち向かう勇気」。
「感謝の心」、「人を愛する心」、「自分自身を愛する心」、「人に共感する力」、「明るさ」、「無邪気さ」。
「自らの間違えを認める力」、「謙虚さ」、「自らの力の限界を知る力、そして、あきらめる力」。
「工夫する力」。
「希望を持つ心」、「人生を楽しむ心」、「楽観性」。
“よき”「習慣」。

 

そして、正しい判断力を“醸成”してくれるのが、「努力」と「知識」と「経験」。

判断の向かうべき“方向性”を示してくれるのが、「感性」と「良心」。

最後に、判断を“実行する原動力”となるのが、「情熱」。

 

自分自身が幸せになるのも、家族を幸せにするのも、社会の人々の幸せに何らかのお役に立って行くのも、「“その時”自分自身がどういう選択をするか」ということにかかってきます。
“選択を迫られた場面においての正しい判断”。
この積み重ねが、幸せという結果を形作っていくと言えるのかもしれません。

 

しかし、もう一歩踏み込んでお話しますと、「では正しい判断というものがすべてなのか」と言うと、実はそうは思っていません。“正しい判断”が必ず幸せを導くとも思っていません。それが逆に、考えてもみなかった不幸せを導いてしまうことだってあると思っています。
それはどういうことでしょう。