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米田柔整専門学校創立50周年記念事業セミナー開催!

2011/02/16

松岡(司会):
フランスでは柔道人口が日本の柔道人口の3倍であると聞きますが、日本とは何が違うのでしょうか?

二村
はじめに米田忠正先生から話がありましたように、最近怪我のことが随分問題になっています。フランスは柔道人口が日本の約3倍で、60万人をちょっと切ります。国の人口が約6千万人ですから100人に1人が柔道をやっている訳です。一つは、子どもさんが非常に多い。約50%が11歳以下で、高校生まで入れると大体85%位。フランスでは高校でやめる人が大変多く、社会人になってから又入る。フランスに行く度にあちこち道場を廻って教え方を見てきました。(画面にフランスの柔道場の映像が映し出される)これはボルドーの体育館で教えているところで、父兄の方がちゃんと見ている。何が違うかというと大変楽しくやっているということ。非常に注意深く、怪我をしないように指導者が配慮しながらやっているところが日本とちょっと違うと思いました。ただ、どうしてこんなに多くの子どもが柔道を習うのかを一番知りたかった。体育館の壁には柔道を習っていく過程が貼ってあり、子ども達はパスポート(小さな冊子)を持っていて、レッスンを受けると印鑑を押してもらう。それが貯まると帯が変わって所謂上がっていく。親御さんがどうしてこんなに熱心か。親御さんが子どもに柔道を教えたがる気持ちは、子どもの教育のために柔道をやらせるというのが非常に強い。柔道を習わせる切っ掛けは、精神的にいろんなものが学べる。誠意、名誉、友情、自制心、相手を尊敬する気持ちを養う、謙虚になる気持ちを養う、勇気を持つ、礼儀。練習の時も、最初と最後の礼をする、相手に頭を下げる、非常に厳しく日本の教え方と随分違うと思いました。一昨年の1月の終わりにフランスの柔道連盟の鏡開きがあり、偶然パリに居たので見にいきました。非常に厳かで、日本の武道の伝統を必死で守ろうという気持ちがひしひしと伝わってきました。日本の古い伝統が会場中に溢れていました。鏡開きの時に昇段の式典があり、新しく昇段された方に賞状と新しい帯を渡す儀式があり、日本の伝統を、フランスの人が一生懸命守って伝えていこうという気持ちが、日本人より強いのではないかと思いました。

松岡(司会):
今回のセミナーのテーマは〝ケガをしない・させない〟ですが、フランスでのケガはどうなのですか?

二村
柔道事故のことが、今凄く問題になっており、誰も信じられないような数字が去年発表されました。27年間に108人、子どもさんが亡くなっている。1年間に4人。聞く耳を疑うくらい多くの子どもさんが日本で亡くなっている。初心者が多い。これは他のスポーツでは考えられない数字です。フランスのデータも調べてもらったが、1人もいないと本当に驚いてコメントをいただきました。子どもを教える時に何が大事か、日本と違うことは必ずパートナーを作って、触れ合って、受身を覚える。バックにいろんな精神がある。パートナーとスキンシップを養うということが1つ。畳と接触する時の感覚を覚える。相手と接触する時の感覚を覚える。これが教える時の基本的な精神のようです。頭を支えながらコロっと滑り落ちながら受身をやるということ。仲間達に帯を引っ張ってもらって、そーっと後ろに行ってポロっと倒れて後方受身です。常に仲間を作って一緒にやるという教え方で、これが違うところかなと思いました。いずれにしても日本だけがどうしてこんなに死亡事故が多いのかということは、全柔連では緊急事態としてこの1年間努力をして、特に「急性くも膜下出血」という脳みその外側の出血が急に起こるという事故が多いが、これは頭を打ってもなる、打たなくてもなる、研究も進んでいます。今日の資料にパンフレットを入れました。実は先週の土曜日に委員会でコンセンサスが得られたところです。これを全柔連の柔道の安全指導の中に3月には入れてもらうようなプロセスで進んでいます。この場に柔道の指導者が沢山おられますが、絶対に子どもにケガをさせないということ、小学校1年、中学校1年、高校1年という初心者が非常に多いので、是非気をつけてやっていただきたい。講習会をいろいろやっていく予定です。

松岡(司会):
2012年からは中学校で武道が必修化ということで、もう直ぐですし、ケガをささないような教え方が大事になってくる訳ですね。

二村
中学校で教えるのですが、中学校の先生の中で、柔道経験者が本当に少ない。教える人が経験していない。これを何とかしなくてはいけないなと。