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特集

「柔道整復の歴史的背景からみる傷病名(負傷名)見直しの
必要性」(上)

2011/12/06

明治国際医療大学 長尾 淳彦
日本整復師会   田中威勢夫

柔道整復師の施術に係る療養費の請求で問題とされるものの一つに「変形性の関節症や慢性の腰痛、五十肩を捻挫や挫傷などに替えて請求している」というものがある。慢性の腰痛や五十肩はいわゆる俗称であり、傷病名(負傷名)ではない。痛みを訴える患者さんが自己診断でそう言ったり判断されていることが多い。柔道整復師はその「発生機転」や「特有の症状」などから「傷病名(負傷名)」を決定する。不正・不当に捻挫や挫傷などに振り替えているわけではない。

もう一つの問題は、適正・的確な「傷病名(負傷名)」の確立である。後述するが「急性」「亜急性」とはどのような意味かを柔道整復業界以外の人に的確に説明できる人はほとんどいないと思う。医学・医療は日進月歩であり、一日も早い適正で的確な「傷病名(負傷名)」の確立が必要である。学術論文を書くときの用語は医学用語集や整形外科学用語集に準拠し、養成校の教育現場では柔道整復学校協会の教科書掲載の用語が使われている。統一すべき大事な問題である。

話を療養費の請求に戻す。

柔道整復師の療養費の支給基準に則しての傷病名(負傷名)の決定は、発生機転と負傷部位により行われる。

(例)
転倒して右肘を打って痛めた=右肘部打撲
サッカーの練習で凹面のグランドで左足を捻じった=左足関節捻挫
陸上競技の練習でダッシュをして右ふくらはぎを過伸長して痛める=右下腿部挫傷

 

柔道整復師の業務範囲は柔道整復師法では

第4章 業務
(業務の禁止)
第15条
医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なってはならない。

(外科手術、薬品投与等の禁止)
第16条
柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。

(施術の制限)
第17条
柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

 

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