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患者代表インタビュー 『患者と柔整師の会  菅道子  氏』

2014/06/01

2010年、『患者と柔整師の会』が設立され、その活動が4年目に入った。これまで保険者をはじめ多くの方々に国民の声を伝えてきた。この度、インタビューした菅道子さんは接骨院の患者さんではあるが、マッサージ師でもある。

菅さんに、接骨院本来の役割から看取りの話まで、そして今後の日本社会がこうあって欲しい、日本国民は今後こうあるべきではないかという、まさに深くて尊い国民の真の声を代弁していただいた。

 

地域住民の健康と生活を支えてこられた柔道整復師の業務内容と役割を今一度見直して頂きたい!!
菅道子氏

患者と柔整師の会   
菅  道子   氏

 

―菅道子さんが『患者と柔整師の会』に入られたのは、何時頃でしょうか?

『患者と柔整師の会』があることを知ったのは、去年の暮だったと思います。パンフレットを見て、これは入らなきゃいけないと思いました。それで今年になって入りました。ガイドライン委員会に出席するようになりまして、3回出席しました。柔道整復師の治療に健康保険適用がされてやっていけるためには、相当なことを切り替えないとダメじゃないかと思っています。高齢化や医療費の巨大化等の問題をかかえる中で日本の伝統に根ざしたこういう医療の役割は重要だと思います。

ただ、お金や物中心に動く世の中の流れではダメになってしまうのではと危機感を持っています。

 

―道子さんが接骨院にかかられた経験など教えてください。

接骨院にかかった経緯はもう30年になります。私は、先天性股関節脱臼で生まれていて、今は杖がなくても歩けるんですけど長く歩く時には一応杖を持っています。赤ちゃんの時に東京の整形外科で治療を受け半年くらいギプスをかけて、それから半年ほど、母がマッサージに通って、なんとか治ったんです。一応治ったということで、子どもの頃は特別支障なく育ったんですが、20歳頃にスキーをやっていて、どうも右のターンが上手く出来ないということで気が付いて、大学病院で検査を受けたところ、変形性の股関節症という診断所見で〝遠からず痛みが出るでしょう〟と、言われました。その後、やはり痛みが出てきて〝子供産むなら早いほうが良いですよ〟とお医者さんが言われるように、痛みがどんどん酷くなっていきました。当時、私は大学の職員で勤務していましたが、勤めの行き帰りも大変になり、出産した後にガクンと痛くなって、その時にはそれこそ鍼灸やマッサージなどいろんな施術を受けました。大学病院にも慶応と医科歯科大と女子医大の3軒に行きました。それで、とても評判の良い女子医大の先生に執刀をお願いして手術の予約をしていたんですが、丁度、その時に接骨院に行くことになりました。というのは、勤務先の大学で同僚の弟さんが交通事故で股関節がすっかり壊死してしまわれて、手術をして、装具をつけて一生地面に足をついちゃいけないという状態だったそうです。それが接骨院の先生の所でちゃんと歩けるようになったということを聞きました。その同僚が〝手術をするのも良いだろうけど、切る前に一度だまされたと思って行ってみたら〟と連れて行ってくれたのが切っ掛けです。とても流行っている大学病院の手術待ちは3か月で、その時私は杖がないと歩けないような状態だったんですけど、その間に痛みなく歩けるようになりました。それはとても不思議な体験で、人間の痛みは単純なものではないなと思いました。それから手術をキャンセルして今に至っています。

 

―その接骨院にはどの位通われたのでしょうか?また治療はどんな治療を受けられましたか?

接骨院が遠方でしたから週末に通いました。電気治療などもありましたが手技中心でした。私はカイロとかいろんなものを受けていて、良いなと思うことも時々あったんですけど、その接骨院で1回受けたら何かが違っていたんです。なんにも大したことをする訳ではないんですが、背筋がシャンと伸びたような不思議な感じがして、通っている内に大分良くなって、それで面白くなって頼もしく思いました。2か月位経った頃に手術をやめようと決めました。私の場合、子供のころからですから慢性もいいところで(笑)。それなので私の話はJBさんの活動等にあまり役に立つ話ではないかもしれません。痛みは怪我と関係があるかどうかも分りません。もしかして出産の時にはずれたんじゃないかとお医者さんに言われました。歩きだすまで母は気がつかなくて、ヨチヨチ歩きで、お爺さんが〝ちょっとおかしいよ〟と気が付いてくれたそうです。その後、歩行器で歩いていた時に縁側から落ちて、一日中泣いていたことがあったそうです。だから母はその時に外れたんじゃないかと思ったそうです。そうであれば怪我が原因である可能性はあると。

日本の伝統的な柔整師さんというのは、脱臼や骨折だけでなく色々な痛みを治したみたいですね。大勢の人を診ますからそういう意味では経験からの判断もできますし、あと柔道をやっているため身体に関して物凄く直観的なものを持ってらっしゃいます。そういった直観的な指導力というものが備わっているため、お医者さんとは違った指導ができると思います。

 

―道子さんから見て、整形外科と接骨院の違いはなんでしょうか?患者さんから見て両者のメリット、デメリットなど教えてください。

様々な違いがあると思います。基本的には整形外科というのは現代の西洋医学で、私のイメージとしては接骨院というのはどちらかというと東洋的な怪我の治し方であると思うんですね。多分実際は西洋医学の教育しか受けていない先生たちがいるから、現代の新しく出来た接骨院は、違うのかもしれません。ただ、私の思っている伝統的な骨接ぎのイメージというのは、どちらかというと東洋医学だと思います。柔道が必須科目になっていることからも、体を理屈ではなく手で感じられる人が行うものであると思っています。ですから治し方も昔ながらのやり方で、レントゲンも使わず、しかも薬や注射や手術をせずに「人」を五感で診てくれる、そういった違いがあると思います。お医者さんでは責任も大きく、現代の科学で証明できる理論や体系、常識に基づく治療をするので、手術をすすめられることになるような骨折や関節の変形も、接骨院で手術なしで治ることもあるのです。未来の科学では証明できるようになるかもしれませんが・・・、それぐらい人間の治る力って未知で、そして治療はもっと未知かもしれませんが、お互いの気の合い方とか信頼関係だとか、心を開いているか閉じているかということもきっと関係があるのでしょうね。

 

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