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東日本大震災を決して忘れない 、忘れてはならない!

2014/04/16

-復旧から再生・そして課題-

震災の発生から3年が過ぎました。宮城県の10年にわたる震災復興計画では当初の3年間を「復旧期」、続く4年間を「再生期」、最後の3年間を「発展期」としています。

復興については物質的な側面と心理的な部分の観点から考えなければならないと思います。復興庁の災害に対する復旧事業は社会基盤関連の土木建設工事ラッシュを呈しており、崩壊した地域経済や仕事を失った被災者の生活再建を牽引する役割を担っています。しかしながら、被災3県では未だに約26万7千人が避難生活を強いられ、宮城県では、約9万人の方々が仮設住宅などの劣悪で不便な生活環境下にあります。3年経過時点のプレハブ仮設住宅の入居率は84%と、阪神淡路大震災の50%に比べると住宅を基本とする暮らしの再建の遅れが目立っています。これは津波の被害に地盤の沈下も加わったため、沿岸地域の地盤のかさ上げや高台への移転計画が遅々として進まないことが原因と考えられます。工事や用地の取得の遅れだけではなく、住民の合意形成が思うように得られず計画が進まないことが問題になっています。

被災地の再生計画がなかなか進展しないこともあり、経済的な復興を早く遂げつつある方や、労働環境に恵まれて適応力のある若い世代は、被災地を離れて新しい環境を確立して生活し始めています。その反面、労働環境に恵まれず経済的になかなか再建できない方や、年齢や体力的に制約をもつ方。また、震災で地域のコミュニティーが崩壊し長期間の孤立した避難生活により社会的な不安感や意欲の低下などが影響して生活が不活発状態となり運動機能の低下を招く方。家族を亡くすなどの非常に大きな心理的傷害を受けた方においては、社会とのコミュニケーションが減少し引きこもり傾向から抑うつ状態となり精神機能の障害をかかえ、多重の困難に喘いでいる方々が数多くいらっしゃいます。

また、最近の調査では、津波による被害を受けた地域の再開発整備が進まないことや災害公営住宅の完成が進まないために生活の再建が遅れ、仮設住宅での生活から抜け出せずに時間が経過してしまい意欲が低下の一途をたどり目標を見失って、仮設住宅を出ることができずに将来設計が立たない方々が顕在化してきています。特にこの傾向は高齢になるほど高くなっています。

 

-大規模災害時の柔道整復師としての取組-

宮城県柔道整復師会は震災当初、それぞれの会員が甚大な被害を受けながらも震災直後から自発的に、柔道整復師の本業を生かして救護や救援ボランティアを行いました。そして当会SVM(接骨院ボランティア宮城)災害対策本部が立ち上げられてからは、県や市区町村、日赤と連携し組織的に活動を行い、一次医療救護からはじまり、避難生活の長期化により発生するエコノミー症候群や廃用症候群の予防、健康相談支援など、幅広い支援活動を展開しました。また、日本柔道整復師会本部や全国の社団柔道整復師会からは心強いご支援をいただき、全国から駆けつけてくれた同志が被災地の避難所で力強い支援を行ってくださいました。

このような柔道整復師の活動が認められた結果、宮城県との間で大規模災害時の医療救護活動に関する協力協定を締結することとなりました。これは、柔道整復師が行う医療救護が災害医療行政に組み込まれ、県民の生命の安全と健康の一翼を担う重大な役割を負うことでもあり、高い評価と期待を受けたことの重責をひしひしと感じている次第です。

そして現在、公益社団法人日本柔道整復師会では「災害派遣柔道整復チーム」DJAT:Disaster Judotherapist Assistance Teamを設置して日本赤十字社と協定を結び全国47都道府県に災害対策委員を置き、柔道整復師が災害活動に積極的に参加できる環境を整備しました。柔道整復師が地域や県境を越えて災害救護を行う時代がいよいよ到来しました。

 

-これからの時代・そして社会への対応-

日本は諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。65才以上の人口は、現在3,000万人を超えて国民の約4人に1人の割合となり、2042年には約3,900万人となりピークを迎え、その後も75才以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。このような状況の中で約800万人を数える団塊の世代が75才以上となる2025年(平成37年)以降は国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。

このため、厚生労働省では2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、「地域包括システム」という地域での包括的な支援・サービス提供体制の構築を推進しています。(※厚生労働省HPより)

現在、公益社団法人日本柔道整復師会では、さし迫る人口の高齢化と不足する介護支援サービスの問題に取り組むために、次のような提案をしています。

 

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