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(公社)埼玉県接骨師会・渡邊新会長にインタビュー!

2014/03/16

―(公社)埼玉県接骨師会では保険者との信頼関係の構築についてどのような対策をされていらっしゃいますか?

本県では、健保連や国保連等と様々な事例に基づきお互いに意見交換をしながら理解を深め合おうという主旨で協議会を年に数回開催し、保険者との信頼を構築しております。

例えば前回の勉強会では〝埼玉県の会員は会で指導しているのに、個人契約者よりも長期施術の割合が高いのはどうしてですか?〟という質問が挙がりました。知らない人が見たらそう思いますよね。私達は実際の治療に即した請求の仕方で、長期ならば長期になった理由をきちんと書くように指導しています。この様な意見交換を通し、お互いの理解を深めていく事が信頼関係の構築に繋がると考えています。

 

―いま部位の制限等もされるようになりましたが、「まるめ」になる事について皆さんはどのようにお考えなのでしょうか?

これは個人的な見解ですが、平成21年11月に事業仕訳が行われマスコミが騒ぎました。それで我々の業界にも深いメスが入りました。翌年の6月に療養費の改定が行われ、その内容を見た時に、これは単年度のことではなく今後、相当大きく響くだろうと危惧致しました。案の定その方向性が加速されてきました。日整の療養費の取扱いをみると、今までは滑らかなスロープを降っていくような落ち込みの形でしたが、平成21年6月の改正により翌年の22年度からは、それが一気に急降下する形になってしまいました。いよいよ制度改正がこの先にあるということでしょう。次々と規制が行われたため療養費の取扱いは大きく落ちています。そういった中でこの先を見るとその延長線上に見えるのはやはり「まるめ」かもしれません。厚労省では、事業仕訳以降、度々の改正においてどこにどう手を付けると柔道整復師の療養費はこうなると分かっているはずです。これはもう10年位前から予測されておりましたが、いよいよ具体化されてきた感があります。

 

―皆さんはそうなったらそうなったで仕方がないという受け止め方なのでしょうか?

我々もしっかりとした施術とレセプトの申請をしなければいけませんが、やはり「まるめ」は食い止めたいです。厚労省も今の物価水準や国民生活水準と比べ、柔道整復師の年間の取扱い療養費が果たして適切かどうかを判断していただきたい。柔道整復師の年間の療養費は、今から数年前の日整の調査で、課税平均所得が360万円位でしたが、今はもっと落ちています。毎年50万円程落ちている状況にありますので、ある程度逆算してこれ以上療養費を削って良いものかどうか検討して頂きたいです。タクシー業界もそうですが、適正な運賃を支払うことによって安全性を確保され、その産業の持続性も維持される訳です。それをいたずらに抑圧する事が規制したという認識であるのであれば国民医療の裾野が崩れていく発端になるのではないかと危惧します。

 

―今、他団体であるJB日本接骨師会ではガイドラインの作成委員会が立ち上がり、また(公社)長野県柔道整復師会がそれについては先行して取り組まれておりますが、ガイドラインについてどのようにお考えでしょうか?

日整の47都道府県がグレーゾーンに個々に対応をすると、かなり温度差が生じると思われます。ある程度全国統一した一定の基準がなければならないでしょう。志は素晴らしいと思いますが、それは日整と他団体で整合性のとれた統一の基準を作る必要があると思っています。仮に埼玉県で作ったとしても他県では通らないのであれば、今より返戻も多くなってしまうでしょう。またガイドラインが出来たとしてもそれはバイブルではないと思います。やはり私達には柔道整復師法がありますから、それに準じた中でコンプライアンスを厳守していかなければなりません。職域を拡げることは勿論大事ですので、日整の動きに期待したいと思っております。

 

―最後に公益社団に認可され、益々(公社)埼玉県接骨師会の役割は重要になり、公的な事業に取り組んでいかれることになると思います。今後の抱負等お聞かせください。

我々柔道整復師というのは元々自分が住む町、自分が暮らす町から生まれた「ほねつぎ」です。やはり地元に根差した地域貢献や地域生活支援をしていく必要があります。公益というといかにも大きな事業のように思われますが、まず個人ができる公益的な活動を実践して、それを大きく育てるのが一番大事です。県としても様々な公益事業の一環として市民公開講座と称して著名人を呼んで高齢者のための健康講座や子供さんのための体操教室、他にも文化講演のようなことを毎年開催し一般公開しております。県としてはそれらの事業を地道に継続していくことになりますが、各支部におきましては草の根運動的なことをしっかり行うことが大切だと思います。支部の先生方が地域の様々な状況を一番把握しております。その中で自分達が出来ることは何かを追及し、また、好感を持って頂くことで地域住民から信頼され、日常生活でのケガやスポーツで負傷した時に接骨院に来ていただくことが大切です。地域住民のケガのホームドクターとなるような位置づけにしていただくためにも、日頃の触れ合いが欠かせません。公益事業というといかにも大きな事業に見えますけれども、個人における公益性のある社会的なボランティア活動、地域の救護活動が自分たちの職業をいつまでも守る大切な鍵になるのではないかと考えております。

 

●渡邊寛氏プロフィール

【生年月日】:昭和24年8月22日 静岡県生まれ
【座右の銘】:一言萬世照

【経歴】
早稲田大学卒業・花田学園卒業
埼玉県草加市に開業  昭和58年5月
埼玉県接骨師会に入会 昭和58年5月
【役員歴】
理 事 平成10年4月~平成23年4月
副会長 平成23年5月~平成25年12月11日
会 長 平成25年12月12日~

 

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