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(公社)埼玉県接骨師会・渡邊新会長にインタビュー!

2014/03/16

―阪神淡路大震災の時に兵庫県の柔道整復師会の先生達が非常に高い評価をされました。もちろん災害は起こらない方が良いのですが東日本大震災の時もやはり皆さん活躍されました。医師の方達がライフラインを絶たれて、無力感を感じたということで、今は病気を治すとか命を救うことも大事であるが生活を支援していくことに重きを置かれるようになってきたことを知りました。

他県も同じだと思うのですが、私達柔道整復師はそういった住民への生活支援に対する意識は高いと思います。今お話をした旧騎西高校に避難された双葉町の方々に対して約3年近くサポートを続けておりますが、実のところこんなに長く続くとは思いませんでした。その地区の支部の会員と周辺の会員がよく頑張ってくれました。原発での関係で避難された方は外傷を受けたわけではありません。しかしながら、我々は国で認めた資格である機能訓練指導を行なえます。高齢の方の場合、腰が痛いとか足が衰えるということで治療も行いましたが、中でも好評だったのが機能訓練という運動器への機能訓練指導でした。とにかく支部の会員は現場を見ながら一生懸命施術と機能訓練の2つを並行して実施され大変素晴らしかったと思っています。

 

―統合医療の時代に入っていると思います。今後、統合医療学会で柔整の存在意義をしっかり示していく必要があると思いますが、渡邊会長はどのように思われていらっしゃいますか?

統合医療で特に大事なのはEBMで、やはり医療に基づく科学的な根拠というものをきちんと示さなければなりません。統合医療においては伝統医療も含めて多様な医療が混在していますが、EBMという観点から見ると他の部門に関しては分からないのでコメントできませんが、柔道整復業界に関して言えば、EBMに関して自信をもって立ち向かえます。骨折、脱臼、軟部組織損傷の後療法に対し、私達柔道整復師は自分で整復し最初から最後まで患者さんを診ています。最初から最後まで診ることは病院のドクターは不可能で全て分業になっています。また私達の場合は、治癒した後の生活内部をみることも可能です。私達柔道整復師の骨折や脱臼の後療法というのは医学的にも科学的にも根拠がありますし実際に良い成果を出しております。柔道整復師にとってEMBというのは最も立証しやすいと思います。他の代替医療の場合は、数千年続いていることや経過的なことが即ち実証であるといった事も聞きますし、伝統医療並びに代替医療では確かにそういう一面もありますが、我々の場合はきちんとした科学的根拠を示せることから、統合医療にはむしろ一番適していると言えるのではないかと思っております。もう1つ重要なことは、経済的な側面であります。安価な金額であること、しかも病院では、待つ時間は長く治療時間は短い。しかし接骨院の場合は待つ時間は短く治療時間は長い、全く逆です。電気治療をしている間、色々な会話をしながら施術をすることで患者さんの生活背景というものが見えます。そして経済的側面から見ても非常にメリットは大きいと思います。

 

―今は生活習慣病の方が増えているので、そんなにお金をかけないで、自らが病気を治す努力をしていく。内科的なものを診ることは出来ませんが、接骨院の先生達も家庭医或いはプライマリケアとしての役割を大きく担われているような気がします。柔道整復師を知らない国民の方ももちろんいるのですが、知っている方はそういう役割を求めて接骨院にいっているような気がしますが。

接骨院を信頼して下さる方も多くおられますし、昔は骨折等の症例が多かったのですが、今は非常に少なくなっています。今の若い柔道整復師の方は皆さん内科的疾患についても専門家ではありませんがとてもよく勉強しています。そのため患者さんのお話しを色々聞いていて〝ちょっと病院に行ったほうが良いですよ〟など、診断は出来ませんが疑わしい場合は受診の勧めが出来ます。この受診の勧めは非常に大事なことで、直接私達が治す訳ではありませんが、その患者さんが病院に行かれてその結果良かったという事も多々あります。私が思うには、柔道整復師或いはお医者さんでもそうですが、自分で分からないと思ったら決して自分で抱きかかえてはいけません。また専門医へ紹介することは決して恥ずかしい事ではないと思います。

 

―治療を最後まで一貫して診て治してしまえるので、そういうお考えがあって皆さん統合医療学会に入られないような気がしておりましたが。

統合医療に関しての認識は未だ薄いと思います。今の近代医療の場合はどちらかと言うと対症療法であり、伝統医療の場合はどちらかと言うと原因療法だと思います。柔道整復師の場合は、患者さんが歳をとるごとに体の変化が前もって分りますので予防医学的なお話しもできます。膝・腰が悪くなり、背骨も曲がってまいります。そういったことを40代、50代の人に予めお話しすることが可能です。足の治療をしていて、この方は外反母趾が強いなと思うと〝貴方は外反母趾になりやすいから靴に気を付けなさい〟とか、原因療法的な事が指導できます。また、我々の場合、外傷であれば痛みが強かったら最初に固定・整復したりと対症療法的なことも行って両方を兼ね備えています。ただまったくジャンルの違う疾患を扱うのはとんでもないことだと思います。柔道整復師法の業の中で対症療法と原因療法をきちんと区別して、自分の立ち位置をしっかり理解して物事を進めて行かないといけません。なんでもかんでもオールラウンドでやっていこうとするのは怖いことであると思います。

 

―地域包括化が進行して行く中で、昨年は包括化元年とも呼ばれているようです。(公社)埼玉県接骨師会では各市町村の自治体とどのように交渉し、地域包括化に参入していくご準備をされていらっしゃいますか?支部単位で地域包括化に参入されて行くのでしょうか?

いくつかの支部では既に取り組んでおりますが形が夫々異なります。最初にお話をしましたように、これから各市町村長や行政等の方とのコンタクトがとても大事になるというのは、地域包括化の取り組みが進行しているからです。埼玉県でみると新座市では市と接骨師会とで契約を交わし接骨院に来ていただいて、接骨院の昼休みの1時から2時半までの90分を使い、機能訓練指導を実施しています。我々柔道整復師も地域包括型ケアシステムの中に位置づけられていくようになると思いますし、それが今後とても重要になってきます。デイサービス予防通所介護事業所から要支援1・2が切り離され、市町村の管轄になるかもしれません。つまり我々の支部の会員と市町村との交渉、対応の仕方が非常に大切になってくると思います。今のうちに先生方で、昼の1時から90分間の機能訓練のメニュー等プランを作成して、どういった形で普及させるかを想定しシミュレーションしていった方が良いということを、昨日支部の役員の先生とお話をしたところです。90分間の機能訓練内容をビデオや小冊子にして、それを持っていって各自治体に説明し理解していただかなければなりません。ただ機能訓練をさせてくれと言うだけでは、行政の方々には具体的に目に見えてこないので結果は出せません。訓練指導の方法とその経過を追った測定のデータを提示し根拠を示すことで、しっかりと内容を理解してもらうことができます。また数値的なデータは一般の方々に分り易いので説得力があるのではないでしょうか。

 

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