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JB日本接骨師会最高顧問 本多清二弁護士にインタビュー!

2014/01/01

2008年の朝日新聞朝刊報道を契機に柔整改革を掲げ、患者と柔整師の会を設立。その後、患者会議・柔整師会議・保険者会議を全国的に展開し、その開催回数は50回を優に超えている。しかも訪れた全国の保険者数は2000軒を超え、保険者の支持も増え続けている。

その改革運動のリーダーであるJB日本接骨師会最高顧問の本多清二弁護士にこれまでの歩とこれからの方向性について詳しく話していただいた。

 

柔整の明るい未来を切り拓くために保険者との信頼関係の構築を目指して!

―これまで取り組まれてきたJBさんの活動の経緯をあらためてお聞かせください。

実は、4年前の朝日新聞などによる療養費の疑惑・不正等の請求に関する一連の報道が切っ掛けです。その報道内容に対して、一部そういうことはあるかもしれないが、全部がそうではないということを社会にキチッと説明しなければならない、説明義務を果たさなければと思ったことが始まりでした。

しかし説明義務を果たしただけでは、問題は解決しません。やはり不正或いは疑惑と言われている部分にメスを入れなければなりませんし、そうでなければ柔整師は社会的信用を失って残らないと思いました。ところで、そもそも残さなければならぬ制度なのか、については正直悩みました。悩んだ中で、私が思ったことは医師と違った治療方針で治癒に導く技術を持った職業があっても良いのではないか、医療を全て医師オンリーにしてしまうのは、ちょっと偏り過ぎではないかと。柔道整復師は徒手整復をメインにした医業です。

医師とは治療方針や治療内容が異なる医療サービス機関を残しておくことは社会的に意味があると思ったのです。ポスト工業化社会に入ったといわれている現代日本社会にとって、いくつかの選択のカードが用意されてよいと思います。私自身子どもの頃に柔道と剣道をやっていましたから、その先生が自宅で骨接ぎをされていましたので小さい時から身近に感じていました。また柔道整復師の方達とお会いしていて、少しどこか表情が暗い感じがするんですね。それは何故だろうと?最初にその原因はレントゲンだろうと思いました。柔整師の先生方にとってレントゲンは大事な生命線でしたから、それが撮ってはいけないということで、影で使っていたことが業界全体が暗いイメージにしてしまったのではないかと思います。

もう一点は、療養費の請求について、昔は殆ど問題はなかったんです。ところが15年位前から、療養費の請求内容に疑惑があるとか、不正請求だと騒がれ、何かインチキをしているのではないかと疑われることで柔整師の先生方全員ではないけれども暗くなっている様に見えましたし、これは非常に気の毒だと思いました。しっかり仕事をしていながらそのレセプトが疑わしいと言われるのは、さぞ心外であろうと。その原因は何かなと報道等をずっと見ていて感じたことは、疑惑や不正請求と言われているものには何らかの基準がある訳です。これは疑惑だ、これは不正だ、これは正しいとする、その判断基準は何か。これが昭和11年の厚生省の通達なんです。骨折・脱臼・捻挫・打撲、当時まだ入っていませんでしたが後で挫傷も入ります。この5負傷だけしか認めませんというルールを作られて、それでやって来られた訳ですが、時代の変遷に伴い、5負傷以外の症状のものも柔整師の先生が徒手整復で施術するようになり、それについても療養費で請求するのは、通達に反する訳です。反しないためにこの5負傷の内の負傷名を使って請求せざるを得ない訳で、これらのことが先生方の気持ちを暗くしているのではないかと思いました。

こういったことは、健全な職業としては良くないし、負い目があるのも良くありません。新聞報道の記事を書いた記者に〝君達は不正とか不当という前にそもそもこの基準が正しいのだろうか?という視点で報道したらどうなのか〟と話しました。よく言われることですが、犯罪は法律が作るのです。法律が社会秩序に合わなければ犯罪者が増えるのです。この11年の通達が社会の実情に合わなくなっているのだろうと思いましたし、それを基準にして不正請求だ疑惑だ或いは違法だというのは、気の毒な気がします。

柔整師は食べていかなければなりませんから、言葉は悪いんですが、嘘をつくかたちになってしまいます。嘘をついているというと2つの問題がおきます。1つは、嘘だから嘘をつく原因を表に出して議論することが出来ないため問題の解消ができません。もう1つは、その嘘が通ることで法を守る順法精神が希薄になってしまいます。これは悪いけれども〝上手にやっていけばいいんだ。中身を変えなくても形だけ整えていれば何とかなる〟という風な考え方になってしまったのではないか。そのことで結局、一番困るのは誰かというと、患者なんですね。従ってこの点は患者救済のためにも改革をしなければならないと決心しました。

そういった流れの中で、保険者のお考えをお聞きして、意見交換をさせて頂きながら改革していく必要があることに気がついたのです。何故かというと保険者の方も医学的には素人だから正確に分らないこともあると思います。でもおかしい、この請求はおかしいと思っていても、治療している以上は支払わなければいけないと思って支払っている。実は、おかしいと思って支払っていた訳ですが、経済が良かった時にはあまり問題にしていなかった。近年、経済が停滞し始めてから、この問題は目立つようになった。柔整師の不正請求が多くなったから言いだしたのではなく、経済的に困ってきたので、よくみたらおかしいということが分って、今大きな問題に発展してしまった訳です。それをどうやって改革していくかというのが、我々が提示している『柔道整復師施術療養費請求・受領委任払制度運用改善方策案』です。

 

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