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これだけは知っておいて【第23回:柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会を終えて】

2016/10/01

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

6.適用時期について

今回の報告は、柔道整復師を取り巻く環境の変化に伴い、早急に対応する必要性を踏まえつつ、学校養成施設における体制整備及び学生募集などを考慮し、平成30年4月の入学生から適用することが適当と考える。
また、専任教員数の5人以上から6人以上への見直し、専任教員の要件である実務経験3年以上から5年以上への見直しについては、教員確保の準備期間等を考慮し、新カリキュラムの適用から2年程度の経過措置を設けることが適当である。

 

7.今後の課題

今回の改正については、質の高い柔道整復師を養成するため大幅な改正をするものであり、新カリキュラムの適用がされた以降、当該改正による柔道整復師の質の向上について検証することが必要であると考える。また、冒頭でも述べたが平成12年の前回改正から約16年経過しており、その間に柔道整復師を取り巻く環境も大きく変化している。今後も高齢化の進展等に伴い柔道整復師に求められる役割も変化していくことが考えられることから、上記の検証も踏まえ、定期的に改正の必要性についての検討を行うことが望まれる。

さらに、今回の改正において、臨床実習施設の拡大を図ることとしたところであるが、柔道整復を行う一般の施術所における臨床実習に伴い、臨床実習生が当該施術所において労働力となってしまうという懸念も指摘されたことから、適切な臨床実習が行われるよう都道府県等における必要な指導をお願いしたい。

最低履修時間数の設定に当たっては、柔道整復師が開業権を有していることから最低履修時間数を更に引上げるべきとの意見もあったところであるが、夜間部においても実施可能な範囲での設定として検討を行った。今後の検討に当たっては、夜間部の在り方も含めた検討が必要と考える。
臨床実習実施前の学生の評価については、現在卒業の判定に当たり行われている、公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施する認定実技審査制度と同様に、全国統一の評価とするべきであるとの意見もあったことから、将来的には全国統一の評価方法となるよう検討が必要である。
養成施設に備えるべき備品については、医療安全の観点から超音波画像診断装置を活用することは有用であるという意見がある一方、現在の養成施設及び施術所における整備状況を考慮すると、備えるべき備品に加えるには時期尚早との意見もあった。養成施設において、自主的に整備している実態はあるが、これを医用画像の理解のために養成施設の備えるべき備品として追加することについては、患者への安全な柔道整復術を提供するために、今後、新カリキュラム適用に伴う影響を見極め、改めて検討すべきである。

 

8.おわりに

本報告の内容は、柔道整復師の教育に関し大幅な見直しを求めるものであるが、いずれも早急に実施されることが必要である。行政は本報告の趣旨を踏まえ、その内容が適切に実施されるよう指定規則等の改正に着手される事を期待する。

 

柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会構成員名簿

碓井 貞成 公益社団法人全国柔道整復学校協会長
釜萢 敏 公益社団法人日本医師会 常任理事
○ 北村 聖 東京大学大学院医学系研究科 附属医学教育国際研究センター 教授
樽本 修和 帝京平成大学 教授 (一般社団法人日本柔道整復接骨医学会)
長尾 淳彦 明治国際医療大学保健医療学部 教授 (公益社団法人日本柔道整復師会)
成瀬 秀夫 東京有明医療大学 柔道整復学科長
西山 誠 国際医療福祉大学 教授
福島 統 公益財団法人柔道整復研修試験財団 代表理事
細野 昇 呉竹医療専門学校長
松下 隆 一般財団法人脳神経疾患研究所 附属総合南東北病院 外傷センター長
※○は座長 (五十音順、敬称略)

 

柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会開催状況
  • 第1回   平成27年12月11日
    柔道整復師学校養成施設の現状と課題について
  • 第2回   平成28年 2月22日
    カリキュラム等の改善について
  • 第3回   平成28年 5月19日
    カリキュラム等の改善について
  • 第4回   平成28年 7月 7日
    カリキュラム等の改善について
  • 第5回   平成28年 9月16日
    報告書(案)について

 

 
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