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これだけは知っておいて【第23回:柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会を終えて】

2016/10/01

明治国際医療大学 教授 長尾 淳彦

3.臨床実習の在り方について

1)基本的考え方

臨床実習については、主として、学校養成施設附属の臨床実習施設において行われているところであるが、臨床実習の拡充に伴い、臨床実習施設の拡大及びその要件等について検討を行った。 また、臨床実習において実習生が行うことのできる行為については、これまで必ずしも明確にされていなかったことから、その検討も行った。

 

2)改正の内容

(1)
臨床実習施設について

臨床実習施設については、学校養成施設附属の臨床実習施設、柔道整復を行う施術所を基本として、整形外科や救急を行っている医療機関、スキー場等における救護所等のスポーツ施設及び機能訓練指導員を配置している介護施設等に拡大する。
なお、機能訓練指導員を配置している介護施設等で行う臨床実習については1単位を超えない範囲とする。

 

(2)
柔道整復を行う施術所の要件について

柔道整復を行う施術所の要件を以下のとおりとする。

臨床実習における到達目標が設定されており、これに沿って実習が実施できること。
5年以上の開業経験があること。
専任教員の資格を有する柔道整復師、又は5年以上実務に従事した後に厚生労働省の定める基準に合った「柔道整復師臨床実習指導者講習会」を修了した柔道整復師である臨床実習指導者が配置されていること。
過去1年間の施術日の平均受診者数が30名以上であること。
臨床実習の実施に関し必要な施設及び設備を利用することができること。
過去も含め療養費申請資格停止等の行政処分を受けていないこと。
臨床実習を行うに当たり、患者に対して臨床実習を行うことを文書により同意を得ること。
なお、学校養成施設附属の臨床実習施設以外の柔道整復を行う施術所等において臨床実習を行おうとする学校養成施設は、あらかじめ行政庁に対して届け出ることとする。(変更になった場合にも届け出ることとする。)

 

(3)
柔道整復師臨床実習指導者講習会について

柔道整復師臨床実習指導者講習会について厚生労働省の定める基準は、別添3に定める内容とすることが望ましい。

 

(4)
臨床実習において実習生が行うことができる行為について

臨床実習において実習生が行うことができる行為については、予め患者に同意を得た上で、臨床実習指導者の指導・監視の下で、当該指導者が主体的に行う施術の介助は行うことができるものとする。
また、施術の介助を行う場合には、学生の技術等に関して、臨床実習前に、施術実技試験等による評価を行い、直接患者に対して施術を行うに足りる総合的知識及び基本的技能・態度を備えていることを確認する必要がある。

 

4.専任教員等について

1)基本的考え方

総単位数の引上げ等に伴い必要となる専任教員の人数、臨床実習の拡充等に伴う教員の見直しについて検討を行った。
また、教員の質の向上を図るため、専任教員の要件や、専任教員の定義を明確化することについて検討を行った。
さらに、柔道整復師である教員については、教授範囲が専門基礎分野における保健医療福祉と柔道整復の理念(医学史、関係法規、柔道)及び専門分野に限られているが、そのため、専門基礎分野の教育内容を柔道整復師があらためて専門分野で教授しているなどの弊害が生じているとの意見があったことから、今回のカリキュラム等の見直しを踏まえ、教授範囲の拡大について検討を行った。

 

2)改定の内容

(1)
専任教員数等の見直し

総単位数の引上げ等に対応するため、専任教員数を5名以上から6名以上とする。また、学校養成施設附属以外の臨床実習施設で実習を行う場合には、専任教員のうち、専任の実習調整者を1名以上配置することとする。

 

(2)
専任教員の要件の見直し、定義の明確化等

専任教員の資質向上のため、実務経験年数を3年以上から5年以上とする。なお、現在は実務経験が3年経過した後に専任教員となるための教員講習会を受講しているが、見直しに伴い5年の実務経験のなかで教員講習会の受講を可能とする。
また、専任教員の定義を以下のとおり明確化するとともに、カリキュラム等の見直し及び臨床実習の拡充に伴い、専任教員についても臨床能力の向上が求められることから、専任教員も臨床実習施設において自ら臨床能力の向上に努めるよう規定する。

また、各養成施設が特色のある教育を行うべきとの意見があったことから、総単位数99単位以上、最低履修時間数2,750時間以上ということだけでなく、各養成施設における独自のカリキュラムを追加することが望ましいとする努力規定を設けることとする。

[専任教員の定義]

  • 教員は、一つの養成施設に限り専任教員となるものとする。
  • 専任教員は、専ら養成施設における養成に従事するものとする。

 

(3)
専任教員の教授範囲の見直し

現在、柔道整復師である専任教員の専門基礎分野の教授範囲は、保健医療福祉と柔道整復の理念に限定されているが、カリキュラム等の見直し等を踏まえて教授範囲を以下のとおりとする。

[専任教員(柔道整復師)の教授範囲]

  • 社会保障制度
  • 人体の構造と機能(解剖学のうち、運動器系の構造に関する事項)
  • 人体の構造と機能(運動学のうち、運動器の機能に関する事項)
  • 疾病と傷害(リハビリテーション医学のうち、高齢者運動機能の維持・回復に関する事項)
  • 保健医療福祉と柔道整復の理念(医学史、関係法規、柔道)

 

5.その他について

1)基本的考え方

(1)
通信教育等の活用について

質の高い柔道整復師の養成に繋がる通信教育の活用について検討を行った。

 

(2)
養成施設において備えるべき備品等の見直しについて

今回のカリキュラム等の見直しや現状の教育内容を踏まえ、養成施設において備えるべき備品等について検討を行った。

 

2)改正の内容

(1)
通信教育等の活用について

基礎分野14単位のうち、7単位を超えない範囲で、通信教育等の活用が可能となるよう、本人からの申請に基づいて個々の履修内容を評価し、養成施設における教育内容に相当するものと認められる場合には、該当する科目の単位として認定することができる旨の規定を追加する。

 

(2)
養成施設において備えるべき備品等の見直し

今回のカリキュラム等の見直しや現状の教育内容を踏まえ、以下のとおり見直すこととする。

  • 現在、養成施設に備えるべきものとして規定されている基礎医学実習室を削除し、実技実習室を実習室とする。
  • 実習室の面積は生徒1人につき2.1㎡以上とする。
  • 現在、実習室に備えるべきものとして規定されている消毒設備を削除する。
  • 現在、養成施設に備えるべき備品として規定されている標本を削除し、備えるべき備品を別添4のとおりとする。

 

 
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