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第25回日本柔道整復接骨医学会学術大会が開催!

2017/01/01

午後1時からA会場大ホールにてシンポジウムが開かれ、6名のシンポジストが登壇。
明治国際医療大学・長尾淳彦氏が座長を務めた。

シンポジウム

公益社団法人兵庫県柔道整復師会の取り組み

公益社団法人兵庫県柔道整復師会 根來信也氏

平成7年1月17日の阪神・淡路大震災後、(社)兵庫県柔道整復師会は平成9年10月21日に「災害時におけるボランティア活動に関する覚書」を兵庫県と締結しました。

その後、同年11月7日には神戸市との「災害時における応急救護活動についての協定」を締結し、今日に至っています。

覚書ならびに協定を締結後、平成16年に神戸市総合防災訓練、平成22年に兵庫県合同防災訓練に看護協会の方達とチームを組んで参加。覚書の見直し並びに関係団体の連携を密に取り始めた矢先、平成23年3月11日に東日本大震災が発生。

覚書に基づく初の情報提供として、3月16日に兵庫県健康福祉部健康局医務課より連絡があり、その後、活動の窓口であるひょうごボランタリープラザより正式な依頼があり、当会学術部を中心に5名の会員を東日本大震災兵庫県ボランティア先遣隊として派遣。

3月18日~20日の日程で、松島町内避難所での被災者支援を行い救援物資を運ぶ等もしました。

医師会の先生方、看護師さん、保健師さんが中心となり、避難者を振り分けます。
厳密には、鍼灸師会のほうには針が怖いからということで我々のほうにばかり来ましたが、私がコーディネートして振り分けました。

また、上部団体である(公社)日本柔道整復師会の要請で、災害医療ボランティア登録をした会員4名を4月30日~5月7日、宮城県本吉郡南三陸町に派遣しました。

5月1日~6日の期間で5カ所の避難所にて延べ施術人数191名(男性77名女性114名)、平均年齢(62.3歳±13.9)に対して、施術を行いました。

保健士さんに情報を引き継ぐべきで我々だけでの活動は無理だと思っています。

(公社)兵庫県柔道整復師会は看護協会の災害担当の方々と交流があり講習会をさせて頂きました。一緒に出来る体制が必要です。どうしても我々自分達で作ろうとするがそれは意味がないと思っています。

課題としては、災害時の連絡方法について携帯メール配信システムの構築は実施済みであり、平時には各種連絡に使用しています。

現在、救護活動時の負傷票は、紙ベースでの提出ですが、クラウド上で入力可能となっており、災害時の報告書も応用できるように検討中で、活動に必要な物資並びに派遣人員についてリアルタイムに双方向で行える方法をSNSなども含め検討中です。

最後に言いたいことは総本部で情報共有することが大事です。

現場で何が足りないか、困っていることが瞬時にわからないと無駄な物がいっぱいあります。

災害時、先ず自分の命を守ることを一番にやらないと全く話になりません。

 

東日本大震災の経験

公益社団法人岩手県柔道整復師会 植田秀實氏

平成23年3月11日午後2時46分。今までに経験のない大地震が発生。

防災無線放送にて津波警報が発令。
内容は、津波の高さ岩手県3m、宮城県6mの津波規模であり、過去の経験を踏まえ一安心し散乱した屋内の片付けや屋根瓦の修理準備を開始しました。

再び大きな地震が発生、二階から大津波を目撃し屋外避難行動をしました。
5mの防潮堤越しに旧道高台から津波が襲来し高台目指し避難開始、『津波てんでんこ』に反し、他の人を連れ出し避難しましたが途中で力尽き津波に呑み込まれました。

その後第3波、第4波と続きました。
東日本大震災の巨大津波により、岩手県では死者行方不明者が6,211名、釜石市の当時の人口は39,996名そのうち死者行方不明者981名で、全人口に対する割合は2.83%でした。

釜石市全体の62%が箱崎半島の鵜住居地区に犠牲者が集中しています。
私たちは前から、もし津波がきたら高台に逃げようと夫婦で話し合っていました。

最初は3mの津波というので住民は安心していたと思いますが、そうではなかった。

箱崎町は大体230世帯位ですが、70名位亡くなっています。引き波で引っ張られていくと何所に流れていくか分らないので、見つかりません。水死の場合は顔の見分けがつかない。

避難先の3人でろう燭の灯で町内の名簿を作り、死者・行方不明の方々を一人一人チェックして行政のほうに持っていきました。

今までの砂浜が全部なくなって外海になってしまった。この大震災を経験して改めて自然の大きさを知りました。

自然災害が多発して特にこの頃は台風も東北地方にきて大きな被害が出ました。介護施設の方が亡くなられた川の川幅は100m位あります。材木が流れてきてひっかかると川が氾濫します。

小さい川は大きい川に水が流れないと溢れて家が流される。津波の場合は破壊力が違う。

流されたら波の先まで人が流れる。

奇跡的に助かった方もいますが、今回津波を経験して、地域で活動している先生方、もう一度防災を見直して自分がどういう所に住んでいるのか、山が近いのか川が近いのか、海が近いのか等考えて頂いて地域防災活動、犠牲者を出さない活動をして頂きたいと思います。

 

東日本大震災を経験して

公益社団法人宮城県柔道整復師会 松元浩二氏

平成23年3月11日宮城県沖を震源とする観測史上最大の巨大地震、大津波を引き起こした「東日本大震災」が発生。

宮城県の会員被害状況は、会員1名、家族9名が亡くなっており、お子さんは未だに見つかっておりません。会員の住居被害は全壊21棟を含め会員の約半数に被害がありました。

仙台市中心部でも2日~1週間程度、ライフラインが寸断され、被害概況が全く把握できない状況の中、連絡不能会員の安否確認と被害状況把握のため、宮城県警本部へ「緊急車両登録」を申請、車3台で視察を決行し、その完了と同時に「必要なとき・必要なだけ・必要なところに・活動できる会員から・活動できる地域に」をコンセプトに(社)宮城県柔道整復師会災害ボランティア対策本部を設置。242箇所においてSVM医療救護派遣活動を実施しました。

続いて日整本部が「医療救護ボランティア」派遣窓口となり、宮城と連絡調整のもと各県社団会員の派遣を頂きました。4月15日に大阪に入って頂いて10県の社団に2か月に亘り総勢76名に来て頂き、5月30日でボランティア対策本部を解散しました。

その時点で、DMATとの連携、柔道整復師の顔の見える化であるところの情報収集と研修等が少し足りなかったように感じています。

災害が起きて柔道整復師は如何とらえるのかという今回のシンポジウムの大きなテーマですが、個人的には、家族の理解であったり家族の支援体制、地域活動を通してNPOボランティア活動を通して地域の住民との連携、柔道整復師の認知等を行いながら備える。

接骨院の耐震化をして、一時避難所であったり医療救護に備える。

社団としては、運動競技や医療救護活動を通してボランティア組織を備え、災害協定を結ぶ。

また社員を守るのが社団としての一番の役割です。

関係団体との相互情報理解ということで地域防災体制を考えて柔道整復師の立ち位置に立った活動と相互理解が非常に重要で万全な体制で臨むことです。

 

原発事故避難所より思うこと

公益社団法人福島県柔道整復師会 遠藤寿之氏

平成23年3月11日、観測史上最大のM9.0、震度7の大地震により、家屋の崩壊、大規模土砂崩れ。そして、大津波による水没は死者不明者1,810名の大惨事となりました。

また、原子力発電所の11基が停止した後1号機から4号機まで相次ぎ爆発、30km圏内の住民に避難指示が出されたことにより26万人を超える人が避難者となり、避難所は疲れきった人たちで埋まっていました。

この避難所には、そのままバスに乗せられたり、そのまま車で来たということで全て手帳も何も持ってきていません。

明日の薬はないといっても殆ど医科は入らず、1週間目にお医者さんがどんと入ってきました。

ビッグパレットは約3,000名入って通路も何所も満杯で、中長期的に仮設が出来るまで使うということで其処で生活をする形が出来上がっていました。

被災者が避難所で長期に渡り巡回を行うには限界があり、日整に願いを求め、6名位を長期に渡り、交代で派遣して頂いた。

宿泊場所の確保と活動場所は当方で対応しました。避難者数2,500人と、1,500人の所には接骨院を立ち上げており、県外からの応援は有り難く、組織の必要性を感じ感謝しています。

避難所の責任者によっては柔道整復師の業務内容に理解がなく、また国の災害協定業種となっていないため必要性が無いと判断されます。

県知事と医師会会長に依頼書をとり、車の燃料確保が難しいことと道路に規制がかけられていることより、緊急車両の証明を得るため大変苦慮したが、災害協定があれば問題無く解決できます。

避難所で感じた問題点は、休日に他県より柔整が押し寄せ、また医療関係者以外の業種のボランティア手続きを行ったとして入ってきます。

帰った後に何人かの方が〝肩が上がらなくなった〟〝アバラがおかしくなった〟等、そういうケースはいくつも聞きました。

避難者は事故が起きた時の責任所在が分からない。ボランティアで入って直ぐ帰るから誰だか分らないところに問題があり、また被災者が避難所にいるところを一生懸命写真を撮っているがこれを見てどうかなと。

そして柔道整復師も避難所では枠を超えるような施術はやらないほうが良い。いろんな技術はあるが基本的に骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷だけに限ったほうが良いと思われる。

福島の救護活動は絶えず放射能問題と向き合いながらの活動のため、各地域の線量を把握しながら理解を求めての活動となりました。事故は起きますので、柔道整復師はその時どうなっているのか。

そういったケアが出来るのかを含めてシュミレーションし、この東日本大震災を柔道整復師として検証することがこれから先の震災等、大規模な災害に備えると考えます。

 

大分県柔道整復師会の活動報告―九州北部豪雨・熊本大分地震:二つの災害を体験して―

公益社団法人大分県柔道整復師会 加藤和信氏

大分県柔道整復師会の災害時の中心的活動は阪神淡路大震災の平成9年からでした。

大分県は幸いにも大規模災害には見舞われていませんが何時起こるか分らないということで警鐘を鳴らしています。

大分県災害ボランティア制度をつくり県内でも大規模な自然災害や事故に対して緊急に救護活動にあたるため、災害ボランティアを200名登録し、救護活動に速やかに対応するための公的な制度としてスタートしました。

また当会は医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会・歯科衛生士会・柔道整復師で構成する医療ボランティアの活動を開始しました。 熊本・福岡・大分の北部において北九州豪雨災害が発生し、県災害ボランティア本部より出動の依頼がありました。

当会としては参加できる会員を把握し、現地に調査に参りました。
交通の遮断箇所がありキチッと行けるかどうかの調査を入念に行い、自己完結型ということで会員を募集しました。治療を第一に掲げ、施術録を作り次の会員に継なぐ施術録の場所を避難所に2・3か所設けました。

福岡・大分の流された全壊の家は360位ですが、浸水等は18,000、死者は30名です。

ネットワークの一員として初めての実践でした。その都度、避難所の責任者の方から謝辞を頂きました。

7月の終わり頃になり交通状況が改善し家に帰られる方が多く、7月末で終了しました。

多くの謝辞を頂き感動しました。県内初めての出動から4年、熊本大分地震が発生しました。

直ぐ会員の安否確認と被害状況を把握しました。局地的には大きな被害がありましたが、当会の会員には大きな被害はありませんでした。

熊本の応援に入りましょうということで宮崎県の会員と連携して支援すると決まり人員配置を計画しました。避難所で宮崎県の方と合流して、ブースを設けました。

長い間災害ボランティアとして訓練する中で、いま南海トラフト地震に対する警鐘があります。

職能団体として出来ることを行政と共有することで現在担当者と行政と協議し〝我々こういうことが出来ますよ〟と今話し合っています。

県としても災害ボランティアの横の組織を立ち上げようとしていますので、今は医師会と歯科医師会と2つですが、3番目に私たちが申し込んでいます。

職能団体としての認識を行政と共有することで今後の訓練、災害ボランティアと協力し合って、もし災害が来た時に備える準備、少しずつでも行政と対応して災害への準備をしていきたいと思います。

 

 

 

 
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