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第25回日本柔道整復接骨医学会学術大会が開催!

2017/01/01

「柔道整復 守るべきもの 変わるべきもの」をテーマに、第25回日本柔道整復接骨医学会学術大会が、平成28年11月19日(土)・20日(日)の両日、仙台国際センターで開催された。

主催:
一般社団法人日本柔道整復接骨医学会
後援:
文部科学省・厚生労働省・宮城県・仙台市・公益財団法人柔道整復研修試験財団・公益社団法人日本柔道整復師会・公益社団法人全国柔道整復学校協会

 

 

11月19日・1日目

E会場 口頭発表、「柔整基礎医学」座長 東京有明医療大学 中澤正孝氏

1-E-1『距骨下関節周囲の靭帯構造について』

帝京平成大学ヒューマンケア学部柔道整復学科、信州大学医学部人体構造学 掛川晃氏

背景・目的
「距骨下関節」は、距腿関節に比べ多方向に広い可動性を有する関節である。距骨下関節周囲の靭帯は複雑な構造をとり、これら靭帯の構造的な破綻が「距骨下関節不安定症」の原因の一つと考えられている。距骨下関節周囲の靭帯は「骨間距踵靭帯」と一括りに記載されている解剖学書も多く、その詳細な靭帯構造をアトラスなどで理解するのは困難である。そこで今回は、距骨下関節周囲の靭帯構造を明らかにすることを目的とした。
結果
距骨頭頚部の動きを制御する「頚靭帯」は single band と double band の2つのタイプがみられた。「骨間距踵靭帯」は踵骨上面の後距骨関節面前方から斜め内側に走行し、距骨下面に停止する靭帯であった。「下伸筋支帯」は足根洞内やその周囲で複数の線維に分岐し、踵骨上面に停止していた。
考察
距骨下関節周囲の靭帯構造について、常徳(2006)やLi(2013)らが詳細な報告をしているが、今回の調査でも先行報告と同様の靭帯構造が確認され、他動的に足部を動かすことにより頚靭帯や骨間距踵靭帯が緊張することが観察された。距骨下関節や足根洞に存在する靭帯や下伸筋支帯の線維束の構造は複雑であり、機能的に不明な点も多いが、学術大会ではそれら靭帯の構造上の特徴を報告。

 

1-E-2『伸張性収縮によるラット腓腹筋の筋損傷に対する温熱・徒手療法の効果:組織学的検討』

富山大学大学院医学薬学研究部神経・整復学講座 阿部浩明氏

目的
遅発性筋痛の治療に、後療法(徒手療法や温熱療法)などが用いられている。しかし、これら後療法の治療効果に関する実験的検討は少なく、組織学的検討はなされていない。本研究では、動物を用いて遅発性筋痛モデルを作製し、徒手療法と温熱療法の治療効果を組織学的に検討した。
結果
筋変性各部の割合(変性部/筋横断面積)を経時的に比較すると、3時間後において壊死性線維の割合が対照群と比較して温熱療法群で有意に低いことが明らかになった。同様の解析で、対照群と徒手療法群の間には、有意差が認められなかった。一方、4日後の再生筋線維の割合(再生筋/組織損傷面積)を比較すると、温熱療法及び徒手療法ではともに対照群と比較して有意に高いことが明らかになった。
考察
以上により、遅発性筋痛のモデル動物における筋損傷において、温熱及び徒手療法が筋損傷後の筋再生過程を促進することが示唆された。

 

1-E-3『骨折治療過程で発生する筋萎縮の分子構造について―IGF-1と筋萎縮の関係性に関する研究―』

上武大学ビジネス情報学部スポーツ健康マネジメント学科 西川彰氏

背景
近年の研究では、骨格筋における筋原線維の形成にはインスリン様成長因子-1(IGF-1)が関係しており、それがPI3K-Akt 経路を活性化することでその経路の終末にある「N-WASP」というタンパク質がアクチンの重合に関わることが報告されている。本研究では、IGF-1の発現の変化が不動化による筋萎縮の発生に関与している可能性を検討することを目的とした。
結果
健側肢に対し患側肢では、収縮張力の低下、収縮・弛緩時間の延長、疲労指数の低下とともに、SO・FOG線維での横断面積の減少が認められたが、その程度は長趾伸筋に比べ、ヒラメ筋で大きくなっていた。また、同様にIGF-1の発現量およびN-WASPのタンパク量においても、ともに減少する程度はヒラメ筋で大きくなっていた。【考察】関節固定により骨格筋を不動化するとIGF-1の発現量が低下し、その影響がN-WASPのタンパク量の減少に反映されることが推察された。また、本研究では足関節を底屈位で固定したため、伸張位となった長趾伸筋に比べ、短縮位のヒラメ筋の方で筋萎縮の程度が大きくなっていたが、IGF-1の発現量とN-WASPのタンパク量についても固定肢位の違いが影響することも示唆された。

 

1-E-4『血流を阻害したラット下腿筋の筋緊張』

日本大学歯学部生理学講座 花園整形外科内科 海津彰弘氏

背景
平成27年度学術大会では、ラット下腿筋の筋緊張検出方法について報告し、臨床の場で経験するコリ感を再現しているような結果が得られた。一般的に虚血状態の筋がコルといわれているが、血流とコリとの関連については不明な点が多い。そこで、本年度は虚血状態の筋の性質について解析したので報告する。
結果
正常血流群では電気刺激後にも筋の残存張力が検出されたが、虚血群のラット下腿筋では筋弛緩が認められ、血流を回復すると筋緊張を取り戻した。残存張力と力積との関連を調べたところ、正常血流群では力積と残存張力に正の相関傾向(R2=0.828)が認められ、虚血状態の筋では負の相関傾向が認められた(R2=0.757)。
考察
当初、虚血状態(ATPが不足)の筋を収縮させれば筋拘縮モデルを作成できると考えていたが、虚血状態はむしろ弛緩に働いた。これは、コンパートメント内圧と関係があるものと推察される。つまり、流入血流が維持される正常血流群は筋への持続収縮で静脈環流量が低下するため、コンパートメント内圧と関係があるものと推察される。つまり、流入血流が維持される正常血流群は筋への持続収縮で静脈環流量が低下するため、コンパートメント内圧上昇し筋緊張が高まったと考えられる。一方、虚血群では筋への血流が遮断されているため、内圧は低下し筋弛緩作用があると考えられた。このことから、本実験では、エネルギー不足による持続的筋緊張ではなく、筋内圧を検出していると考えられた。
 
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