柔整ホットニュース

特集

『柔道整復基礎医科学シンポジウム2012』-柔整大学教育と柔整研究の在り方を考える-が開催!

2012/07/01

伝統医学の歴史的な話を解説。(中略)

研究とは、誰も気がついていないことに最初に取り組むことに意義があると話して、これまでのご自身の経緯について
「大学時代に生化学の講義を上田國寛先生(当時京都大学医学部医化学、現・神戸常盤大学 学長)から受け、生命科学を志しました。修士課程で徳島大学医学部の故名取靖郎教授に生化学・細胞生物学実験(特にタンパク質とプロテアーゼ)と動物実験の基本を叩き込まれました。博士課程では九州大学に入学し榊佳之先生の研究室に入りました。榊先生の東大転勤に伴い東大医科研に移りました。この時の研究は、クローンマウスを用いる病態の分子メカニズム解析研究だったので、熊本大学医学部の山村研一教授の下に国内留学し、2年半もお世話になりました。学位取得後は、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター、理化学研究所横浜研究所ゲノム科学総合研究センター、同播磨研究所、岩手医科大学口腔生化学講座を経て、2005年1月から神戸大学大学院医学研究科 ゲノム医療実践講座、2009年4月からゲノム医療実践学部門、2011年2月から医学部附属病院医療情報部で研究しています。大学院博士課程では、指導教官の榊佳之先生(現・豊橋技術科学大学 学長)と国内留学先の山村研一先生(熊本大学 発生センター・教授)、学位主査の勝木元也先生(前・基生研所長、自然科学研究機構)に、研究者の矜持をご指導頂きました(研究成果 PubMed)。その結果、この研究は学位取得後も継続して、成果を残す事が出来ました(研究成果 PubMed)。神戸では研究室を立ち上げ、初のオリジナル論文を出しました(研究成果 PubMed)。2007年9月に、ナノテク関連の研究成果を特許として出願することも出来ました(特願2007-242851)。さらに2008年9月には、酵素の抱合能をシミュレーション算出する数式の特許(特願2008-228434)に加えて、ナノバイオの国際出願(PCT/JP2008/002577)も行ないました。自動点訳サーバ eBrailleの点訳精度は日本最高レベルに達しNHK全国放送の「おはよう日本」でも紹介されました。他に、バイオインフォマティクスプログラムのSHAFTとboomerangも開発しています。私たちの研究室は、これまでに科学研究費補助金、戦略創造研究(CREST)茅研究領域、都市エリア産学官連携推進事業、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)等からサポートをいただいて研究を遂行してきました。また、中冨健康科学振興財団、財団法人ひょうご科学技術協会、兵庫県健康科学財団などから助成金を贈呈されました。Bioinformaticsの国際会議で学会賞を、グッドデザイン賞も獲得しています。実験研究と計算機シミュレーションを組み合わせた研究を遂行している」など、自己紹介を行った。

 

学生さんと明日へのメッセージ

若いうちにチャンスはいっぱいある。そのチャンスをものに出来るのは一瞬の判断です。金がないからというのは理由になりません。熱い思いを語ると助けてくれる人が出てきます。その時に、後できちっとやったということが言えるような形を整えて、品質管理できるような条件じゃないとダメです。それをちゃんと満たすと出来ます。医学の中の申請枠に「鍼灸」「柔整」のキーワードはありません。鍼灸大学が出来て約30年たちました。いまだに申請枠はありません。要するに世の中に認められていない、学問として認知されていません。鍼灸学という名前をつけて学問だと言っていますが、国が認めていない、社会が認めていないということと一緒です。医学の世界は、手法さえ正しければある程度認める世界です。それがサイエンスです。本当に好きじゃないと医学部で鍼灸はできません。人と違うことをやろうと思うと、大変です。信念がないと出来ない。ここにいる若い方の中から是非国立大学の医学部の教授になって頂いて、又は大卒の資格をとって頂いて、厚労省のキャリア官僚になる人が毎年一人くらい出ないと変わりません。研究をやっている人たちが一緒になってネーチャーやサイエンスに何か素晴らしいものを出す。柔整のテーマではなくても良い。何でもいいからそれぐらいの才能と能力があることを示して頂きたい。1番重要なのは正確な情報です。何事をやるにおいても実態、自分が対応する場所は何処なんだろうと正確な情報を必ず手に入れることを忘れないようにしてください。研究だけではありません。研究を行うと、こういうことが重要だということを自然に身につけることが出来ます。序列というのは残念ながら日本国にはあります。世の中それで動いています。鍼灸の専門学校3年行くのは医学部1年分にすぎず、鍼灸大学の4年分は医学部の2.5年分くらい。生涯学習は身につけていますし、医師の経験知というのは一般の人の10年くらい違います。情報を持っていること、知識を持っていること両方を使えることが力を持つことになるということを知っておいてください。「情報」は日本語でいうと1つですが、英語ではインフォメーションとインテリジェンスの2つがある。基礎と臨床どちらかだけでもダメで、両方ないとダメ、それがインテリジェンスです。皆さんに聞きたい、特に学生さん。貴方たち本当に伝統医療がすきなの?素晴らしいといえるの?同じように柔整を愛しているの?と問いかけたい。私の成績は別に良かったわけではない。だからやる気が出た人はやってください、どうせ死ぬんです。この後経済恐慌が来たときには、必ず平均寿命が落ちます。昔は何をやってもうまくいったけれど、これからは何をやったって簡単に上手くはいかない。であれば難しいことをやって、誰もできないことをやり遂げると生きていて楽しかったと言えます。森に入りなさいそこに発見があります。スクリーンにかけないくらいいろんな人たちの協力でここまでやって来れました。そういう人たちにお礼を言いたい、有難うございました〟と述べ熱い講演が終了した。(質疑応答は割愛しました。)

8題の研究発表報告とランチョンセミナーが行われた。 (題目一覧はこちら

時間がおしていることで簡潔に行われた最後の研究発表報告で白石氏は〝私たちの分野にとって、顎の関節は実は研究の対象にしなければいけなかったと思います。法律で許されている私達の顎の関節炎の治療を、基礎医学的にも臨床医学的にも深く研究することで拡大に迫りたい。歯科の先生の話を聴くと、臨床の根拠を沢山もたれている、全身診れるようなところまで来ています。私達大学で教える者、或いはそれに関係する教育者は、是非そういったところに目を向けてレシピを教えるのではなく、レシピに則って作られたものの中味は一体何だろう、どうしてこういうことが出来たのだろうかということを考えるような教員、また学生達が今の教育に甘んじている限り、変わらないと思います。これまでの大学の歴史の中で学生が〝なんだこの大学は!〟と言えるような状態になって教育改革を行った大学が沢山ある。高い学費を払って入学されているのですから、教育改革に向かう学生諸君が出てくることを期待しています〟と伝えた。