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『柔道整復基礎医科学シンポジウム2012』-柔整大学教育と柔整研究の在り方を考える-が開催!
去る2012年6月17日(日)9時40分~16時30分まで、帝京平成大学池袋キャンパス本館416教室にて、待望の『柔道整復基礎医科学シンポジウム2012-柔整大学教育と柔整研究の在り方を考える-』が開催されました。 開催にあたって、発起人である白石洋介氏の挨拶文に〝柔道整復の歴史において、幾度か存続の危機に立たされてきました。その度、先輩柔整師は国民の保健における柔道整復の必要性を行政や国民に訴え、なんとか乗り越えてきました。今、また柔道整復は「存続の危機」に立たされてはいないでしょうか〟とあり、又昨年の第1回が東日本大震災直後の時期であったため、開催すべきかの苦渋の決断のもとに開かれ盛会であったことを〝心ある柔道整復師の現在の柔道整復のあり方への危機感が反映されていたのではないかと受け止めています〟とも述べられている。今回の第2回は柔整界が益々危機を色濃くしていく中、シンポジウムにおいて建設的且つ革新的な議論のやり取りが期待された。挨拶文に思いの全てが語られているので全容を掲載することとした。
〝柔道整復の臨床技術に対する科学的基礎医学的エビデンスの追及が必要であることは周知のことです。日本柔道整復・接骨医学会に、これまで発表された内容がデータベース化されたことは高く評価されています。しかし、医科学分野において質的に、まだ不十分であることは柔道整復師自身が認めるところではないでしょうか。
近年、柔道整復教育が大学教育に移行しつつありますが、教育と研究(臨床と基礎)の質を高める所に大学が果たす役割があると考えられます。柔道整復の大学教育化は産声をあげたばかりです。大学教育が社会で果たす役割は、専門性の高い技術者養成だけではないはずです。大学教育が専門学校の延長であってよいとは誰も(柔整師自身も柔整以外の医療系の方々も)考えてはいないでしょう。柔道整復の臨床や基礎の研究に携わる者が、柔道整復の教育や研究がどうあるべきかについての方向性を示す努力をしなければならないと考えています。20世紀の社会では、職種に限らず、先ずは収益性を高めることが世界的スタンダードな思想でした。しかし、地球資源が有限であることを強く意識せざるを得ない時代となり、すべての職業にサステナビリティ(持続可能性)が求められるようになりました。このような動きの中、収益目的の企業でさえ、自己の目先の収益性よりも、他者への支援を重視する必要性に気付き始めています。このような世界経済の意識の変化は、そのことが結果として自己のサステナビリティに繋がることを学んだからではないでしょうか。私達は、「柔道整復が社会において何のために存在しているのかという理念が組織全体に浸透していなければ、これからの存在が難しいのではないか」という危機感を抱いています。21世紀は、多様合理性に取り組む時代であり、それが持続性につながると確信しています。柔道整復の臨床も基礎も多様的であってよいと考えます。しかし、柔道整復とは何であるかを明確にしなければ、そこに自分の職業に対するアイデンティティもプライドも生まれません。21世紀は、マジョリティー(多数派)の下にマイノリティー(少数派)があるのではなく、マイノリティーという小さなコミュニティーが平等に穏やかに繋がるべき時代がきているのではないかと考えています。現在の人類の繁栄は、地球の氷河期の中で、分かち合う気持を獲得した人種だけが生き延びた結果だという説があります。私たちはそんな遺伝子をもった人類なのです。その遺伝子を今こそ活性化させたいものです。
第2回のこのシンポジウムでは、柔道整復の科学的研究の道を選択した若き柔整師が、柔道整復大学や大学院での教育・研究・卒後研修などの在り方について、加えて開院している柔道整復師との連携に対する私論を、それぞれの研究活動報告を通して論じます。柔道整復存続の危機を乗り越えるのは、柔道整復自身の意思と智恵に依るのだと考えます。このシンポジウムが、今後、大学間や臨床柔整会の枠を超えたコミュニティーの場に発展する原動力になればと願っています。午後からのシンポジウムでは、会場と一体になった議論ができるように、参加者が直接参加できるようなシンポジウムを企画しています。分け隔てなく議論することが大切だと考えていますので、どうぞ奮ってご参加ください。建設的なご意見を期待します。〟
発起人・白石 洋介