柔整ホットニュース

特集

痛みの診える柔整師【瑞穂接骨院】

2011/12/16
超音波画像による症例の解説

※使用機器:
超音波診断装置:EUB-7500(日立メディコ社製)
画像処理ソフト:ウルトラ三四郎Ver.5

 

〔症例1〕いわゆる『突き指』中節骨基底部骨折の症例

患  者 :45才、女性
原  因 :バレーボールプレー中、ブロックをした際に、小指を負傷され同日来院。
症  状 :いわゆる突き指の症状で、運動痛、圧痛、腫脹などです。

いわゆる『突き指』は、スポーツをされている方にとって指の怪我の大半を占めると思いますが、最も重要なことは、まず骨折があるのか無いのかということだと思います。下の手の写真を見ていただいて、どういう状態かわかりますか?(写真:左小指が患側。)3つの画像データを用意させていただきましたので、予想してみてください。

case0101

① ※左:健側 右:患側

case0102

② ※レ線画像は上下とも同じもので上はshamaを加えたものです。

case0103

③ ※レ線画像は上下とも同じもので上はshamaを加えたものです。

case0104

この写真の方の画像データは③でした。もうお分かりだと思いますが、中節骨基底部で関節面にかかる骨折であるため、OPEになった症例です。③のエコーデータを見て、骨片の大きさなどから関節面にかかっている可能性大とわかりますので、この方にはそういう可能性もお話しし、あとは対診先医師の判断に任せる、ということになるわけです。
そうしますと、ここでOPE適応の可能性があることがわかっていますので対診先も手の得意なOPE可能な整形外科へ送ることが出来ます。結果的には医師とうまく連携が出来た症例でした。
しかし、患部の写真から見られる患部の状態、および症状だけでは、ここまで正確な判断は無理だと思いますし、実際に②の症例も骨折で、①の症例は骨折ではないのですが、この中で一番痛がっていた症例は①の方でした。①のエコーデータを左右比較すると、骨折の所見は見当たらないものの、腫脹はかなり高度に見られます。そのために疼痛が強かったということがわかります。したがって、この方には骨折は無いと思うが、腫脹が大きいために痛みが強い、安静目的でアルフェンス固定すれば数日で回復すると思う、と説明して、実際に3日ほどで回復されました。つまり、臨床症状と触診や徒手検査を駆使して判断しようとしても難しく、一枚の画像データが我々にもたらしてくれる情報が、どれほどの情報量になるかということがわかっていただけたかと思います。

 

〔症例2〕膝蓋腱挫傷

患  者 :10才、女児
原  因 :走っていたら膝が痛くなり、足をつくことが出来なくなって来院。
症  状 :運動痛・歩行時痛著明、圧痛(膝蓋骨周囲全体)。
                    本人は膝蓋骨の裏側が痛いと訴えていた。

case0201

膝の各種検査も試みたが、特に目立った所見も見られなかった。しかし、左写真のようにつま先立ちで歩行をして、かなり重度の跛行を呈していたため、親御さんも心配されていた。患部のエコーを撮ってみると、患側では膝蓋腱に豊富な血流情報が得られ、観察しながら確認すると同部位に強い圧痛を認めた。このエコー画像と臨床所見より膝蓋腱での炎症があると判断出来るため、そのように説明し、親御さんも安心されていた症例であった。ここまで原因が特定出来れば、あとはこの炎症を下げる施術をすれば良いことがわかるので、適切な施術により数日で回復した。

case0202