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痛みの診える柔整師【瑞穂接骨院】
名古屋駅から電車を乗り継いで約45分。街並みは都会的なビル群から緑豊かな田園風景へと様相を変えていく。JR半田駅で下車、車で5分程走ると「瑞穂接骨院」が見えてくる。
待合室に入ると、本や雑誌が豊富に取り揃えられており、患者さんに待ち時間も快適に過ごしてもらおうという心遣いがうかがえる。
院長の山田先生に、最新の超音波診断装置をお使いのご様子を伺いに取材に訪れた。
院長インタビュー
―人手と時間がかかって、患者さんを待たせてしまうのでは?と心配される先生もいらっしゃるかと思うのですが?
確かに『エコーを撮る』という作業をする分、物理的に考えても人手が要りますし、時間もかかりますが、実際、撮るだけでしたら1分もあれば撮れます。しかし、患者さんにわかりやすくするために、当院では説明に時間をかけております。例えば、患者さんにわかりやすくする方法として、健側と患側をひとつの画面に出して違いを説明します。それでも患者さんはわからない場合が多いので、さらに予め作成してあります部位別説明用プレゼンで、パソコンを使ってエコー画像の見方、症例をお見せして、ご自身の状態がどのようになっているか、簡単に理解出来るように努めております。これだけやりますと5~10分程度かかりますが、これは患者さんご自身がどこがどのように悪くなっていて、今どういう治療が必要なのかを理解してもらうために必要な時間だと思っております。そして多くの患者さんに「そういう説明をしてもらったことがなかった」とか、「丁寧に診てもらった」というお言葉を頂き、これは必要な時間だったのだと思っております。10分もの時間はもったいないと思うかもしれませんが、患者さんが病態を正しく理解することによって、治療に積極的に協力してもらえる効果もありますし、原因を特定出来なければ良い治療なんて出来る訳がなく、これは物の修理と同じで、例えば車が壊れたら、どこが悪くなっているのか、再発防止のためになぜ悪くなったのか、原因を調べてから修理するのは当然ですよね?『人間を治す』治療においては物の修理以上に重要なことですし、医師がレントゲンを撮ったり血液検査をしたりするのも、原因を特定してその原因に対して治療するためですから、我々がこういった検査もせず、経験と勘だけに頼った治療をしていては、ネットやテレビで情報が溢れている現代において、患者さんは納得しないのではないかと考えています。この点に関しては、医療は患者さんとの信頼関係がなくては成り立たないと考えていますので、とても重要なことだと思います。
―操作が難しくて、たくさんの勉強が必要ではないですか?
よく、導入を迷っている先生方に「私に使いこなせるのでしょうか?」とか「導入したらどういう勉強したらよいのでしょうか?」などと相談を受けるのですが、操作はそれほど難しいとは思いません。勉強が必要なのは操作に対してではなく、解剖の理解に対してだと思います。エコーをしてみると、自分の解剖の知識がいかに浅いかがわかります。例えば上腕骨大結節と言えば、皆さんよくご存知だと思いますが、大結節がどういう形状をしていて、小結節と形がどのように違うのか。そこまで答えられる先生は少ないと思います。エコーでは、こういう知識があると、画像を見る時にとても役に立ちます。そういった部分で、より深い解剖の勉強が必要になる訳です。私が現在の機器を導入する際、整形外科を開業している妹の病院でも、私と全く同じ機器を導入しましたが、整形外科医で解剖の知識も豊富なので、ほんの少しレクチャーを受けるだけですぐに使えるようになりました。これは、まさに解剖の知識の差で、整形外科医が行なっておりました超音波のセミナーでも、「解剖の知識がエコーテクニックの向上に最も必要なこと」と講師の医師らが仰っていましたし、エコーテクニック向上のためにはとても重要なことになります。そして、身につけたこの解剖知識は、私らの柔道整復の業務であります外傷を見る上で必ず役に立ちます。結果、知識が深まることで、今までよりも更に質の高い治療が可能となりますので、一切無駄はないと思っております。
また、最近では運動器エコーの書籍がたくさん出ておりますので、私が初めて導入した10数年前と比べたらとても勉強のしやすい時代だと思います。中でも、日本超音波骨軟組織学会が出しております『入門 運動器の超音波観察法』が、初めての方にはわかりやすくて良いと思います。この本で基本的なエコーの仕組みや音響工学的な知識、エコーの見方の基礎を学ぶことが出来ます。そして理解が深まりましたら、より臨床向きである、皆川洋至先生の『超音波でみる運動器疾患』を読むと良いと思います。当院ではこの皆川先生の本を教科書に、水・金の週2回超音波エコー講習会を開催し、この本と同じような画像を撮るトレーニングや、画像の読影のトレーニングをしております。ご縁があって当院に勤務してもらっている柔整師のために、私がすべてマンツーマンで指導しております。大変ですが私も基本の復習になりますし、勤務柔整師もエコーテクニックの向上になりますし、当院を卒業し開業する頃には、臨床で困らないようなエコーテクニック、読影テクニックを身につけて巣立っていってもらい、地域医療に貢献してもらいたいと思っております。