柔整ホットニュース
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東京製本健康保険組合・米沢幸也氏に聞く!
―東京製本健康保険組合さんは『保険者機能を推進する会』に入られていますか?
入っておりません。健保組合というのは法律上の括りで、行っている事業や業務内容は同じですが、企業力の違いは非常に大きく、千差万別です。大企業で事業者数が少なく、従業員が何万人もいるような健保組合では、本体の総務部門が号令をかければ、組合員全てに伝わります。私どものように、事業者数が多く中小様々では、保険者機能を発揮するには先ず各事業者さんに健保組合が信用されるようにしていかなければなりません。つまり、保険者機能を発揮する前提がまったく異なる訳です。勿論、我々としては組合員の方が何を志向しているのかを読み取る努力をしていますが、最初の話に戻りますが、財政が潤っていないと全てを拾い上げていくことは中々難しい。
―厚生労働省の来年度の予算編成通知に、保険給付の適正化対策の一環として、「医療費通知や負傷部位や原因の調査などにより、柔道整復療養費の給付適正化に取り組むこと」という趣旨の文言が加わったこともあり、今後は柔道整復療養費の点検審査に力を入れる組合が増えることが予想されると、人材派遣健保の渡部部長に取材させていただいた時に話されましたが、米沢次長はそのことについて、どのようにお考えでしょうか?
私自身は充分とは言えませんが適正化には努めてきましたし、それは国から言われるまでもなく当然の事です。調査業者に委託はしておりません。疑義は調査の上で支給決定を執行し、さらには行政や関連団体からの調査依頼も須らく協力してきました。ただ意地悪く考えれば、ここでのニュアンスの「適正化」というTERMは現在の諸相からして大きな含みを持つものであると感じています。当組合では、現在に至るまで資格の点検を行った上で内容も見ています。ただ単に、これ変だからと調査を行うのではなく、この人のかかり方が変だろうということが分かった上で行わないと単純な言いがかりになってしまいます。ただし、こういう通知が出てくること自体がもしかすると何処かの保険者さんが適正化をはかっていない。或いは、書類をぽんと業者に丸投げしているという実態があるのではないでしょうか。調査会社への委託は一時期、考えたこともありました。いま世の中益々財政が厳しくなって、医療費が増える、拠出金が増えるとなると潤沢に職員を配置するということが難しくなります。財政がどんどん厳しくなっていけば、真っ先に〝事務局はどういう企業努力をしているんだ〟と問われます。
―柔整ホットニュースで保険組合の民間業者委託について取材しております。貴組合では、民間業者に委託されていますか?もし委託されているのであれば、どのような経緯で委託されているのか、どのようなメリットやデメリットがあるのか、また思っていたこととは異なっていたこと、などについて、お聞かせください。
先に述べました通り、民間業者の委託は行っていませんが、メリットはプロであろうから調査力は、経験の少ない職員よりは実効性が高いと言えます。デメリットは信頼性と費用の問題及び支給決定に余分な時間がかかる問題があり、その辺のタイムラグをどういう風に埋めていくのか。結局、質問状でも何でも名前は健保組合名で出す訳で、相当な信用力がないと難しいのではと考えています。
―ある柔整団体が、支払基金、支払機構を作る考えなど示されておりますが、その辺についてはどのように思われていらっしゃいますか?
別に反対はしませんが、今度は支払機構的な存在が乱立してしまうのであれば残念な事になるでしょう。既に支払機関の一元化的な事であれば、愛知県や東振協において実施されています。であれば先ほどの廣部先生の試案を集中的に高めた方がよいと思料されます。