柔整ホットニュース
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東京製本健康保険組合・米沢幸也氏に聞く!
―『患者と柔整師の会』主催の第3回保険者会議では、ある保険者の方から〝今一番問題にしているのは、実際は、外傷ではない慢性疾患を外傷という形で病名をつくり上げて請求が来たり、実際はケガをしていないのに、ケガをしているという形で余分な負傷部位がくっついて請求が来ることを問題視している〟という意見がございました。貴保険組合では、何が一番問題だと思われているでしょうか?
質問にある内容は、全ての保険者の統一された意見です。あくまでも書類審査になりますので、先日の保険者会議で〝予診表のようなものを付けたほうがいいのではないか〟というお話がありましたが、通常療養費という枠内であれば、予診表のようなものがついてくるのは当たり前のことです。しかも2部位までの負傷原因は簡略化されてしまっており、一人一人全てを照会するとなれば、大変膨大な時間を要します。数年前まで私も現場に居ましたが、その中で特に目立つものはどういうものかというと、第一に継続的な施術、つまり慢性的な施術の実態があり、部位は異なるものの間断なく通われるケースで、一日も空けないというのは不思議なくらいのケースです。第二は、多部位の受術で〝どうやればこんな捻挫と挫傷をするのか?〟と思うような物理的問題が散見され、疑いたくはありませんが違和感が残る、実際に被保険者が本当に〝此処と此処と此処が痛い〟と仰っているのかというのは書類の中からだけでは見えてきません。通常の療養費でいえば、健康保険の中の施行規則では、負傷の場合「何時、何処で、どういう状態」ということを詳しく書いてくださいとなっています。ただし柔整だけは簡略化されてしまっている部分があり、それを一人一人全部疑ってかかっていたとすれば、それは大変な話です。先日の保険者会議で私が再三述べたことは、先ず「元」を考える力がそもそもなっていないということです。元々柔整師の先生たちの生活を成り立たせるために施術がある訳ではありませんし、我々保険者も〝これはおかしい〟と切るために、保険給付がある訳ではありません。しかも療養費という枠内でやっている以上は、応急的に何らかの処置を施さなければならない状態が前提にあり、本来はそういうものであった。しかしながらこれだけ施術所が増えて、柔道整復療法がこれだけ一般的になってくると、どうしても元々あった役割から現代の実態が大きく離れてきてしまっているのではないか。その離れてきた常識に則って、本質的なものが見えないまま皆さんいろいろ物を言っているので、付け焼刃のようなことがなされるとすれば、これはもう根本的な解決になってはいかないのではないか、と私は個人的に思っています。現状を把握するのも大事ですが、やはり「元・根本」を考えるということをやっていかないとどんどんずれていってしまう。もう一つ、やはり時代に応じてどんなものでも変化します。終戦後はこんなに、整形外科や柔整が多かったという状況ではなかった。今は首都圏であれば気軽に○○接骨院へ、ちょっと肩が痛いというだけで簡単にかかれてしまいます。冷静に「元」を考えながら現行は「元」とどういう風にずれてしまっているのか?歴史的な経緯はどうだったのかということを、検証し研究する機関が必要です。たとえ一部の団体でもそのことを問題視していって、継続して改革していくという姿勢は、私は大事であると思います。全体を取りまとめようとすると、各団体は皆互角の立場ですから、やはり行政庁が旗をふらないと纏めるのは難しいと思います。