柔整ホットニュース
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東京製本健康保険組合・米沢幸也氏に聞く!
―米沢次長は前回の保険者会議において〝本当に真面目にやっている柔整師を傷つけてしまう。制度の問題、お金のフローの問題を根本的に見つめ直していかなければ、患者さんにとっても柔整師にとっても、我々保険者にとっても、不幸なことだと思われる〟と発言されておりますが、このご意見について、もう少し詳しく説明して下さい。
当然のことですが、疑義があれば照会等の確認が必要となります。その場合は柔道整復師と患者様に直に調査を実施しなければなりません。現在は総務部勤務であり第一線を外れておりますが、20年以上に亘り現金給付を担務してきて、この辺りの事の苦労を語れば一冊の本ができてしまう程です。保険者の立場からすれば当然出てきた書類に対して、照会等を行うこと自体が大変なことです。被保険者の方は昼間働いていますから、呼び出す訳にもいかない。柔整師の先生も施術中ですから、昼間に電話をすれば、施術を中断して我々の質問に応えなければならない。直ぐに対応してくれる先生も居れば、ちょっとした保険のルールが分からなかったというようなこともあり、又これは明らかに変だろうというようなものもあって様々です。従って一概にこうだとは言えませんが、やはり皆様、今ひとつ現行の制度の中でスッキリしたやり方でやっていないのではないか、という実感があります。柔整師のほうとしては患者がいっぱい来て、いっぱい施術をして、うるおいたい。患者のほうは痛いからなんとかして欲しい、或いは本来は柔整の適用ではないが、あちこちの病院に行っても体の不具合が治らないから柔整にいく、別にどこを捻挫したという訳ではないけれども・・・というように、つまり受術原因が曖昧なままやっていけば当然こういうようなことが起きます。夫々が一つのことに、柔整師は治すことに専念したら良い、患者は適切な医療に安心してかかりたい、早く回復して社会復帰したい、我々保険者は、柔整だけが仕事ではありませんし、当組合のような小さな組合では、一人が何役もこなして仕事をしなければならないので、極力適正な判断をして次の仕事に取りかからなければ全てをこなすことが出来ません。それらを考えると『患者と柔整師の会』さんにしても『柔整小委員会』さんにしてもいろんな会議が起こるということは、何らかの問題をはらんでおり、それを今日まで有耶無耶にしてしまってきたことは否めないかなと思います。そういう意味で見直しのいい時期なのかもしれません。
―更に米沢次長は〝順位というよりも、部位の整理をされた方がよろしい。個人的な意見だが、もっと違う観点からしっかり見直すべき〟〝キチンと根本的に考え直さなければいけない時期にきており、このまま先のびでずっといくのであれば、何の解決にもならない。料金の問題が出たが、適正なものにはやはり適正な料金を払って、然るべきと思っています。きちんと保険のルールを柔整師さんが来院された人に説明を行う、治療計画を行う。それらを義務とした上で、施術料金を上げていくことについて反対はしない。とってつけたような算定ルールを引きずっていてもレセプト、申請書から治療内容は見えてこない。適正給付、万遍なく被保険者組合員のためになる制度が歴史的にあると個人的には思っている〟とご挨拶されましたが、米沢次長の個人的な見解・考えを教えてください。
これは多くの問題を含むので一言で述べるのは難しい。例をあげれば初検時支援料と再検料であるが施術上当たり前の行為であり、技術的な論点もなく別立ての料金である存在意義がみいだせません。また柔道整復療養自体が現行において、健康保険法に定める「療養費」の基本的定義を満たす範疇のものでない様にさえ感じられます。私見でありますが、斯様な事は柔道整復療養を否定するものではなく、柔道整復療養と公的医療保険適用のあり方を問う時期にきているように感じられます。