menu

柔道整復師と介護福祉【第20回:医療の質と安全概要】

2016/06/16

医療への信頼が大きく揺らいでいる昨今、医療の質と安全のあり方が鋭く問われています。医療において患者さん本位の質のあり方を確立することは、患者さんと医療に従事する人々の共通の願いであるばかりでなく、健康を大切にし、安心して暮らせる社会を希求するすべての人々の願いとも言えます。

医療を必要とする患者さんは、期待を実現してくれる安全で確かな医療を求めて、どうしたらよいか戸惑っています。
医療従事者は、医療への期待に応え患者さん本位の医療を実現しようと努めながら、その思いが実現できないことに戸惑っています。

近年のめざましい医療技術革新は医療の可能性を飛躍的に高めました。しかしこれに伴う医療過程の複雑化と危険性の増大は、医療の質と安全に関わるさまざまな矛盾と課題を蓄積しております。 これは日本だけでなく世界の国々で現代医療が直面している喫緊の課題であり、21世紀の医療と医療提供システムのあり方を問う根源的な課題でもあります。
医療の質と安全をめぐる諸問題は医療に従事する人々がいっそうの努力を重ねるということだけで解決できるものではありません。

医学の枠組みを超えさまざまな視座と幅広い英知を集めた学際複合的な研究とその知見を実際の医療に役立てる取り組みの推進を通じて、新しい医療のあり方、システムとして患者本位の医療の質と安全を保証するしくみを創り出す必要があります。

 

医療の質と安全の定義

個人や集団を対象に行われる医療が、望ましい健康状態をもたらす可能性の高さ、その時々の専門知識に合致している度合い」が『医療の質』であると定義

 

1999年に起きたこと、1999年から始まったこと

日本では、
1月 横浜市立大学病院患者取り違え事件
2月 都立広尾病院薬剤取り違え事件

アメリカでは、
11月 To Err Is Human「人は誰でも間違える」
年間約44000人から98000人の患者が防ぐことのできる医療に伴う傷害が原因で死亡している。

医療の質と安全を体系的、科学的、横断的、継続的に見る仕組み
  • 体系的:政府として体系的に事故を収集するシステム
  • 科学的:根拠に基づいた事故防止、合理的視点
  • 横断的:職種横断的、組織横断的
  • 継続的:日常の中で取り組む
取り組みの成果
  • 迅速対応チームの形成:心停止が15%減少
  • 投薬手順と確認方法の標準化:12か月で有害減少が60%減少
  • インスリン投与量の標準化:低血糖が63%減少
  • 陣痛促進剤のリスクマネイジメント:妊産婦死亡率の低下

IHI:institute for healthcare improvement
「10万人の命を救え」キャンペーン」

キャンペーンでは、医療の質・安全学会、日本病院団体協議会、日本医師会、日本看護協会、日本臨床工学技師会などが集まって設置した医療安全全国共同行動推進会議(議長=医療の質・安全学会理事長、高久史麿氏)が全国の病院に参加を呼びかけ、3000施設の自主参加によって1万人の可避死事例の減少を目標とする。

  • 人口呼吸器関連肺炎の防止
  • 中心静脈カテーテル関連血流感染の防止
  • 手術部位感染の防止
  • 急性心筋梗塞のケアの改善
  • 薬剤性有害事象の防止
  • 緊急対応チームの配置(RRT・RRS)

 

 
前のページ 次のページ
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー