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デンソー健康保険組合・赤塚常勤顧問に聞く!

2013/10/16

―貴健保の療養費適正化への取組みについてと民間調査会社に委託しているメリット・デメリットなど教えてください。

当健保は、実は非常に少ない職員、10数人で運営しておりますので、とても自分たちで柔整療養費のレセプト点検まで行うことは不可能です。当健保の柔整療養費のレセプト件数は月4千件位です。それをちゃんとチェックして、一定程度の効果を出していこうとすると外部業者を頼るしかないということで、外部業者に委託してから、やはりコストが下がっています。それがメリットと言えば、メリットです。不正受給の問題も一定程度はそこで改善されていますから、大きなメリットです。デメリットとしては、やはり自分たちにノウハウが蓄積されませんし、自分たちで本来やるべきことが出来ていないといったことがありますが、しかし優先順位からすると当健保の医科のレセプト件数は月に10万枚で、その10万枚を放っておいて4千枚をやれない訳です。結局、専門業者に外注して点検や照会等を実施している訳ですが、今はそれをやらざるを得ません。ただし啓蒙活動は当健保で行っています。自分たちでは限界があって難しいことでありますが、そこは1つの課題と思っています。

 

―柔整の取扱い疾患について、赤塚常勤顧問はどのようにお考えですか?

柔整の方達が取り扱えるものは〝急性期の怪我以外はダメ〟という基本的な業務範囲があります。私に言わせれば緩和ケアと思いますが、亜急性と称される所謂慢性期の疾患は、実際には出来ないことになっています。そのことが根本的な問題だと思っている訳です。緩和ケアと慢性期の医療について、今は未だエビデンスに基づいた知見がされていません。そのために、今は急性期の骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の5つに業務範囲が限られている訳なんですね。但し限られているために、業務範囲以外のものは支払えないのが保険のルールです。という訳で、グレーと言われる5疾患以外の治療行為で効果があるものは、エビデンスがあるならばしっかり認めていかなければなりません。これについてはお役所の問題ではなく、業界としてそれを検証していくべきで、それを標準化して欲しいと思っています。必要で効果があったとしても今のルール外だから全て不正とされているのです。〝合法的にする努力をされているんですか?〟と申し上げたい。というのは、そういう活動をしていることは存じ上げないし、されていないと思います。何故ならその理由はそれを行う団体が無いからです。〝必要だからやっているんです〟と言いながら何故非合法なんですか?合法的に変える努力をしましょうということです。保険診療は合法的な対処しかできませんし、非合法のものは認められないんです。それでも、今までは暗黙のうちに了解し合ってきただけ、知らんふりしていただけです。しかしもう制度的に認めてもらわないと無理です。我々も対処の仕様がありません。頻回・多部位そういった目にあまるものは別として、必要だと言われているところのものは、その必要性を証明して欲しいし、それを認めさせて欲しいのです。それが無いから何時までたってもエンドレスに繰り返すんです。しかも、繰り返している中で、曖昧なゾーンがどんどん拡がっています。

 

―受領委任払いを償還払いに戻すといった声がよく聞かれますが、それについて赤塚常勤顧問はどのようなお考えをお持ちですか?

受領委任制度は諸悪の根源って言われる保険者も多くいらっしゃいますが、私自身は償還払いに戻すことは現実的に無理だと思っています。しかし、今のまま受領委任制度を継続するのであれば、正式に公的な審査支払機関を作る必要があるでしょうね。受領委任払いは法的な制度ではありません。あくまでも課長通知で認められているだけで、柔整の点検システムはあまりにもアバウトです。ただ、保険者からみると柔整の金額が1割2割増えたとしても全体からみると目立たない。もっと大きな問題がいっぱいあって、そのほうが重要なので、どうしても無視されがちというか見逃されてしまう訳です。それに対して悪く言えば甘えて、つけ込んでいる様に見えます。自分たちで自制する仕組み、自浄作用が必要だと思います。自浄作用と一口に言っても実際は非常に厳しいものです。医科の世界がかなり厳しく公正に行っているのに比べると私に言わせると甘すぎます。保険者が成り立たなくなって、保険者は解散しているのです。柔整師界だけが厳しいんじゃないんです。日本の保険者が厳しいのです。我々も変わっていっています。医療業界だって常に変革を求められているんです。だから柔整師界も変わらなければいけないんです。

 

―整形外科が沢山できた今日でも接骨院にかかり、接骨院が生き残っているという意見には赤塚常勤顧問はどう思われていますか?また、一律整形外科に掛かりなさいと言うだけでは、患者さんにとっては何の解決にもならないように思いますが、どうでしょうか。

いろんな意味があって、整形に行くより柔整に行ったほうがいいという人は心情的にいっぱい居ます。これまで歴史的に長く生き残ってこられたように柔整は国民に必要な医療です。ですから現在も国民に必要な施術とされているのであって、それがニーズです。その国民のニーズに応える必要があり、〝オールオアナッシング〟で応えてはダメです。ただ、何回も言っているように問題は制度的に不完全、特に不正で一番多いのは緩和ケアです。その緩和ケアが多くやられている背景がある。その事実をちゃんとエビデンスで示し、医科に準じるような保険点数化を制度的に認めてもらう努力をすることが正当な活動です。それをしないで裏で必要だからいいだろうと言っているようではダメです。それは子供の喧嘩です。正当であるならば、正当の手続きをするように業界内外、公けに投げかけたらいいではないですか。そういう投げかけをするのであればもしかして保険者も納得して支援する人もいるかもしれません。保険者にとって痛みをとる施術というのは、QOL向上のために必要で、超高齢化社会が進むこれからの医療の大きな課題です。薬を飲んで痛みをとるのは、当り前に認められていて、良い悪いを言う人はおりません。しかし、マッサージ等の施術をして痛みをとることに関して、それはノーだといわれている訳です。簡単に言うと保険的には薬で治すのはOK、施術で治すのはNOというのは、ちょっと片手落ちです。本音を言うと、それを認められるように業界自身が証明し、手続きをして下さいということなんですね、それを保険者である我々がやるんですか?ちょっと待ってくださいよ(笑)

 

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