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フランスベッドグループ健康保険組合・土屋誠一郎常務理事に聞く!

2013/06/01

―審査会について何かご意見がありましたら

審査会もそうですが、請求書の書面も書式もマチマチで、理由も書いてあるところと書いてないところがあったり、こういうところから統一して欲しいです。先ず其処からですよ。

 

―貴組合は民間調査会社を利用されていらっしゃいますか?もし利用されているのであれば、そのメリットとデメリットなどについて教えてください。

内容確認は自健保で行っています。柔整に係わる診療件数は月約90件で、被保険者被扶養者共に半々程度ですので私でも承認印を押す時点で〝この人またきたな〟と判る程度です。他では〝この人初めてだからチェックしなさい〟と結構厳しくやっておられる健保さんもあるように聞いておりますが、当健保では人体図に負傷個所○印が10個もついている人、或いは3か月間毎月度々行かれている人に対し担当者が必然的に照会しており、初回の照会内容は「ちゃんと治療していますか?」「間違いなく行かれましたか?」「サインしましたか?」「回復されましたか?」といった程度に抑え、回答やその後の経過をみて2~3回の照会をおこなうようにしています。時々、申請書を見ていると〝あ、知り合いだな〟と顔が浮かんでくる事もあり、そういう時はやはり言い難い場合もあるので、外部に出したほうが良いかなと考える事もありますが、民間委託すると結構厳しくされるようで、そうなると被保険者被扶養者が悪いことをしているようなイメージとなり、あまり良くないと考えます。又、見知らぬところから照会状が届いて〝なんだよこんなものを毎回送ってきて〟と思われるなど、こちらでは良かれと思った活動が全体活動のマイナスイメージになることは避けたいと考えています。正しい治療へのけん制効果は確実にあると思いますが。

 

―患者調査が当たり前のようになってきましたが、患者さんにとって毎回接骨院にかかる度に照会状が届いて、非常に不愉快ではないかと思います。まして後期高齢者の方が2月も3月も経過してから、その内容について記述回答することは困難ではないかと思われます。しかも「痛めたのか、慰安なのか」について、患者さんの主観的な部分が大きい上に医療者ではない保険組合の方や民間調査会社が判断することは可能でしょうか?

判断する事は無理でしょうが、照会する事により問題を明らかにしなくてはならない実態が制度上には潜在する為、我々にとってもつらいところですが蔓延化を防ぐ為にもご協力は頂きたいと思います。調査内容や頻度については保険者によっても異なると思いますが、当健保組合では患者さんのことも当然考えますが、保険適用である以上は先ずは治療原因を確認することも重要と考えます。〝健康保険ではこういった場合は接骨院にかかれません〟といくらいっても、看板に「保険適用」と書かれていれば患者さんは当然行く訳ですが、殆どの申請書にはその原因となった理由が記入されていません。確認したいことは治療内容もさることながら、一番は先ずその原因です。利用者が負傷原因を正しく記入して頂くだけでも照会件数は軽減されると思います。整形外科でもお年寄りの方が〝こんにちは~〟と入って来られて待合室で医師と簡単な会話の後〝自分で電気マッサージか何かをやって、帰っていく人を見たことがありますが、柔整でもこのような治療が頻繁に行われているかも知れませんね。回復状況は患者さんの主観に任せるしかありませんが、少なくとも原因が判っていればそれなりの指導が出来ると思っています。保険者が公正、中立な立場を維持する為にも照会は必要不可欠な事と思います。何事にも例外は付き物ですから高齢者等の対応については別に考えれば良いと思います。

 

―受療委任払いを償還払いに戻すといった声がよく聞かれますが、それについて土屋常務はどのようなお考えをお持ちですか?

今の制度のままなら当健保では"償還払いに戻す"の意見に賛同します。そもそも初回診療時に1度サインをしたら後はお任せします!というような制度もどうかと思いますし、事実この制度が不正請求の温床になっているのではないでしょうか。又、委任制度といっても支払い先は当健保でも個人や団体を含め約50箇所にものぼり、制度上のメリットを強く感じていません。償還払いは精算と同時に正しい受診の在り方や自費治療の意味合い含め、説明するチャンスにもなりますので、少々手間がかかっても保険者にはメリットがあると思います。もっとも保健者の違いや健保組合によっても事情が異なるでしょうが、このまま業界側からの改善案がないようなら後戻りする事も必要かも知れません。もっとも、今JBさんが検討している改革案や審査支払機構の構想が実現すれば委任払いでも良いかも知れませんね。

 

―やはり一番は、財政問題と思います。そういう中で療養費の適正化をはかるという名目で患者照会をシステム化し削減するよりも、医療費全体の中で病院にかからず接骨院にかかって治った場合の医療費は格差があると思います。整形外科が沢山できた今日でも、良いから接骨院にかかり、接骨院が生き残っているという意見には土屋常務はどう思われていますか?

繰り返しになりますが、柔整問題の根本は財政でなく制度自体を優先に考えるべきだと思います。財政優先で考えてしまうと、柔整療養費の方が医療費より負担額が少ないから"少々運用に問題があっても目をつぶりましょう!"となってしまいます。法に基づいて制度を運営し、それで治療費が増加するならそれはそれで仕方がない事だと思います。又、保険者は歴史的にも認められている柔整療養を否定しているのではなく、保険適用と治療内容を争点にして制度に則った適正なる運営化を求めているのだと思います。何故、保険適応が一部しか認められないかという経緯、又、逆に厳格な運用を行なった場合どの位の柔整機関が生き残れるかを考える事も必要だと思います。財政が厳しいということは確かですが、かといって財政をよくするための"柔整の適正化"ではなく、制度に基いた公平な運用の為の適正化と考えます。自費治療を信念として、とても流行っている柔整師さんも沢山あるように見聞きしています。

 

―接骨院などには掛からずに、一律、整形外科に掛かれば良いという考えもあろうかと思います。しかし現状は、整形外科を知らなくて接骨院に掛かっている患者さんは殆どいないと思いますし、むしろ、あえて整形外科ではなく接骨院に掛かっているという状況だと思われます。そうした状況において、一律、整形外科に掛かりなさいと言うだけでは、患者さんにとっては何の解決にもならないように思いますが、どうでしょうか。

接骨院の利用目的と原因、保険適応の問題が適切ならば整形外科を推奨する必要はないと思います。逆に今は整形外科と接骨院で行う治療内容が近似している場合も見受けられ、結果としてお粗末な診療をおこなっている病院もあるみたいなので、整形外科にはもっと高度な医療技術を発揮し治療に専念してもらいたいと考えます。どっちが良い、悪いではなく、患者にとってどの様な治療がその時に適切であったかを考えるべきだと思います。当然、整形外科に行きレントゲンを撮っても原因を発見出来ないこともあり、手に負えない場合はMRIを装備している病院へ照会する例も多々あると思います。以前腰痛がひどい為、整形外科でレントゲンを撮って貰いましたが症状が判らず、適当な病名と湿布薬を投与され、定期的に来て下さいと言われた事があります。こういう整形外科に行って我慢できない方は柔整に通う事になるのでしょうね。又、脚の筋肉痛が長引き脹脛に腫れを感じた為、整形外科に行ってレントゲンを撮ってもらいましたが〝炎症ですね〟と言われやはり湿布と安静の指示。一向に改善しないので別病院でMRI検査を受けたら腫瘍が見つかり、切除手術を受けた経験があります。単なる脂肪腫だったので良かったのですが、医者たる者は高度医療の知識と技術が絶対的に必要なのだなあと感じました。言い方が不適切かも知れませんが、医師には柔整を批判するのではなく、違った立場で治療の為のレベルアップを期待したいものです。

 

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