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スペシャルインタビュー:甲府市長・樋口雄一 氏

2015/06/22

甲府市の人口は、約19万3千人(平成27年5月1日現在)。山梨県の県庁所在地である甲府市は、武田信玄公ゆかりの地であり、風光明媚な地方都市として知られている。また東京都心まで特急で約1時間半ということもあり、子育てがしやすい豊かな自然環境に魅了され、移住する若い家族が増加している。子どもにも高齢者にも優しく、高齢者の役割分担がゆき届いている地域住民には願ってもない希有なまちづくりを推進している。
戦国武将の面影を彷彿とさせる甲府市の樋口市長に施策や取組みについて率直に話していただいた。

 

地域住民が真に求める甲府市らしい住民主体の「地域包括ケアシステム」の構築を目指します!
井澤 邦夫

甲府市長
樋口 雄一 氏

 

―日本の社会保障制度について樋口市長のお考えをお聞かせください。

日本の社会保障は、世界の中でも非常に行き届いているものと思っています。医療・介護・年金・労働災害・雇用保険など、幅広い分野がカバーされており、まさにオギャーと生まれてからお亡くなりになるまでを保障するものであると誇りに思っています。国民皆保険や国民皆年金制度の趣旨をこれからも継続していくべきですし、地方は地方でしっかりと役目を果していきたいと思っています。一方、国民年金に入らない無年金者が顕在化している状況もあり、非正規雇用の増加も懸念されます。加えて、人口減少や少子高齢化など、これまで全体で支えてきた構造が大きく変化していく中、社会保障の危機が叫ばれるようになっていると思います。

今後も人口減少や少子高齢化の流れを止めることは簡単ではないと思いますので、創意工夫をしながら社会保障にかかる給付や、負担をめぐる世代間での不公平感の解消といった課題に、国を挙げて取り組んでいかなければならないと考えています。また、現役世代への給付といいますか、特に、子ども達への社会保障をもう少し厚くしたいと思っています。子ども達の貧困や憲法でうたわれている教育、生きることへの権利がかつてよりも若干ないがしろにされていると感じていますので、次世代を担う子ども達、社会の宝である子ども達への社会保障の充実を図っていきたいと考えています。

 

―人口減少社会に突入しました。超高齢化の進展と少子化に対する甲府市の取組みを教えてください。

日本創生会議の衝撃的な発表があり、慌てている自治体が多いかと思います。このような中、やはり今後は定住人口の確保が、最重要課題だと考えています。

本市では、少子化対策の一つとして、12年前の前市長就任時に、小学校6年生までの医療費を無料化にしました。この取組みは当時、全国でも先進的な取組みで、あっという間に他の自治体に広まり、今では本市よりも手厚い制度を設けている自治体が多くあります。本市においても、今年度中には中学校まで子どもの医療費を無料化するよう考えています。

また、「子ども・子育て支援新制度」が施行されたことから、本市では、新たに策定した「甲府市子ども・子育て支援計画」のもと、乳幼児期の教育・保育・地域における子育て支援の量の拡充や、質の向上を図ってまいります。子育て家庭の「個別ニーズ」を把握したうえで、特に利用ニーズの高い放課後児童クラブは、その受け入れ対象を段階的に拡大することにより、働く親を支援し、児童の健全な育成を図るための環境を整備してまいります。更に、出産前後の母親の精神的なケアや子育て不安の軽減を図るため、山梨県が主体となり整備を進めている「産前産後ケアセンター」の利用料金の一部を助成しています。

行政が中期的・長期的に人口減少問題や少子化問題にしっかり取り組むということは、まさしく子育て、そして高齢者福祉のサービスの充実を図ることにほかなりません。そのうえで、甲府市に引っ越してきていただくことが重要ですので、本市にある空き家を首都圏の方々が希望されているという情報が入れば、しっかりと受け皿を作ってそれをお知らせするという体制の確立が必要です。

現在、それを東京から発信していただいていますので、夏頃にはマッチングするようにしていきたいと考えています。都会に住んでいる方で、「田舎が良い」、「そうかといってあまりにも田舎だと教育や医療が心配である」という方もいます。また、「ほど良く便利な田舎」は甲府市だと言っていただいている若いご夫婦もいらっしゃいます。既にかなりの方々が移住をされていますので、今後は、山梨県内の市町村同士で競争したり、あるいは相互に紹介したりして取り組んでいきたいと思います。

 

―近年、社会保障費の財源が苦しくなっていることに加えて、高齢社会で医療費も介護費も大変な増加が見込まれ、それに伴い在宅ケアを含め包括型の医療ケアシステムの構築が求められております。甲府市では今後どのような地域包括型ケアシステムの整備を行おうとされているのでしょうか?

本市は、自主性・自立性の高い自治体を目指しており、「第3次健やかいきいき甲府プラン」を推進するとともに、「自助」、「共助」、「公助」のバランスのとれた地域福祉社会の実現に向けて取り組んでいます。本市の強みは、地域の中での連携、連帯感が非常に強いところです。社会福祉協議会をはじめ、自治会や老人クラブなど、各団体がしっかりと役割を担ってくれています。それに加えて、行政、介護事業所、医師会、医療機関など、それぞれの専門性を発揮しながら仕組みづくりをしっかりと行い、切れ目のない連携、ネットワークが形成されています。その中に、認知症予防や認知症対策などを組み込んでいきたいと思っています。

本市の高齢化率は、平成27年4月現在で27.6%となっており、現段階で、特別養護老人ホームは10施設あります。本市で策定した「第6次甲府市介護保険事業計画」では、平成27年から29年にかけて、5カ所増設する計画です。その先は、介護保険の要介護認定者が去年の10月時点で1万70人、平成32年には1万2,000人位、約1,900人増えると予想されていますので、その推移を見ながら施設整備をしていきたいと考えています。

また、介護予防事業等が市に移管されたことについては、平成28年度から段階的に実施する予定であり、市の地域支援事業に移ってもそのまま切れ目なく移行できると思います。要支援者の皆様に従前どおりのサービスが提供できるよう、準備を進めているところです。

 

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