menu

スペシャルインタビュー:大和市長・大木 哲 氏

2014/12/16

大和市の人口は約23万2千人。2009年に「健康都市やまと」を宣言して以来、健康を市政の中心に据えてきた。WHO(世界保健機関)の提唱する「健康都市」の考え方に則った同市の取り組みは国内外でも注目されており、2014年10月29日に香港で開催された健康都市連合国際大会で、「健康都市優秀インフラストラクチャー賞」を国内では初めて受賞している。

その大和市・大木市長に大和市の健康政策、そしてご自身の健康に対するダイナミックな考えについて熱く語っていただいた。

 

わが大和市は「健康」をど真ん中において、人の命を育むまちづくりを目指しています!
大木 哲

大和市長
大木 哲 氏

 

―日本の社会保障制度について大和市・大木市長のお考えをお聞かせください。

かつてないほど、社会保障制度に対する課題が、大きくなってきていると思います。しかも、その大きさは今後ますます大きくなることはあっても小さくなることはないということで、今ある様々な政治課題の中でも、最も大きな政治課題の一つではないでしょうか。これだけ高齢化率が高く、しかも人口減少社会に早く突入していく国は、世界的にも例がないことです。そういう意味でも日本の社会保障制度をより充実させて世界に見本を示していかなければなりません。是非その舵取りをしっかりと国のほうでやっていただければと思いますので、しっかりと国の動向を注視していきたいと思っています。

昨年10月末、本市においても高齢化率が21%を超え、遂に超高齢社会に突入しました。我が国の高齢化は、世界に類を見ないスピードで進行していますが、本市では、それを上回る速さになることも考えられます。活力のあるまちを維持することは、これまで以上に重要となり、そのための取り組みを確実に進めていかなければなりません。

 

―人口減少社会に突入しました。少子化に対する大和市の取組みを教えてください。

まず少子化対策において市が具体的に出来ることは限られていると思いますし、本来は国がしっかりやるべきことと思います。例えば、不妊治療には、「一般不妊治療」と「特定不妊治療」があります。 大和市は、神奈川県内で一番初めにこの「一般不妊治療」への助成を導入した自治体であり、また、「特定不妊治療助成」についても国の助成に上乗せをしております。そして、忘れてならないのは「不育症」で、本来生まれてくるはずの赤ちゃんが流産という非常に残念な結果になってしまう。それを防ぐための「不育症治療」への助成も神奈川県内では初めて行っております。

ここ数年は他の自治体でも「不育症治療」に対する助成を始めていると思いますが、全国的にも早い段階で取組みました。つまり、「不妊症」「不育症」の方々は赤ちゃんを望んでいる方なので、国が少子化対策云々というのであれば、こういったところに対してもっと全国ベースでしっかりと予算立てをして、まずこういう方々にこそ国が思い切って支援をしていくべきではないでしょうか?この辺の国の対応策というのは、非常に遅いと思います。お子さんが欲しいご両親に対して国のほうで治療費の支援、極端な話100%助成しても私は良いと思います。大きな橋一本架ける費用よりもそれ以上のお金がかかる筈がない訳ですからね。少子化対策のメニューを作るだけではなく、メニューを作ったら中味、そしてその中味を国民一人一人に理解していただくようなメッセージを出していくべきだと思います。

 

―近年、在宅型のケアを含め包括型の医療ケアシステムの構築が求められております。大和市では今後どのような地域包括型ケアシステムの整備を行おうとされているのでしょうか?

非常に難しいと考えております。何故なら、「在宅型の医療」というのは本当に出来るのかどうか。この根底にあるのは、〝在宅で家族に面倒をみてもらいましょう〟という考え方であり、在り方そのものが、古き良き時代の発想です。政治家の方々がこういうシステムを構築しようとされているとしたら全然戦略性がないということになります。古き良き日本の時代というと、なんとなく良い響きに聞こえますが、女性の方、お嫁さんに頑張っていただいて初めてその上に成り立っているのであって、その前提条件は現在殆ど失われており、10年後にはもっと失われていく、20年後は益々失われていくという大きな流れの上で考えていかなければならない筈なのに、今の政治家の方達が未だ先を見られていないのか、全く現実的ではない古い時代の考えを踏襲している訳です。10年後になったら今よりもっと現実的ではない「在宅」という考えにはどうしても無理があり、少なくとも家族にそれを期待するというのは不可能に近い。何故なら85歳以上で一人暮らしの人が50%を超えているからです。一人暮らしで、何をどうやってやれというのか。それには、お嫁さんがいたり、ご長男が一緒にいるとか、前提条件があって初めてやれることなのです。隣近所の方といっても自ずから限界があります。従ってどうしてもここにはコストがかかってくるのです。実は、根底にあるのは、このコストの問題をどうしていくかということです。そういう背景があって地域包括的な考えを国が打ち出してきていると思いますが、これは確かに難しい問題です。しかし、難しい問題であればある程、其処には別の意味の可能性が秘めていると思うのです。「ピンチはチャンスだ!」という発想で、この問題に真正面から向き合う覚悟で臨まなければ、中々前に進まないと思います。具体的にどうしていくかということを考えていく時に皆さんで叡智を出し合っていくことが必要です。

 

―古来から地域医療を支えてきた医療職種である柔道整復師は、骨接ぎ・接骨院の先生として地域住民の方々に親しまれてきました。今後の超高齢化社会においては、運動能力の維持管理が重要なテーマの一つと感じます。介護分野では柔道整復師は機能訓練指導員として機能訓練を行える職種です。地域包括型ケアシステムの中に柔道整復師の参入は可能でしょうか。大木市長のお考えをお聞かせ下さい。

柔道整復師の方のお仕事というのは、今までも重要な仕事であり、だからこそ、柔道整復師になろうという人がどんどん増えてきている訳です。ただこれからは、今よりももっと社会的責任が大きくなってくる時代に入ってくるのではないかと思っています。それをどういう風にしていくのか、願い通りになっていくのか、或いはその逆方向になっていくのか、大河は願われている方に向かって流れていると思います。しかし大河は流れていたとしても、その大河のほうに流れていかないで、ボートを何処かの木にくくりつけた状態で其処にとどまっているかどうかは柔道整復師の方々が決めることで、答えは柔道整復師の方々の中にあります。

現在、介護予防として通所型の地域支援事業が行われておりますが、その中に柔道整復師の方も関わっていらっしゃって、ただ今のところ一人のため、その輪を広げていくということで今後はもっと関わりが出てくると考えていますし、予防の部分で柔道整復師の方の役割はかなり増えてくると思っています。ただし、鍼灸師の方々の一番弱い部分はエビデンスと言われていますように柔整の方も同様で、その辺をどうやって説得するかにかかっていると思います。本当に大事なことは痛みがとれて治ることであるのにエビデンス一辺倒で、現場の方々は辛い思いをされているでしょう。現実にしっかりとした治療をなさっていることに対してもっと高く評価されるべきではないかと思います。

 

前のページ 次のページ
大会勉強会情報

施術の腕を磨こう!
大会・勉強会情報

※大会・勉強会情報を掲載したい方はこちら

編集部からのお知らせ

メニュー