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本年5月28日衆議院厚生労働委員会質疑の真意について
衆議院議員・大西健介氏にインタビュー!

2014/10/16

―国民皆保険の危機が以前より言われており、TPP導入で一層拍車がかると思われますし、混合診療になりますと今の格差社会において貧乏人は医療にかかれなくなる惧れがあります。大西先生はどのようにお考えでしょうか。

実は私自身、TPPは基本的には、反対ではないのです。医師会が、「皆保険が守れなくなる」と仰られているけれども、私はそんなことはないと考えています。TPPというのは、各々の国がもっている医療保険制度を壊すようなものではないと。勿論非関税障壁をどこまでとるかということですが、例えば日本の右ハンドル左側通行の仕組みまでTPPになって変えなければならないのかというとそんなことではないと思いますし、それはTPPに反対する人たちが国民に不安を過度にあおるような傾向があるのではないかと思っています。

勿論、日本の皆保険制度は絶対守らなければならないと思いますが、TPPに入ったら皆保険が守れないという、そんな話ではない。ただし、金持ちであろうと貧乏人であろうと皆保険の根幹である骨格サービスの部分は最低限確保され、しっかり守られることが前提ではあります。つまり混合診療全てがダメということではなく混合診療をむやみに広げるのはよくないと思っています。混合診療を推進する側がよく例にあげる例ですが、飛行機には、ファーストクラスとビジネスクラスとエコノミークラスがあり、ファーストクラスとエコノミーでは出される料理等サービスは違います。しかし、A地点からB地点まで人を運ぶという本来の骨格サービスについては一緒です。つまり保険が提供する骨格サービスは貧乏人であろうが金持ちであろうが必ず提供してもらえる、そこに貧富の差が生じないということが重要で、今政府がやろうとしていることは、プラスアルファのサービスについて混合診療というと「反対」の大合唱になるため、そうではなく「選定医療」とか「高度先進医療」の枠を広げましょうという話になっています。

丁寧にやっていくと決して酷い話ではなく、お金持ちが標準サービスより良いサービスを受けたかったら、どんどんお金を払ってもらえばいいじゃないですか。その代わり、貧乏人であろうが金持ちであろうが平等に受けられる骨格サービスは、ここは皆保険で絶対に守らなければならない。貧富の差によって受けられる医療の骨格サービスが違うなんていうことになると、アメリカみたいな社会になってしまいますので、絶対にダメです。

 

―2025年までに地域包括ケアシステムの構築が急がれているようですが、そのことについてどのようなことが今後重要になっていくとお考えでしょうか?

地域包括ケアシステムは日本の高齢社会を支える不可欠なシステムで、これがちゃんと出来るかどうかというのは、今後日本の一番大きな鍵になると思っています。しかし、現状は中々簡単には進まない。その中で私も正直言って柔整師さんの地域包括ケアシステムでの役割について、あまり考えたことがありませんでした。ただ先ほども話しましたように高齢者のQOLを上げて出来るだけ在宅で自立した生活をしていただける方には施設ではなく在宅で過ごしていただく。しかも出来れば、最後は病院かもしれませんが、直前までは住み慣れた地域で在宅で暮らしていただく。そのための地域包括ケアシステムですから、住み慣れた場所で自立して暮らしていくために、〝膝が痛くて立てない〟〝外に行って買い物できない〟〝手が上がらないから洗濯物が干せない〟となるとこれは自立できない訳ですから、そこの部分で柔整師さんが果たす役割というのは大きいし、実際に病院と同じくらい接骨院に定期的に通っておられる高齢者がいらっしゃって、夫々の地域において、高齢者が集まってくる一つの拠点にもなっている訳で、その拠点を地域包括ケアシステムの中に上手く取り込んでいくことが出来たとしたら、もの凄く大きな力になると思いますし、多くの高齢者が救われることになります。結果として国も救われることになるのではないでしょうか。

勿論、整形外科と柔整の先生達がお互いに理解しあって、役割分担をして連携されることが課題ではありますが。そういうことからもさっきの話とリンクするんですが、業界団体が一枚岩になって過当競争で柔整師の養成を今後どうしていくのかを話し合う等、現在大勢いる方たちに別の活躍の場を設けるためには、しっかり制度の中に位置づけてもらわなければなりません。だとしたら業界団体がある程度政治的なパワーを持って言っていくことで、これから構築されようとしている地域包括ケアシステムに組み込まれていくのではないでしょうか。今そういう声がワンボイスになって、ちゃんと届いていないから位置づけられていないということだと思います。

 

●大西健介氏プロフィール

1971年4月13日、大阪生まれ。父親の転勤で福岡、奈良で少年時代を過ごす。1990年、奈良学園高等学校卒業、京都大学入学。1993年大学在学中に第一回国会議員政策担当秘書資格試験合格。1994年、京都大学法学部卒業。 参議院事務局に入り、議員立法や議会運営の補佐として活動。1999年、外務省北東アジア課で日韓外交に取り組む。2000年、在アメリカ合衆国日本大使館二等書記官として連邦議会を担当。2004年、参議院事務局を退職すると同時に結婚し、衆議院議員馬淵澄夫の政策秘書となり耐震偽装問題の追及等の国会での活動を支える。2007年、民主党愛知県第13区(安城・刈谷・碧南・知立・高浜)総支部長に就任。2009年、8月30日の第45回衆議院議員総選挙にて愛知13区過去最高の154,779票を獲得、初当選。平成24年(2012年)12月16日の第46回衆議院議員総選挙にて二期目の当選。 衆議院所属委員会:安全保障委員会委員。消費者問題に関する特別委員会委員。

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