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本年5月28日衆議院厚生労働委員会質疑の真意について
衆議院議員・大西健介氏にインタビュー!

2014/10/16

―業界団体の統一について、以前は水面下でやられていることも聞いておりましたが…

それはやられるべきだと思います。というより寧ろ一本化をしなければならないでしょう。全部ひとつの団体にする必要はないけれども、業界の声を一つに纏めたプラットフォームみたいなのを作らなければ、結局政治的なパワーにはなりえませんし、そこが足元をみられているようなところもあるのではないでしょうか。厚労省から、そんなことを言うなら業界として意見を纏めてから言ってきてくださいよという話にどうしてもなってしまうでしょうね。従ってある程度纏める必要はあると思っています。

もう1つは、言い難い話ですが、やはり議連が出来た時に、折角当時与党だった訳ですから、もっと党全体で取り組めば、いろいろ勧めることができたと思います。柔整の問題というのは極めて政治的な部分がありますし、私が中井さんと作った時には所謂療養費の決め方について、バックドアで、話し合いの過程も全く不透明な中で療養費を決めてきた。そんな決め方はないだろうと、例えば医科や歯科であれば、ちゃんと審議会で話し合って、正式な場で答申が出されて、それに基づいて診療報酬改定が行われており、正式な手続きに則って行われています。しかし、柔整に関しては長年にわたって全く不透明な手続きの中でやられてきた。それはおかしいじゃないかと、もっとちゃんと透明性の高い手続きにしてやるべきだというのが中井先生が作った議連の主旨でした。

今まで大島先生が一生懸命やられてきたことは大変立派なことですが、しかし当時は特に与党でしたから、政権与党として一緒にやることが出来ていたら違っていたと思います。ですから我々も偉そうなことは言えない訳で、〝業界団体を一本化してください〟と言っていながら、残念ながら同じ党で同じことをやっているのに、議連が一本化されなかった。一本化が出来て、しかももう少し民主党政権が続いていたら、もっと上手く出来たのではないかと無念な思いでいっぱいです。

そういうことで当時、もう少しで一本化というかプラットフォームを作ろうという動きが業界にはありました。今はその動きが沈下しているようですが、しかしながら、私はこれを放置したままにしておくとかなり危険じゃないかと思っています。その理由としては、〝あんなに不正請求があって、それに対して自浄作用を働かせることが出来ない柔整師に公の保険を使わせていていいのか〟として、受領委任制度そのものがダメになってしまうのではないかと危惧しています。要は、あんないい加減なやつらに保険を使わせるなみたいな話になりかねない。つまり、自浄作用を働かすためには業界が一致して〝悪いことをしている奴らはちゃんと排除します。私たちはちゃんとやります〟ということを公けに言っていかないといけないと思います。

また、中長期的な問題として、専門学校が増えて業界が過当競争になっていることは、間違いないので、その構造をやはり正さなければいけません。判決の問題があるので、専門学校を減らせとは言えないのかもしれませんが、やはりちゃんと保険請求をするためには一定の技術とか実務経験、或いは保険に対する知識等を習得した人のみが大切な保険を扱うことができるような何らかの縛りをかけていく必要があります。真面目にやっている人たちまでが、柔整師はみんないい加減だと思われてしまうという悪循環を断たなければいけません。それを絶たないと行きつく処は、先ほど述べた〝あんな奴らに保険を使わせるな〟ってことになってしまうのではないかと。

将来的に誇りを持って食べていける制度にしていくにはどうするんだということをちゃんとやらなければいけない。それは残念ながら一団体だけでやっても説得力がない。ある程度大きな塊になって、与党にも野党にも働きかけてやっていく仕組みを作らなければならない。それをやらない限り、厚労省も足元をみていますから〝日整と連合会だけで本当に業界を代表しているんですか?他の人たちはなんて言っているんですか?みんな纏めて言って来てくださいよ〟みたいな話になって、結局進まないのです。

 

―更に柔整業界から審査支払機関創設の提案が行われていることに対し、厚労省の見解を求められ、それに対し厚生労働大臣政務官の赤石氏が〝現行の柔整審査会について、審査を行っているものの最終的には保険者が支払の可否を判断していることから、保険者間での取り扱いにバラツキがあり、業界側から審査支払の在り方を見直すべきという声がある。金融業者と柔整師向けの事務管理システム事業者が株式会社を設立し審査支払を行うという内容が保険者や医療関係者などの理解を得られるかどうかとして多くの意見を踏まえて研究・検討したい〟と答えられたことに対して、どのようにお考えですか?

あの時、私は〝職業に誇りを持って真面目に頑張っている人も沢山います。そういう方々は今のこの柔整師の社会的信用を失墜している現状に対して強い危機感を持っておられる。その中で保険者の代表と柔整師の代表、学識経験者の3者構成により審査支払機関みたいなものを作ればいいと提案を柔整師側からされているんですが、この提案をどう評価されますか〟という質問をした訳です。それに対して〝保険者間での取り扱いにバラツキがあり、業界側から審査支払の在り方を見直すべきという声がある…〟と、答弁が食い違っています。本当はなんだか変だなと思って聞きたかったんですが、時間がなかったので、癌センターの話にうつってしまって…。

「金融業者と事務管理システム会社」に関しては私は全く何もそんなこと言っていないのにこの答えはおかしい。しかしもし、ここで言われているような提案が出されているとすれば、私としてはやはり業界団体が一本化されていないところで一つの団体が作るというのは、いかがなものだろうとは思います。先述の柔整師の代表と保険者の代表、学識経験者等、3者で構成された中立で、ある程度公的な審査支払機関を作って、公平な審査を行うべきであるというのが私の主張です。今のような民間代行業者が何の権限もないまま審査支払を行っている仕組みを正す必要があります。

―近年、西洋医学の限界が言われ、人間の体を丸ごとみる全人的医療やオーダーメイド医療が唱えられておりまが、それらについてどのように思われますか?

実は私も、統合医療の必要性を感じております。個人的なことになりますが、これまで私はあまり大きな病気とか怪我で入院したこともなく、腰が痛くなったという経験もなかったんですが、2・3年前、急にギックリ腰みたいになって、それで整形外科に行って診てもらいました。レントゲンを撮った結果〝異常ないです〟と、湿布をくれただけで治してくれませんでした。しかし、痛かったら仕事にならないので〝ハリが効くよ〟と言われて、ハリを打ってもらったところ、楽になりました。

そういう意味で西洋医学は、正に診断と湿布を出すだけなんですね。しかも高齢者の方が整形に行っても治らないんです。やはり接骨院や鍼灸院に行っても根本的には治らないけれども、痛みをとることや和らげることによってQOLは上がります。これだけ高齢社会になってくると高齢者のQOLを上げるという意味において痛みを緩和する「緩和ケア」は非常に重要で、それを投薬ではない手技で行っている柔整や鍼灸というのは大事です。寧ろそれをしっかり上手く活用することによって、総体としての医療費を抑えることにも繋がっていく訳です。ある程度の年齢になって「膝が痛い」や「腰が痛い」というのは、完全に治ることはないのだろうと思います。

仮に接骨院に何回も通うかもしれませんが、そのことによって、例えば歩けるようになれば、QOLが上がって自立した生活が可能になる訳です。もしそういった日常の生活動作が出来なければ、家の外に出られなくなって引きこもりになり、やがて廃用症候群になって、最終的には寝た切りになって施設に入らなければならなくなるというような、ところが何回も通わなければならないかもしれないけれども、自立した生活ができるようになった。つまり、自立して自分で生活できるということと、施設に入ることの比較でいうと総体的には費用が低減する訳です。実際に、痛みを和らげて動けるようにしてくれることに対して患者さんがメリットを感じているからみんな治療院に行くのです。

整形に行って治してくれるのであれば、みんな整形に行きますよ。医療費云々、介護費云々よりも、高齢者が死ぬまで健康に暮らせることが一番な訳です。私の場合、仕事にならないから藁をもすがる思いでハリに行ったら楽になった訳で、だから行くんです。必要性があるから行く。正にこの高齢社会においてニーズがあるということです。やはり西洋医学にも限界があり、それを補うものとしてのニーズがあるということを認めなければいけないのではないでしょうか。

ただし、単なるマッサージというか所謂慰安的なものまで保険の適用範囲を拡げることは〝そこまで有限の資源である保険を使うんですか〟と言われたら、それは違うと思います。高齢者のQOLをあげる意味で一定のルールのもとに一定の必要な緩和ケアに保険を使うことは、介護・医療費まで含めた総体の医療費を長期的には抑えることにも繋がっていくと思っています。

 

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