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第23回柔道整復師小委員会が開催される

2013/12/14
保険者の点検形式について

(質問)
「柔道整復師の施術に係る療養費の審査支払いについて」(平成25年11月21日付大国保連発第3964号)において、「事後点検形式」と「事前点検形式」の併用処理を予定しており、意向調査を行うと記載されている。膨大な事務作業量に思われるが、療養費の適正化へ向けて取り組んでおられる事は評価させていただきたい。しかしながら、「事前点検方式」を選択した場合、「保険者によって支給決定期間が異なるため、現行支払月より概ね1か月~6か月支払月が遅れます」とあり、施術者側にとっても負担を強いられることになると思われる。これについて、厚生労働省の見解を伺いたい。

(回答)
これは具体的には大阪国保連合会の療養費の適正化に向けた取り組みの一環として、『事後点検形式』と『事前点検形式』の2つの併用の処理の意向調査をさせていただいたと聞いている。仮に『事前点検形式』にした場合、現行の支払いの期間に比べ、1か月から最高6か月程度支払いが遅くなる可能性があるというが、私共としても現行より半年近い遅れというのは、中々理解を得るのは難しいのではないのかと考えている。どちらにせよどちらかひとつで処理をするということは考えづらく、結果として『事後点検形式』を選択するところもあれば『事前点検形式』を選択するところも出てくるのではないかと思う。そうすると現在に比べ事務処理も煩雑になることからシステム的な対応も考えていかなければいけない。支払期間を短縮するには今ある課題を精査し、解消に向けた取り組みを行なうことが現時点では必要でないかと考えている。また支払後の相殺処理の取扱いだが、これは一方的に相殺処理をするのではなく、相殺処理については事前に承諾を得た上で処理を行い、承諾が得られない場合には請求書を送って納めてもらうなどの方法を現段階では考えている。このような課題を解決しながら今後、事前点検の導入、やり方などについても検討を進めて行かなければならないと考えている。


 

厚生労働省の答弁を受け、大野もとひろ参議院議員は〝今の話を聞いている限りでは真っ当な回答だと思う。しかし真っ当な回答以前に「こんなことがあるのか?」と感じてならない。なぜこのような厚生労働省の見解が保険事業者に伝わっていないのか。保険事業者に伝わっていないから結局事業者が負担を強いられているというのが現状だと思う。厚生労働省の見解を保険事業者に対し制度的に伝わるようにすべきではないのか〟と、周知体制の不備を指摘した他、尾立源幸参議院議員は〝聞けば聞くほど疑問点やおかしな点が浮かび上がってくる。保険者側とも一度話をし、施術事業者、保険者側両方の立場で話が聞けるようにしたい〟と、問題の根本解決の為、保険者からの意見聴取を示唆した。

参加した柔道整復師からは療養費の相殺処理について〝療養費は国民健康保険の場合、被保険者の属する世帯主の請求に基づいて世帯主に対して支払われる。そのため被用者保険では通常業務として、事後点検において問題が発覚した場合はその世帯主に返還を求めるという作業が行われているが、国民健康保険においては施術を受けた被保険者の属する世帯主に返還を求めるのではなく、同じ柔道整復師が施術を行なった他の被保険者に対して支払われるべき保険金で相殺処理をしている。法令上あり得ないことではないか?〟と厳しい指摘が飛んだ。この問題の解決策としては〝例えば補償金供託制度というものを立ち上げて、単純な請求のミスによる過誤調整はそこで相殺すれば良い。もし不正請求など支払ってはいけないケースが判明した場合は返還請求をして取り戻す〟と具体的な提案がなされ、厚生労働省も〝どういう方向で取り組んでいけばいいのか、意見を伺いながら進めていきたい〟と、柔道整復師の意見も取り入れた制度構築に前向きな姿勢を示した。

また白紙委任の問題については〝療養費だから白紙委任という問題が起こっており、これが仮に現物給付であれば起こらない。この際現物給付として扱い、委任という行為そのものをなくすくらいの抜本的な改革をしてもらいたい。それができないのであれば現物と現金の違いをはっきりして欲しい〟との柔道整復師の要望に対し、厚生労働省は〝検討の後、妙案が提示できないか考えさせていただく〟との回答に止めた。

この他にも〝悪質な広告宣伝で集客をしている整骨院に対し、行政として厳しく指導しルールを守らせてほしい。このままでは真面目な整骨院がつぶれてしまう〟といった切実な意見もあがった。

また今回は柔整小委員会側より「消費税引き上げにおける療養費改定について」の要望書の原案が提案され、拍手を以ってこれを承認。本日の出席者の名簿を付けて田村憲久厚生労働大臣に提出するとのこと。

最後に大島九州男参議院議員から〝今年は大変な年ではあったが、皆さんのおかげで柔道整復師小委員会も第23回目を開催することができた。来年は制度に踏み込んでいき、一歩ずつ具体的な結果を出せる年にしたい。今後ともご協力いただきたい〟との挨拶があり、年内最後の柔整小委員会は幕を閉じた。

 

柔整小委員会がこれまで残してきた功績は多大なものである。しかしながらこの業界にはまだまだ解決しなければならない問題が山積している。大島九州男議員の挨拶にもあったように、来年はより制度に踏み込んだ議論が行なわれ、ひとつでも多くの問題が解決されることを期待したい。

 

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