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柔整探訪、業界内に埋もれている秀でた先生を発掘!【第1回:鶴亀(つるき)整骨院   伊藤篤  氏】

2013/09/01

―長野県の先生でさえそういう悩みをもたれていたのであれば、個人の方はどのように対処されているのかと心配ですね。

個人の方であればダイレクトに保険者さんにいくと思いますので、個人で対応がとれていれば良いとは思いますが、それが出来なければ、直接返戻になるため打撃は大きいと思います。その点、会に入っているとワンクッションありますし、適切な指導もしていただけますので、キチッとした対応がとれると思います。

 

―伊藤先生はこれまで接骨医学会に続けて腰部捻挫の研究発表をされているとお聞きしましたが、もしよろしければ何故その研究を続けていらっしゃるのか、その目的と経緯などを教えてもらえますか?

諏訪地域の柔整師会から有志が集まり活動している研究会があるのですが、その集まりのときに牛山先生から「学会で発表してみないか」と誘われたのが始まりです。最初ははっきり言ってあまり乗り気ではありませんでした。何故ならば、私は面倒くさいことが嫌いだからです。でも、「牛山先生の誘いならばやってみようかな」と思い始めました。そして、テーマを決めようということになり考えていたところ、牛山先生が「伊藤先生、前に県の学会で腰の研究発表をしたでしょう、まずは発表することを目的にして腰の研究発表してみたら」と助言を頂きました。それから何度も牛山先生のところへ足を運び、出来上がったものの演題が「急性腰痛症に対する柔道整復の平均的治療」です。これが第17回で今年が22回ですので、かれこれ6年やっております。その間、牛山先生についていくのは大変でしたが、その反面大きな収穫もありました。最初は発表することだった目的が、診断基準作り、ガイドライン作りへと変わっていきました。その大きな目的は、個人差がありすぎる柔整全体を統一するためです。

 

―6回発表された内容はどのように評価され、臨床現場に役立つようになっていくと思われますか?

今まで発表してきたものは私個人の発表に過ぎないため、あまり評価されないと思います。しかし、毎年続けていることは評価されるのではないかと思います。もし、現在行っているガイドライン作りが成功すれば、現場で必ず役立つことはもちろん、保険者との信頼回復になり評価されると思います。そして、地域医療はもちろんですが、広く国民のため、さらには少々オーバーですが世界中の人々のためにもなると思っています。また、特に研修中の先生や開業歴の浅い先生には必携になると思います。

 

―もし、いろんな疾患の定義が出来たとしても、業界全体の共通認識にならなければダメでしょうし、同時に学校教育に反映されなければ意味がないように思います。その辺についてはどのようにお考えですか?

やはり学校教育には決められた枠があります。当然それに添ってやっていかなければなりません。大学は少しゆとりがあるので、授業と逸脱したこともできると思いますが、しかし専門学校の3年間だと余りにもゆとりがなく国家試験に向けてやっていかなければならないため、現場のことは学校で学べないのが現状です。それでも学校教育は臨床現場に合わせてやっていかなければいけない訳ですが、管轄が国にあるもんですから国自体でそれを変えていってくれなければ難しいと思います。やはり国を変えるためには、何度も言うようですが、明確に基準を示して柔整教育のカリキュラムに取り入れていかなければならないと考えます。学校教育の中で臨床現場に沿って教えていかなければいけないものを明示しなければ国は動いてくれないと思います。ですからそのための学会だと思いますし、学会の役割って非常に重要だと思うんです。そういうことをやはり早急にやって欲しいと思っています。

 

―卒後研修制度の必要性について、聞かせてください。

研修は絶対必要だと思います。私も10年以上研修をしてからの開業で、それは間違っていなかったと思っています。しかし長くやればいいとも限りません。その期間にどれだけ内容が濃いか薄いかの差だと思います。結局、行った研修先によって変わってきます。学校卒業しただけで直ぐ開業ができるのかといったら、まず無理なので、現場に行って其処で又新たに学び直す、勉強し直していかなければいけないということがあるので、研修先で如何学ぶかによって、その先が大きく変わっていくと思います。柔整の必要性を学生の内から理解できていれば、また大きく変わると思うんですね。そういう教育が未だ十分出来ていないのではないかと感じております。いくら学校を卒業したといっても現場では全くど素人というのでは、役に立たないということだと思います。知識はあってもその知識がどれだけ役に立つかというのは研修先で多くのことを学んでいかないと中々それが活かせるようになっていかないんですね。従って学校教育の内からキチンと現場に合わせてやって欲しいと思います。今はそれが出来ていないので卒後研修ということで動かれていると思います。ただし学校でやるべきことと卒後研修でやるべきことは同じである必要は無いので、卒後では現場を実際に学ぶ研修であれば良いと思います。それには、ある程度統一したものが出来ていなければ行った先で差が出てしまいます。整形ではやはり最低これくらいは出来なければいけないという基準がありますので、何処へ行っても最低限のことはできる訳です。ですが柔整は、凄くよく出来る所もあれば、基準を下回るような所もあり、その中間ぐらいの所もあったりで平均化されているという現状ですので、ある程度底上げをしていかないことには卒後研修というものが役立たないと思います。

 

―最後に言いたいことがあれば。

私みたいな若造が偉そうなことを言うのもどうかとは思うんですけれども、一人でも多くの人に賛同して頂けたらと切に思います。この柔整業界を変えて、本当に素晴らしい柔道整復を存続させたい。この柔道整復をダメにしたら勿体無いので、なんとしてでもこの業界を守りたいと思います。まだまだこの仕事は捨てたもんじゃない、まだまだ可能性は持っています。その可能性に皆さんが気づいていただいて一つになれば現状突破は必ず出来ると思います。一人でも多くの、特にこれからの若い先生方たちに賛同していただけたらと願っております。

 

●伊藤篤氏プロフィール

1974年3月、諏訪大社がある地域に生まれ、氏子として子供の頃から御柱祭りに参加。県立諏訪実業高校を卒業後に米田柔整専門学校に入学。1995年柔整師免許取得。接骨院にて学生時代を含め8年間の研修。新規開院の整形外科にて5年間リハビリ室主任を務める。2005年3月、諏訪郡富士見町にて鶴亀(つるき)整骨院を開業。2008年から日本柔道整復接骨医学会に毎年発表。2013年認定柔道整復師取得。

 

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