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柔整探訪、業界内に埋もれている秀でた先生を発掘!【第1回:鶴亀(つるき)整骨院   伊藤篤  氏】

2013/09/01

近年、柔道整復業務内容が不明確になったとされている。古くから「骨接ぎ」として、外傷および運動器の疾患を担当し、医療の裾野を担う職種として、地域に貢献してきたことは紛れもない事実である。

柔整養成校の急増に伴い夥しく誕生した柔道整復師は従来の柔道整復師と一体どこが違うのか?勿論、今の時代背景もあるが教育者並びに業界の責任が問われるところである。今後柔整業界はどのように整理区分され、どのように統一されていくべきなのか?また、保険者が発行するパンフレット等に記されている単なる肩こり・単なる腰痛はどういうものなのか?それにはどのようなことを提示していけばいいのか?

長野県の伊藤篤氏に率直に話していただいた。

 

現在の危機的な状況を打破するためには、 柔整の基準づくりを進めるべきと考えます!

―伊藤先生は米田柔整専門学校を卒業され、その後長い期間病院に勤務されていらっしゃったとお聞きしましたが、これ迄の経緯などを教えてください。

諏訪の高校を出て、米田柔整専門学校に入学、学生の時から接骨院に入りまして、学生の時の3年間と卒業してからの5年間、計8年間接骨院に勤務しました。昔からよく言われているお礼奉公といいますか、お世話になった以上は、最低でも卒業してから3年以上という思いでしたが、もっと勉強したいということで結局5年勤務しました。その後開業も考えましたが、友人から〝整形外科も見ておいたほうがいいよ〟と勧められ、たまたま通りかかった道に新規に開業される整形外科病院の募集が出ていて、ふっと目にとまり応募しましたら通って、開業のメンバーに入り、リハビリ室を全面的に任されました。何故かというと、院長先生は整形外科医でしたが、それまで主に救急医療に居たということもあって〝私はリハビリのことは全く分からないんだ、先生頼むよ〟と仰られそれからずっと5年間主任で勤めましたが、周りのスタッフ達とのコミュニケーションをとっていかなければいけませんし、女性ばっかりで男性は院長と私だけだったものですから、女性とうまくやっていくのは気を遣って結構大変でした。患者さんはあれよあれよという間にどんどん増えて、最初の内はのんびりやっていましたが手がまわらなくなってしまう程でした。非常に良い経験をさせていただきましたし、強い信頼関係も出来ましたのでそういう点でとても有難いことでした。やはりドクターと一緒にそうやって仕事が出来て信頼していただけるというのはこの上ない悦びでもありました。開業することは高校を卒業して名古屋に行く前から親に告げて出て行ったことなので、変える訳にはいきませんでした。既に院長には〝将来的には開業します〟と伝えておりましたし、時期は明確に伝えていなかったんですが、決まった時点で直ぐに伝えました。

整形外科というものはどういうものかということを観させていただいて、柔整と整形外科の比較が出来るようになりました。柔整だけでも勿論やってはいけると思いますが、やはり整形外科に勤務して本当に良い経験をさせていただきました。整形外科でも病院によっては全然違って、それによって任され方も違ってくると思いますし、また経営方針によって違いがあると思います。病院の方針は病院長が決めることなので、それにどれだけ添っていけるかは、中々難しい面もあります。

 

―地元で開業されて、どうでしたか?

勤務時代は、治療だけ専念してやっていれば良かったんですが、独立開業してからは、そこに経営というもう一つ新しいジャンルが入ってくることになって、治療に専念したいけれども、治療に専念していると経営が疎かになり、今度経営のほうを考えると治療が疎かになって、相反するもので、そういった葛藤が物凄くありました。患者さんも順調に増えてきましたが、開業する前の目的や理想からどんどん離れていってそれによるストレスが溜まって、それを何とか凌いで、これぐらいでやっていかなければいけないのかなと思い始めた頃、茅野の牛山先生とお会いして言葉をかけられた時に〝これが自分が求めていたものだ!〟と気づかされました。これが本当に自分がやりたかった患者中心の患者のための医療であり、接骨院としてやっていくために必要なことを教わり、方向転換をはかることが出来ました。当然生活は苦しくなるだろうと思いましたが、辛い時期を凌いでなんとか方向転換をはかることが出来て、今本当にやって良かったと思っています。

 

―整形外科診療と柔道整復診療には何か違いがありますか。

整形外科と接骨院は、基本的に運動器を扱うという点では一緒だと思います。ただ扱う範囲として整形外科は運動器全般ですので、多種多様な疾患、それこそ危険なものも扱っておりますが、個人病院では扱える範囲が限定されますから大きな病院に送ることになります。一方柔整は運動器を扱っておりますが扱える範囲が限られ、機械的に加わった外力によって起こる外傷であったり、炎症性の疾患等、範囲が限定されています。とは言っても、限られている中でも結構巾は広く、要は保存的に治療を行いますが、その違いはあります。整形の場合、所謂薬・注射・手術が基本で、当然整形でも保存的な治療を行います。それでもあまり多くはないと思います。今、当院にみえる患者さんから話を聞いても薬・注射中心の治療が多いです。また、画像があると無いとでは、診断力の違いは大きく、昔は負い目に感じていましたが、逆に今は有利であると感じるようになってきています。画像よりもっと早く診断できる方法、症状から診ていくという方法で、それは我々の武器だということが分かりました。場合によっては画像があったほうが良いものも当然ありますので、そういうものに関しては病院に送るようにしています。それらをキチンと、こういう症状はこういうタイプという風に区分・鑑別が出来るようになってこないと分からないので、その症状が一体どういうものかの判断がつかないと思うんですが、その区分ができるようになってきた時に〝あ、これはやはり有利だな〟というのが分かるようになってきました。当然、多くの経験をして、沢山の症例を診ていかないと分からないと思いますが、その基準となるものがあれば、これはこういうものだなということをその基準から判断が出来るようになるだけでも違ってくると思います。例えば本に書いてあることが、本当にそうなのかというのは経験することによって〝本当にこれはこういうものなんだ〟と実感するとまたそれが次に繋がっていく可能性がある訳です。ただ診ただけ、知識として入っただけでは、凄く勿体無いのでそれが実際に現場に役立つようになっていった時にそれが宝になると思います。

 

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