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医療法人社団癒合会高輪クリニック理事長  陰山康成氏インタビュー

2013/01/16

―和合医療のキーワードとして「和合精神」「医療費の削減」「ホスピタリティ医療」の3つを上げられましたが、夫々についてご説明ください。

和合精神とは、多神教の精神であり、健康観においては、人それぞれに崇高な内在する神仏が病気から回復する根源であるという思い。また治療にあたっては、西洋医療と伝承療法、東洋医療が和して同せずという感覚の元、根源に和の感覚をもちながらシステムに関しては餅屋は餅屋の感覚で出番を弁えるというニュアンスをふくんでいます。

医療費削減は政府、官庁主導でなしうるものは少なく、全国民の意識にかかっています。むやみに医療機関にかかることがないように平素から健康管理を本気で実践すること、己に内在する自然治癒力の及ぶ範囲を知り、医療機関との付き合いを最低限にすること、薬物に無闇に頼らない意識づくりが大事です。また予防医療指導のプロが不在の日本において医療費削減のためにも、病気にかかってからの医師と同格の予防医療のプロとして医師資格が日本にも必須と考えられます。その候補として未病という概念のある東洋医療を扱う鍼灸師、マッサージ師の方および殺法、活法を基盤として伝統的な柔道整復師があげられます。準医師資格であるこれらの資格を有する方々が、実践で役立つ予防医療の伝道師としての医師資格を有することが理想です。

17世紀に医学の世界から精神的要素がぬかれて以来、健康管理に心理的要素はあげられていますが、おまけの存在に成り下がって久しい状況が続いています。

患者サイドからみた質の高い医療には、病気で掛かる患者様の心理面を繊細に配慮し、当然他の業種と同様にホスピタリティーを重視することが必須です。最高の接遇マナーを有した医療スタッフ、エンターティメント設備満載の医療施設、医療システムが存在してこの施設であれば人生の終焉を迎えてもよいと思えるほどの場を増やすべきと思います。

 

―やはり、陰山先生は〝願わくば柔道整復師・鍼灸師等、有資格者の方たちが、中国や韓国、インドと同じように、日本の伝承医療を推奨する医師として活動できるよう、少なくとも柔道整復師の保険医化ができると水準が上がる。西と東の医師がそろって初めて、本物の統合医療・和合医療が推進されるのではないか〟とも述べられておりますが、そういったことが可能であるとお考えでしょうか?またそのためにはどのような方法や手段を用いるべきとお考えですか?

予防医療のプロとしての医師、さらに医師化して通常の医師と横並びの関係ができることで日本の東洋医療、伝承療法のスタンダードの引き上げにも確実につながると思ってます。

政治家、官庁を巻き込んで新しい医師資格をつくる是非をディスカッションした上で早々に前にすすめるべきです。その意味で統合医療普及、促進連合会の存在は一歩前にすすめる格好の会合だと思います。

 

―更に陰山先生は、〝専門学校では解剖学や生理学など西洋医学と全く同じような授業で、気の流れを紐解くことは全くない。元々柔道整復の始まりは「殺法」「活法」という、倒した相手に命を落とさせることなくその傷を治すという和の精神、その感覚を持って気の流れを前提とした柔道整復を復権させていただきたい。それでこそ柔道整復師の存在意義がある。東洋医療系の有資格者が予防医療として患者個人に合った食事・運動・メンタルケアを指導することによって健康づくりができるのであれば、確実に医療費の削減にもつながる。そこには気の流れなどの東洋のものの考え方が必要だと私は考えている〟とも話されています。気の流れを前提とした柔道整復の復権というのは、どういうことか教えてください。

元来、古典には柔道整復の活法は、外傷によって障害を受けた部位の物理的修復と同時に外傷によって寸断されたり傷められた経絡(気の流れ)の修復をする行為と書かれており柔道整復の源は鍼灸経絡治療で言われる気の世界と一体化していたと推測されます。今後は予防医療のプロとしての活動のために、鍼灸と柔道整復の履修を全員が必須として、かつ予防医療の実践的な内容を指導できる職業に昇華していただきたいと思います。

 

―今までの経緯と今後の活動予定についてお聞かせください。

私は九州歯科大学を卒業してから、以降、鶴見大学歯科麻酔教室、離島での僻地医療、東海大学医学部、愛知医科大学付属病院高度救命救急センター勤務、東京医科歯科大学大学院、岐阜大学大学院で学び、そして数々の医療現場に携わってまいりました。現在に至り、全国3か所の高輪クリニックでの臨床と岐阜大学救命救急科所属での研究活動を行なっていますが、来年岐阜大学の勤務が完了になり、いよいよ和合医療型病院設立にむけて動きを開始します。

幼少時より自律神経のアンバランスからくる様々な病態に陥り、入院も含めて医療機関には頻繁にかかっていました。その折臨床医療に対しての矛盾や憤りを子供ながらに感じ、医療の大改革の必要性を自らの体験から感じました。歯科麻酔科所属時代に鍼灸経絡治療と出会い、また島根県知夫里島での僻地医療で赴任した際に、自然志向に傾倒することになります。

其の後開業した高輪クリニックでは最先端の西洋医療である癌免疫療法、再生医療も手掛ける一方、アイヌの薬草、チベットの薬草を積極的に用いるなど和合医療を臨床において実践し続けています。

 

―最後に陰山先生の今後の目標などもお聞かせください。

和合医療型の東西医療が自由に選択でき、かつエンターテイメント満載の医療施設の運営、国際和合医療学会の拡大、多神教的感覚での医療システムの構築をいたします。

 

●陰山康成氏プロフィール

●担当: 内科・歯科
●出身大学: 福岡県立九州歯科大学歯学部、東海大学医学部
●理念:
患者サイドに立って真に役立つ本物医療の構築を"和合医療"と"武士道"のキーワードで本気でねらっています。健康創造は自らの実践がなければ説得力がないので、現在、和太鼓、空手、サウナを隔日でこなしています。
●HP:https://www.takanawa-clinic.com/

 

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