柔道整復師国家試験対策【第19回:生理学 ―尿の生成、内分泌、生殖編―】
解答
尿の生成
- 問題1
- 解答 4
腎機能
- 1)
- 生体内に不要な物質の排泄
→ 尿酸 尿素 クレアチニン 乳酸など - 2)
- 体液浸透圧の維持
- 3)
- 体液量の調節
- 4)
- 体液pHの調節
- 5)
- 電解質組成の調節
- 6)
- ホルモン産生(レニン、エリスロポエチン)
- 7)
- 活性型ビタミンDの合成
- ※
- 解毒作用は肝臓の作用である。
- 問題2
- 解答 2
糸球体濾過量は糸球体濾過圧によって決定される。
糸球体濾過圧は、糸球体血圧、膠質浸透圧、ボーマン嚢内圧によって決定される。
糸球体血圧−膠質浸透圧−ボーマン嚢内圧=糸球体血圧
つまり、糸球体血圧は濾過に対して+に働く圧力であるが、膠質浸透圧、ボーマン嚢内圧は、濾過に対して−に働く圧力となっている。
- 問題3
- 解答 1
ナトリウムの再吸収部位
1
1) 近位尿細管 2) ヘンレの係蹄上行脚 3) 遠位尿細管 4) 集合管
このうち、全体の70〜80%が近位尿細管で再吸収される。
因に、遠位尿細管、集合管でのナトリウム再吸収はアルドステロン依存性である。
- 問題4
- 解答 2・4
糸球体中の血液成分はそのほとんどがボーマン嚢中に濾過される
しかしながら、ある成分は濾過されることはない。
ボーマン嚢に濾過されないもの
- 1)
- 血球成分(赤血球 白血球 血小板)
- 2)
- 血漿蛋白(アルブミン グロブリン フィブリノーゲン)
つまり、尿中に血球成分と血漿蛋白は通常検出されることはない。
- 問題5
- 解答 3
糸球体ろ過の原則:
ボーマン嚢へは血球成分(赤血球・白血球・血小板)と血漿タンパク質(アルブミン・グロブリン・フィブリノーゲン)を除き、全てろ過される。
しかしながら、グリコースはろ過されるものの、全て尿細管で再吸収されるために尿中に排泄されることはない。
- 問題6
- 解答 1
ナトリウムも水も近位尿細管で最も再吸収される。
⇒全再吸収量の70~80%が近位尿細管におけるものである。
- 問題7
- 解答 3
バゾプレッシン:
腎における水の再吸収と血管収縮機能を有する
よって、体液量の調節と体液濃度の調節と血圧調節に関与するホルモンである。
容量受容器は血液量を感知するものであり間接的に体液量を検地するものとっており、体液濃度は浸透圧に反映されるものであり、浸透圧受容器によって検地するものであり、圧受容器は、血圧を検地するものである。
化学受容器は血液中のガス分圧を検地するものであり、バゾプレッシンとの関連はない。
- 問題8
- 解答 2
腎におけるナトリウム再吸収
再吸収箇所:
近位尿細管 ヘンレ係蹄上行脚 遠位尿細管 集合管
このうち、70~80%が近位尿細管で再吸収される。
水の再吸収
再吸収箇所:
近位尿細管 ヘンレ係蹄下行脚 遠位尿細管 集合管
このうち70~80%が近位尿細管で再吸収される。
- 問題9
- 解答 2
尿中に含まれる主要有機物質
尿素 尿酸 窒素 馬尿酸 クレアチニン
グルコースは、尿細管にて完全に再吸収されるために尿中には含まれない。
- 問題10
- 解答 1
排尿中枢:橋と仙髄に存在する。
排尿に関与する内臓筋(平滑筋)→交感神経(下腹神経)と副交感神経(骨盤神経)→膀胱(膀胱壁) 内尿道括約筋
排尿に関与する骨格筋→陰部神経→外尿道括約筋
排尿反応:
膀胱壁収縮 内尿道括約筋弛緩 → 副交感神経(骨盤神経)作用
蓄尿反応:
膀胱壁弛緩 内尿道括約筋収縮 → 交感神経(下腹神経)作用
内分泌
- 問題11
- 解答 2
代表的ホルモン
視床下部ホルモン:
成長ホルモン放出ホルモン プロラクチン放出ホルモン
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
性腺刺激ホルモン放出ホルモン
下垂体前葉ホルモン:
成長ホルモン プロラクチン 甲状腺刺激ホルモン 副腎皮質刺激ホルモン
性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
下垂体後葉ホルモン:
バゾプレシン、オキシトシン
甲状腺ホルモン:
サイロキシン、トリヨードサイロニン
副腎皮質ホルモン:
コルチゾル(糖質コルチコイド)、アルドステロン(電解質コルチコイド)、性腺ステロイド
副腎髄質ホルモン:
カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)
膵島ホルモン:
インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン
性ホルモン:
男性ホルモン(アンドロジェン、テストステロン)
女性ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)
ペプシンはタンパク質分解酵素であり、ホルモンではない。
- 問題12
- 解答 4
下垂体ホルモン
下垂体前葉ホルモン:
成長ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
下垂体中葉ホルモン:
メラニン細胞刺激ホルモン
下垂体後葉ホルモン:
バゾプレッシン、オキシトシン
※ 性腺刺激ホルモン放出ホルモンは視床下部ホルモンである。
視床下部ホルモン:
成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン抑制ホルモン、プロラクチン放出ホルモン、プロラクチン抑制ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン
- 問題13
- 解答 3
- 問題14
- 解答 3・4
ホルモンの分類
ペプチド型ホルモン:
視床下部ホルモン、下垂体ホルモン、消化管ホルモン、膵島ホルモン
アミン型ホルモン:
副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモン、松果体ホルモン
ステロイド型ホルモン:
副腎皮質ホルモン、性腺ホルモン
アルドステロンは副腎皮質ホルモン、アンドロジェンは性腺ホルモン、プロラクチンは 下垂体前葉ホルモン、カテコールアミンは副腎髄質ホルモンである。
- 問題15
- 解答 2
インスリン:膵島のB細胞から分泌
グリコーゲンを合成することにより血糖値を下げる機能を有する。
トリヨードサイロニン(甲状腺ホルモン)、アドレナリン(副腎髄質ホルモン)は、グリコーゲンの分解を促し、血糖値を上げるホルモンである。
メラトニンは松果体から分泌され、日内リズムに関係するホルモンである。
- 問題16
- 解答 4
成長ホルモン
下垂体前葉から分泌される。分泌調節は、視床下部ホルモンである成長ホルモン放出ホルモン、抑制ホルモンによる。その他には、睡眠時、血糖値低下、ストレスなどがあげられる。
生理作用
細胞組織(器官)の成長を促す
骨に足しては骨端軟骨に作用し骨長径成長を促す。また、血糖値上昇、血中遊離脂肪酸増加作用を認める。
- 問題17
- 解答 3
コルチゾル(糖質コルチコイド)
副腎皮質束状層から分泌される。
分泌調節は、視床下部、下垂体前葉の副腎皮質刺激系ホルモンである。
分泌リズムは朝方(午前中)に高い。
生理作用
- 1)
- 糖新生(血糖値上昇)
- 2)
- 他のホルモンの許容作用
- 3)
- 抗免疫作用(免疫力を押さえる)
- 4)
- 抗炎症反応(炎症反応を押さえる)
- 問題18
- 解答 1・2
アドレナリン、ノルアドレナリン生理作用
心拍出量増大、末梢循環抵抗増大、血圧増加、遊離脂肪酸増加、中枢神経刺激、熱産生量増大、血糖値上昇
- ※
- 心拍出量はアドレナリンで増大するがノルアドレナリンでは減少する。
- ※
- 末梢循環抵抗は、アドレナリンで減少するが、ノルアドレナリンで増大する。
- 問題19
- 解答 2
プロゲステロン(黄体ホルモン)
排卵後の卵胞(黄体)から主として分泌される。
よって、性周期で結う黄体期に分泌量が増大する。
生理作用
- 1)
- 乳腺組織の発育
- 2)
- 受精卵の発育、妊娠維持作用
- 3)
- 体温上昇作用
- 4)
- 排卵の抑制
- 5)
- 着床の容易化(子宮粘膜の分泌亢進)
排卵の誘発は、性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモンによる。
生殖
- 問題20
- 解答 1
主生殖器の分化
主生殖器(卵巣 精巣)
主生殖器の原基→生殖腺隆起
生殖腺隆起髄質→精巣へ
生殖腺隆起皮質→卵巣へ
ウォルフ管→精巣上体、精管、精嚢、射精管へ分化
ミューラー管→卵管、子宮、膣へ分化する
- 問題21
- 解答 2
性周期
1)卵巣周期
① 卵胞期
② 排卵期
③ 黄体期
2)子宮内膜周期(月経周期)
① 月経期
② 増殖期
③ 分泌期
※黄体期と分泌期は一致する。
性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)は排卵期に分泌最大卵胞ホルモン(エストロゲン)は卵胞後期(排卵前期)に分泌増大
黄体ホルモン(プロゲステロン)は黄体期に分泌増大
- 問題22
- 解答 2
胎盤はホルモンを産生する
胎盤ホルモン
- 1)
- HCG(絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性性腺刺激ホルモン)
- 2)
- HCS(絨毛性乳腺刺激ホルモン)
- 3)
- プロゲステロン
- 4)
- エストロゲン
この四つのうち、HCGのみ妊娠前期に分泌が増加、残りの三つは妊娠後期に分泌増大
オキシトシン作用
- 1)
- 子宮筋収縮
- 2)
- 乳汁筋に作用し乳汁射出
胎盤構成
- 1)
- 母親由来の基底脱落膜
- 2)
- 絨毛間腔→血液で満たされる。
- 3)
- 胎児由来の絨毛膜有毛部
- 問題23
- 解答 3
性周期とそれに関連するホルモン
卵胞期に最大の分泌量となるもの:卵胞ホルモン(エストロゲン)
排卵期に最大の分泌となるもの:卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン
黄体期に最大の分泌となるもの:黄体ホルモン(プロゲステロン)
妊娠前期に最大の分泌となるもの:絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)
如何でしたか。
今回は皆さんが苦手としている内分泌が含まれています。この問題だけで十分出題しきれていない部分もあります。国家試験の過去問も是非とも実施してみて下さい。昨年度のバックナンバーで今回の部分をしっかりと履修して下さい。次回は残りの部分を出題します。
●プロフィール
西村 雅道
医学博士 柔道整復師 鍼灸師 柔道整復師専科教員免許
一社)日本整体協会インストラクター
北斗総合整骨院院長