柔道整復師国家試験対策【第5回:解剖学のポイント ―神経系・感覚器系編―】
神経系 末梢神経(続き)
- 21)
- 神経叢を形成しない神経
胸神経
- 22)
- 頚神経叢の枝(皮枝、筋枝に分けて)
皮枝:小後頭神経、大耳介神経、頚横神経、鎖骨上神経
筋枝:頚神経ワナ、横隔神経
- 23)
- 腕神経叢の枝
肩甲背神経、肩甲上神経、肩甲下神経、胸背神経、長胸神経、鎖骨下筋神経、内側外側胸筋神経 腋窩神経、筋皮神経、正中神経、橈骨神経、尺骨神経、内側上腕皮神経、内側前腕皮神経
- 24)
- 以下にあげる神経の支配筋
肩甲背神経:肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋
肩甲上神経:棘上筋、棘下筋
胸背神経:広背筋
肩甲下神経:肩甲下神経、大円筋
長胸神経:前鋸筋
筋皮神経:烏口腕筋、上腕二頭筋、上腕筋
正中神経:円回内筋、橈側手根屈筋、長掌筋・浅指屈筋、深指屈筋(2、3指)、長母指屈筋、方形回内筋、短母指屈筋(浅部)、母指対立筋、短母指外転筋、虫様筋(2、3)
尺骨神経:尺側手根屈筋、母指内転筋、短母趾屈筋(深頭)、虫様筋(4、5)、背側掌側骨間筋、小指球筋
橈骨神経:上腕三頭筋、肘筋、腕橈骨筋、長短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、長母指伸筋、長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋
- 25)
- 上腕動脈と共に伴行する神経
正中神経と尺骨神経
- 26)
- 上腕深動脈と共に伴行する神経
橈骨神経
- 27)
- 肘と手部(手関節)における尺骨神経通過部
肘:内側上顆後面の尺骨神経溝(肘部管)
手部:尺骨神経管(ギヨン管)
- 28)
- 上肢における二重神経支配筋
深指屈筋、虫様筋、短母指屈筋
- 29)
- 胸神経が支配する筋
筋:肋間筋(外肋間筋、内肋間筋)、腹壁筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)
- 30)
- 腰神経叢の枝
腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経、陰部大腿神経、大腿神経、閉鎖神経、外側大腿皮神経
- 31)
- 以下にあげる神経の支配筋
大腿神経:腸腰筋(腸骨筋、大腰筋)、恥骨筋、大腿四頭筋、縫工筋(膝関節筋)
閉鎖神経:短内転筋、長内転筋、大内転筋、薄筋、外閉鎖筋
- 32)
- 仙骨神経叢の枝
上殿神経、下殿神経、坐骨神経、後大腿皮神経
- 33)
- 以下にあげる神経の支配筋
上殿神経:中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋
下殿神経:大殿筋
坐骨神経:大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋
浅腓骨神経:長腓骨筋、短腓骨筋
深腓骨神経:前脛骨筋、長母指伸筋、長指伸筋、第三腓骨筋
脛骨神経:腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、足底筋、膝窩筋、長母指屈筋、長指屈筋
- 34)
- 自律神経の特徴
効果器に対して、二重支配、拮抗支配
- 35)
- 交感神経の特徴
節前線維が短く、節後線維が長い
- 36)
- 副交感神経の特徴
節前線維が長く、節後線維が短い
- 37)
- 代表的な交感神経節
星状神経節 上・中・下頚神経節 腹腔神経節 上腸間膜神経節 下腸間膜神経節
- 38)
- 代表的な副交感神経節
毛様体神経節、翼口蓋神経節、耳神経節、顎下神経節
感覚器系
- 1)
- 皮膚の層構造
外側から表皮⇒真皮⇒皮下組織
- 2)
- 表皮の最外層と最内層
最外層:角質層
最内層:基底層
- 3)
- 表皮の細胞分裂部、メラニン細胞存在部
基底層部
- 4)
- 表皮に存在する受容器と受容感覚
自由神経終末:痛覚、温覚、冷覚
メルケル触覚円板:触覚
- 5)
- 真皮の組織像
密性結合組織
- 6)
- 真皮表面部の特徴
乳頭構造(指紋の形成)
- 7)
- 真皮に存在する受容器と受容感覚
マイスネル小体:触覚
- 8)
- 皮下組織の組織像
疎性結合組織
- 9)
- 皮下組織に存在する受容器と受容感覚
ファーテルパチニ小体:触圧覚
- 10)
- 皮膚腺の種類
汗腺、脂腺、乳腺等
- 11)
- 汗腺の分類と存在部位
小汗腺(エクリン腺):全身に分布
大汗腺(アポクリン腺):腋窩 乳暈 会陰部など
- 12)
- 眼球の構造
外膜:線維膜⇒角膜と強膜から成る
中膜:血管膜⇒虹彩、網様体、脈絡膜から成る
内膜:網膜⇒網膜盲部と網膜視部から成る
- 13)
- 角膜の血液分布量と色調
血管分布はない。無色透明
- 14)
- 強膜の色調
乳白色
- 15)
- 虹彩に存在する平滑筋線維
瞳孔括約筋と瞳孔散大筋
- 16)
- その筋の支配神経
瞳孔括約筋:副交感神経(動眼神経)
瞳孔散大筋:交感神経
- 17)
- 毛様体の働き
1.眼房水の産生分泌
2.水晶体の厚さを調節する
- 18)
- 網膜の分類と違い
網膜盲部と網膜視部に分かれる。
網膜視部には視細胞が存在し、視覚を受容する。
- 19)
- 視細胞の種類、機能と、存在部位
杆状体細胞:光を受容する⇒網膜視部の視細胞層に存在
錐状体細胞:色を受容する⇒網膜視部の視細胞層に存在
- 20)
- 杆状体細胞と錐状体細胞の分布量の違い
全体的には杆状体の方が多い
- 21)
- 盲点と視力が鋭い点
盲点:視神経乳頭部
視力鋭い部分:黄斑の中心窩
- 22)
- 視力の鋭い点はどこに存在し、どの視細胞が多いか
黄斑中心窩は眼球後極のやや外側にあり、この部分だけは錐状体が多い。
- 23)
- 外眼筋の種類と支配神経
上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋⇒ 動眼神経支配
外側直筋⇒ 外転神経支配
上斜筋⇒滑車神経支配
- 24)
- 涙腺の存在部位と、鼻涙管の開口部
眼球外側上方部に存在、鼻涙管は下鼻道に開口する。
- 25)
- 外耳の構成
耳介と外耳道
- 26)
- 中耳の構成
鼓膜と鼓室
- 27)
- 中耳と交通する部位
咽頭
- 28)
- 耳小骨を外側から(付着部位も)
鼓膜⇒ツチ骨⇒キヌタ骨⇒アブミ骨⇒前庭窓
- 29)
- 内耳の骨迷路
半規管、前庭、蝸牛
- 30)
- 前庭、半規管、蝸牛の膜迷路とそれぞれに存在する、受容器、その受容感覚
前庭:卵形嚢・球形嚢⇒平衡斑(生理では耳石器)⇒直線加速度
半規管:膜半規管⇒膨大部稜⇒回転加速度
蝸牛:蝸牛管⇒コルチ器⇒聴覚
神経系(中枢神経)61項目、神経系(末梢神経)34項目、感覚器系30項目の主要ポイントをお送りました。今回も、かなりボリュームがありました。神経系は大変苦手意識が強いユーザーが多いことと思います。ひとつひとつを整理しそのひとつひとつを確実に暗記して他の部分と混同しないようにすることが最も大切な部分です。
神経系、感覚器系からは5〜7題程度の出題が予想されます。しっかりとポイントを把握し得点分野となるようにしてください。解剖の神経系、感覚系は生理学の神経、感覚とリンクする部分が多々あります。生理学のこの分野も同様な出題数が予想されますので、かなりの得点が見込めます。逆に、この分野の苦手さは、解剖学生理学を通してかなりのダメージを食らいます。よって、合格に手が届かなくなる恐れもあります。『神経を制する者は解剖を制する。』と言っても良いくらいです。大変であると思いますが自分のものとして下さい。
今回の内容で疑問や理解できにくい部分は、教科書や友人に聞いてみるなりして整理していってください。これまでに3回わたって解剖学の主要ポイントをお送りしました。このポイントさえ理解し抑えておけば、必須問題、一般問題においても間違いなく合格基準を満たします。健闘を祈っております。また、このシリーズでは筋骨格系をお送りしませんが、そちらも毎日こつこつと1つずつ覚えていって下さい。特に筋系が苦手な方は大関節の運動に関連する筋から覚えていって下さい。(肩関節、肘関節、股関節、膝関節)
次回からは生理学の主要ポイントをお送りします。ユーザーの皆様が解剖学を得意科目とすることを期待しています。それではまた次回宜しくお願い致します。
西村 雅道
●プロフィール
西村 雅道
柔道整復師、鍼灸師、柔道整復専科教員、医科学修士
平成15年より平成26年まで学校法人杏文学園東京柔道整復専門学校に在職、同校の国家試験対策を牽引。また国家試験対策塾『杏文塾』の代表として同塾を運営。著書に一般臨床ポイントマスター。現在北里大学大学院博士課程に在学。