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(公社)日本柔道整復師会第39回東北学術大会福島大会開催!

2018/10/16

残暑厳しい8月26日(土)27日(日)の2日間、郡山ビューホテルアネックスにて(公社)日本柔道整復師会 第39回東北学術大会福島大会が開催された。今大会は、1日目に特別講演1つと東北6県の会員が実技発表、2日目も特別講演2つ6県の会員が研究発表を行う等、大変熱心な大会であった。

主催・(公社)日本柔道整復師会、主管・(公社)福島県柔道整復師会、協賛・日本柔道整復師会東北ブロック会、後援・福島県郡山市、福島県医師会、(一社)日本柔道整復接骨医学会、(公財)柔道整復研修試験財団、(公社)全国柔道整復学校協会、福島民報社、福島民友新聞社

東北学術大会福島大会

開会式が開かれ、はじめに主管県である(公社)福島県柔道整復師会会長・遠藤寿之氏が〝この大会は、「学ぶ・学ぶ・学ぶ」の3つをテーマとして準備を進めて参りました。(公社)日本柔道整復師会 第39回東北学術大会福島大会を開催いたします!〟と力強く開会宣言を行った。

大会会長挨拶で(公社)日本柔道整復師会会長・工藤鉄男氏は〝今般4月から制度改革とカリキュラムを変更させて頂きました。私ども5年前からこの業界このままでは大変なことになるという思いで、この改革に着手、準備をさせて頂いた。その結果、5年後の本年4月から制度改革と教育改革を行うことが出来ました。それについて本大会学会誌に(公財)柔道整復研修試験財団代表理事の福島統氏が語られています。職業として接骨院を守るだけで果たして明るい未来になっていくのか?みんなで力を合わせて努力をしていかなければいけない。その先頭を走るのが日本柔道整復師会です。まずはカリキュラム、同時に保険取扱いを実務経験3年なければ施術管理者になれない。それが今年の4月から実施され、これは未だ日本柔道整復師会が種をまいただけで3年後にどういう花が咲くのか?3年間研修した実績を国民が知った時に地域包括ケアシステムの参入に日本医師会が間違いなく行ってくれると私は確信しています。みんなでしっかり勉強し、学んだことを地域の患者さんの患部に触って心を癒していただければと思います。これからも柔整業界は感謝の気持ち、利他の精神を思い、謙虚な気持ちで対応していくことを目標として頑張って参りたい。今日はみんなで勉強しましょう!〟と熱く述べた。

次に日本柔道整復師会東北ブロック会長・櫻田裕氏は〝さきほど工藤会長から力強い言葉を頂きました。東北ブロック会、現在1400名の会員であります。業界を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。平成24年の4課長通知にはじまり療養費の適正化が保険者の中で行われております。患者照会、不支給という事例が大変多く見受けられます。やはり患者に対する施術の必要性、正当性、妥当性をしっかりと説明責任がはたされていないのではないかという気がしてなりません。今後東北ブロックにおきましては保険と学術が一体になって我々の業務の必要性、正当性、妥当性を患者、そして保険者に説明責任を果たしていくことが我々の業務の最重要課題と考えています。本大会で最新の治験をしっかり皆さんに披露していただく有意義な大会になると確信しております〟等、挨拶。

引き続いて、(公社)日本柔道整復師会保険部・藤田正一氏による「柔道整復師と地域包括ケアシステム-2018柔道整復師と介護予防-」と題した介護セミナーが行われた。

 

1日目特別講演:
肩関節脱臼の病態と治療

公立大学法人福島県立医科大学特任教授
附属病院整形外科肩関節クリニック
担当・宍戸裕章 氏

宍戸氏は、〝肩関節前方脱臼はBankart病変を伴うことや、三角筋膨隆の消失、肩峰突出等独特の変形がみられる。腋窩神経麻痺、骨折(上腕骨頚部、大結節、関節窩、鎖骨)など可能な範囲で合併症のチェックを行う。徒手整復にあたっては、疼痛で筋緊張をきたしている患者をリラックスさせ、いかに脱力を促すことができるかがポイントであり、疼痛のため筋弛緩が得られず、整復操作が困難な場合、確実な鎮痛や筋弛緩を得るための処置(全身麻酔など)を行った上で愛護的に徒手整復を行う。整復が困難なときは、大結節骨片、関節窩骨片、上腕二頭筋長頭腱などが整復阻害因子となることがあり、その場合はCT等で評価を行った上で、観血的処置を行う必要がある。また、大結節骨折や頚部骨折の合併が疑われる場合もあり、脱臼に対する徒手整復により医原性頚部骨折を生じたり、頚部骨折の転位を増大させる可能性がある。

徒手整復を行う場合には、より慎重な整復操作が必要となる。肩関節脱臼に頚部骨折を合併している場合は、徒手整復自体を禁忌とする意見もある。外旋位固定法は、外旋位固定の中期成績(Itoi E.2007)intcntion-to-trcat 分析、無作為比較試験によると、再脱臼率は外旋位固定群が全体の26%、内旋位固定群は42%(相対危険減少率38.2%)。遵守できた症例としては外旋位固定群20%、内旋位固定群38%(相対危険減少率48.8%)である。年齢別の比較では30歳より年長例との両群間で再脱臼率に有意差は無い。30歳以下の症例で再脱臼率は外旋位固定群が32%、内旋位固定が60%であった。下垂外旋位固定は内旋位固定と比較して再脱臼発生の危険性を低下させる。特に、30歳以下の症例に有用である。外旋位固定の治療成績は、初回外傷性肩関節脱臼188例を内旋位固定群と外旋位固定群に無作為に割り付け3週間固定し、2年時の調査で比較検討した結果、再脱臼率は内旋位固定群が24.7%、外旋位固定群は30.8%で有意差はなく外旋位固定を行っても再発率は減少しない〟等、説明。

また、ヒポクラテス法、スティムソン法、Milch法、コッヘル法、Cunningham法(筋マッサージによる整復)等について解説があった。 〝反復性脱臼に移行後は、自然治癒は殆ど無く、筋力強化運動は無効である。肩内旋筋、内転筋の筋力強化、肩関節初回脱臼による外旋位固定法、内旋位固定法(従来法)、脱臼予防装具と運動制限をすることにより脱臼を防止し、外転と外旋、水平伸展を制限する。とにかく固定をすれば少し安定化するのではないかという事で行っていた時代もあったが、一般的な固定はあまり効果がないと言われている〟等、肩関節脱臼の合併症と強化について解説し、丁寧な実技指導も行った。

 

午後4時30分から『時代の潮流における「潮目」を読む』と題して(公社)日本柔道整復師会会長・工藤鉄男氏の講話が行われた。

特別講演

工藤会長は〝人として生きていくために一人では何もできない。いろんな苦労をしながらいろんな努力をしている。そういう人たちの恩恵をこうむり、町、市が作られ、県が作られ、そして国が作られていく。そこをもう一度今日みんなで勉強していきたいと思っています。
日本柔道整復師会は、各47都道府県の会のように請求代行をするところではありません。日本柔道整復師会は皆さんの職業の未来を守っていく団体です。先日、素晴らしいスーパーボランティアの小父さん、78歳の方が子どもを発見しました。この業界についてみんなで考えてこれから進める方法は「予見する力」と「実行する力」、そして業界が良い時もあれば悪い時もあるが、「まさか」という坂を予見するのは私は今の執行部だと思います。このままいけば、「まさか」の坂に入っていきます。私どもはこの5年間の間に戦略と戦術をもってカリキュラムを改正し制度改革をさせて頂いた。その中身をお話します。

業界の大きな潮目は、昭和63年7月14日、厚生省保険局長通達保発89号、受領委任形式を希望する柔道整復師制度の開始、個人契約者の誕生。平成10年8月27日、福岡地裁における柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決 「柔道整復師養成施設の指定についてはこれを行わない旨の処分を取り消す」(福岡柔整学校の開設にかかる行政訴訟)。以降、全国で養成校の乱立、柔道整復師の劇的な増加。個人契約が出来たことでその影響が今、何百という請求代行業がこの業界を闊歩し、4,5年前に非社会的組織の人たちが銀座に事務所をかまえて請求代行を行うということが起きました。そして学校の問題、2つの問題が浮上します。

平成24年10月~社会保障審議会で制度改革と教育改革へ向け本格的に議論が始まりました。柔整療養費検討専門委員会での主な検討内容は①施術管理者の要件の強化、柔道整復師施術管理者研修(義務化)(平成30年7月実施)②公的審査会の権限強化・疑義のある申請書を審査会が独自に返戻、施術者調査(平成29年10月実施)③審査基準の明確化④電子請求に係るモデル実施。改革の歩を止めない。 柔道整復師の力、集団の力、政治の力でこの制度改革に向けた仕組みが出来上がっています。何故こういうシステムを作るかというと、我々のことを理解してもらうためには同じテーブルで話し合おうということです。柔道整復師は99単位、理学療法士は101単位、これから柔整と理学療法士の戦いが始まる。しかし皆さん安心してください。これから5年後、間違いなく柔道整復師は大きな林檎みたいな実がなるように種を蒔いている現状です。 その目的は何か、今皆さんが取り組まれている地域包括ケアシステムに柔道整復師を如何活かしていくか。そういう折衝を今やっていることを理解してください。日本柔道整復師会はこの3年間、どういう倫理観を持った柔道整復師を作っていくべきか。これからガイドラインを作っていくことが学術の仕事です。実習は学校のカリキュラムに添った中でガイドラインに添ってやらなければいけないものです。平成29年、日本柔道整復師の最高栄誉賞の帰一(きいつ)精錬賞を制定しました。これは山下泰裕先生が命名した名前です。柔道界に激震が走りました。講道館の名誉館長も、"よくぞ作ってくれた。これで柔整業界も三本の矢が揃ったね"ということで非常に評価されている賞です。

また公益事業としては、災害活動①47都道府県柔道整復師会では各都道府県知事と「防災等に係る協定」を締結②DJAT「災害派遣柔道整復チーム」基本理念・方針・災害対策積立金規定を策定③JIMTEF(公益法人国際医療技術財団)災害医療委員会(DMAT災害派遣医療チーム)(JMAT日本医師会災害医療チーム)と連携強化。災害医療研修会へ会員を積極的・定期的に派遣。2020東京オリンピックパラリンピック(サポート事業)日整トリートメントルームの設置(日整・東京都柔道整復師会)。モンゴル国への公益事業集大成。モンゴル国における当会の10年間にわたる公益事業の一環として柔道整復術の普及活動に協力した。その成果の大きな一つとして、平成28年にモンゴル国立医療科学大学に日本古来の柔道整復術を教える伝統医療セラピー科が新設された。 動画が映し出され〝柔道整復の種が風に乗って今このモンゴルの地に舞い降りた。柔道整復術は武道から生まれ、我々は「利他」の精神を貫き、現代人が忘れかけている「精神道」を世界に広めていきたい。幾多の試練を乗り越え、多くの国々に貢献してきました。モンゴルの地で実を結んだ。日本の柔道整復術がモンゴルの風となり柔道整復を世界に繋げる夢、道が人を繋げる。今後も日本国の未来に向け、貢献していくことを誓います〟、等々。

いま、ベトナムから要請を受けています。中期的には、日本柔道整復師会の画像解析センターに各県のデータを全部集めて判断し提供します。長期的には、顎関節の脱臼を歯科医の承認で良いとする法改正。また全ての柔道整復師が加入出来るような組織にしようということで8000名の人たちが今柔道整復師会の下部組織として第1回の会議を行ったところです。柔整改革新時代の潮目ということで2019年、新しい年号が変わる時に第3度目の復活をみんなでやっていきたいと思っています。

3つの大きな使命は

  • 業界秩序の再構築「基本理念の明確化/業界改革」
  • 信頼関係の再構築
  • 伝統と改革のバランス構築

焦らず、慌てず、信頼される医療人を目指しましょう。公益社団法人日本柔道整復師会は全国の柔道整復師が地域で施術にあたり、「利他」の精神を以って社会に貢献できる仕組みの構築を必ず実現しますので、ご理解とご支援をお願い申し上げます。いま日本柔道整復会はジャパンブルーの波に乗って、虫の眼をもって足元をしっかりと見ながら、明るい未来を鳥の眼で見てやっていくことが必要だと思っています。日本柔道整復師会が一致団結してやっていけば皆さんの未来は間違いなく良い方向に持っていくことが出来ると思いますのでご協力お願いします。嫌われる勇気をもって、これからもやっていくのでよろしくお願いします〟と力強く締め括り、満場の拍手をもって終了した。

 

 
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