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(公社)日本柔道整復師会第11回大阪学術大会開催!

2017/09/25

平成29年8月20日(日)、シティプラザ大阪(大阪市)において、第11回大阪学術大会が開催された。

(公社)日本柔道整復師会の工藤鉄男会長は〝日本柔道整復師会は業界のトップリーダーとして、会員に対し「地域包括ケアの中でどのように対応していくべきか」を全国11ブロックで行う学術大会で指導している。
国民に対し我々の医療を安心・安全に提供していくため、社会保障審議会の下に柔道整復師療養費検討専門委員会を立ち上げた。まずは制度改革として、保険を取り扱うには3年の実務経験を要することとした。柔整審査会の権限も強化し、問題のある請求に目を光らせていこうとしている。

また、柔道整復師養成校にはカリキュラム改正を申し入れた。養成人数も限られてくるし関係者からは反発もあるだろうが、現在の日本柔道整復師会執行部には業界を立て直す心構えができている。これから始まる地域包括ケア等において、柔道整復師が必要とされる状況を作るためだとご理解いただきたい。

モンゴルやベトナム等、医療環境が整備されていない国でも柔道整復は必要とされている。人口減少と超高齢化が進む日本においても、柔道整復は地域の皆様に幸せを与えられるものと信じている。しっかりと研鑽を積み、学んだ技術を地域の患者に提供することで地域の発展に役立とうという想いを持っていただきたい。

柔道整復を存続させていくために、日本柔道整復師会は皆さんと手を携えて歩んでいく。ここに集まっている皆さんにも地域貢献にご協力いただきたい。今日は互いの発表を参考に、明日の治療に役立てていただきたい〟と熱く激励した。

 

また、(公社)大阪府柔道整復師会の徳山健司会長は〝本日の大会開催にあたり、尽力いただいた方々には感謝申し上げる。前回の学術大会までは「学ぶ」ということをテーマに開催してきた。学ぶことは非常に重要で、継続していかなければ意味がない。
ただ、今大会からは学ぶということを少し掘り下げて考えていきたい。
7月に行われた北海道学術大会では特別講演を拝聴したが、基礎研究に重点を置いてエビデンスを十分に理解し、将来に向けて確固たるものとしていかないと柔道整復業界は存続の危機に立たされると感じた〟として、本大会で参加者が知識・技術を向上させることへの期待感を示した。

 

教育講演:
痛みの考えかた

三重大学大学院医学系研究科 麻酔集中治療学
教授 丸山一男 氏

【概要】
痛みは、痛み担当の神経が活性化し、神経で電気信号が発生し、その電気信号が脳に達することで感じる。痛みを伝える神経は一本に見えるが、たくさんの太さが異なる神経線維が集まっている。中でも痛みを伝えるのはAδ線維とC線維である。
例えば指を扉に挟んでしまったとき、瞬間的に痛みが生じ、そのあとにまた痛みが起こったという経験はないだろうか。これにはAδ線維、C線維の伝達速度が関係している。

Aδ線維は秒速30メートル、C線維は秒速1メートルで痛みを伝達する。
瞬間的に痛みを感じるのはAδ線維によるもので、じわじわと痛くなるのはC線維経由の痛みだということだ。痛みが過剰であるとき、下降性抑制系というものがそれを抑えようとする。
不安や心配、ストレスなどがあると下降性抑制系の働きを抑制してしまうために逆に痛みが強くなってしまう。そのため患者を安心させることも大切だ。

痛みの電気信号は、刺激によりナトリウムチャネル(ナトリウムにより神経細胞に開いた穴)が開口し、ナトリウムが神経細胞内に流入することで伝達される。電気信号の発生・伝導・伝達をその過程のどこかで抑えることにより、痛みを抑えることができる。
方法としては薬などを用いて痛みの電気信号の発生を抑制する、下降性抑制系を強める、痛みの伝導・伝達を抑制する等がある。ストレッチや血流改善、鍼灸、さすりなども行って総合的に痛みを抑制することが重要となる。

人間は発痛物質と鎮痛物質の双方を自己産生している。
炎症が起きている際には血管が拡張しており、赤く腫れている、熱感がある、痛みがある等の症状が出るが、痛みが出ている際には発痛物質が出ている可能性がある。つまり炎症反応を抑えるということは、痛みを抑える手段であると言える。
血流低下も発痛物質の産生を高める。正座をしているとしびれて動かなくなると同時に痛くなるが、これは交感神経が緊張すると、血管が収縮して血流が悪くなり乳酸が出るためである。

痛いことを繰り返していると、最初は痛くなくても段々と痛くなってくる。これは記憶と同じで、刺激を覚えて電気信号が強くなるからだ。しっかり痛みを取るためにも、痛い時間を減らしていくことが大切だ。
痛み止めは対症療法というわけではなく、覚えた痛みを忘れさせるという治療でもある。痛みのメカニズムを知っておくことで患者と接するうえでも非常に役に立つのではないか。

 

 
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