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(公社)日本柔道整復師会第44回北海道学術大会札幌大会開催

2015/07/10

平成27年7月5日(日)、札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)において公益社団法人日本柔道整復師会第44回北海道学術大会札幌大会が開催され、道内各地より(公社)北海道柔道整復師会会員および柔道整復師専門学校の学生が集まった。

北海道学術大会札幌学会

 

萩原会長大会長である(公社)北海道柔道整復師会・萩原正和会長は〝今回で44回目となるこの学術大会は、常に学術研鑽に努め地域住民の方々に頼りにされる柔道整復師としての技術を高めることで、社会に貢献し、ひいては公益活動を推進することにもつながっている。本日は多くの先生方にとって研鑽の場としての意識・意義のある一日としてほしい〟と歓迎し、当日のプログラムを紹介した。

 

工藤会長学会会長である(公社)日本柔道整復師会・工藤鉄男会長は、〝日本柔道整復師会の会長に就任した約2年前、わが業界は国民に不信感を与えるような保険者による調査や保険の取り扱いなど、多数の問題を抱えていた〟とし、それらの問題点に対して(公社)日本柔道整復師会が行ってきた取り組みや方向性について紹介した。またこれからの方向性として〝少子高齢化に基づく人口変化により社会保障も変化しており、患者さんが「来る」医療から私たちが「訪問する」医療が主たるものとなっていくだろうと思われる。その中で柔道整復師がいかに安心を与える技術を提供するか、社会保障に対応していくかということが大きなテーマとなっている。一丸となって対応をしていかなければならない。パラメディカルとして、医師と連携し安心して生活できる環境を整備することを目標に活動していかなければ、地域医療として残ることはできないだろう〟と、先を見据えて行動を起こしていくよう呼びかけ、団結を求めた。

 

特別講演『野球肘の診断と治療』

北海道大学大学院医学研究科
機能再生医学講座整形外科学分野 教授 岩崎倫政氏

岩崎氏岩崎氏は北海道にゆかりのあるプロ野球選手として、駒澤大学附属苫小牧高等学校出身であるニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手と、日本ハムファイターズで活躍したテキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手を挙げ、〝両者とも肘の内側側副靭帯損傷に見舞われ、治療や手術を受けている。今、日米で肘の投球障害が非常に深刻化している。野球の投球動作は人間の自然な動きに反していて、肘には外反力・牽引力が生じる。野球肘は特殊な力学的環境におかれることにより起こり、異なる障害が混在している。今回は特に多い内側側副靭帯損傷、離断性骨軟骨炎に絞って話していきたい〟と述べ、講演をスタートした。

投球時動作と力学的環境について、岩崎氏は〝投球動作は6つのフェーズに分けられるが、なかでもボールをリリースする直前であるコッキング後期が最も負担がかかる。肘に力が加わると外反力が生じるが、そのうちの54%という靭帯の破断強度に近い力学的負荷がかかっていることが内側側副靭帯損傷の直接的な原因となっている。一方、外側では内側側副靭帯を損傷することよって力が入らなくなり、上腕骨小頭前方への応力がより増大して炎症が起き、離断性骨軟骨炎を発症すると考えられる。つまり、内側側副靭帯を損傷すると離断性骨軟骨炎を発症するリスクが非常に高まると言える〟等述べ、内側側副靭帯損傷、離断性骨軟骨炎のそれぞれについて、発現する症状や診断および治療方法などを写真を多用し詳細に解説を行なった。

最後に、岩崎氏は〝内側側副靭帯損傷においても離断性骨軟骨炎においても、初期は基本的には自然治癒が可能であり、早期に発見できれば手術をしなくても間違いなく治る。そのため我々は発症予防、早期診断のため野球肘健診を行っている。野球肘は治らないというものではない〟とし、症状が進行している人も治療により復帰が十分可能でありしっかりと治療を受けることが大切だと締めくくった。

 

 

 
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