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第23回日本柔道整復接骨医学会学術大会 開催

2014/12/12

平成26年11月29日(土)・30日(日)、『「みる」(視・観・診・看)を探る』をテーマに、第23回日本柔道整復接骨医学会学術大会が大田区産業プラザPiOにて開催され、全国の柔道整復師および専門学校の学生や大学・大学院生が参集した。

会場

 

大会会長講演
『内科医の立場から「みる」(視・観・診・看)を考える』

帝京平成大学学長 冲永寛子

冲永氏今大会の大会会長を務めた冲永氏は〝医師はそれぞれ専門性を持っている。内科は古くから存在しており、そこから派生して外科や小児科、産婦人科等に専門が細分化していったが、細分化されればされるほど全体を「みる」ことが求められるようになった。現在は様々な検査が発達しているが、患者の負担の面から見ても医療費の面から見ても、やみくもに検査をするのではなく迅速に診断し、必要な検査をすることが重要となる。そのためにも問診・視診・触診は非常に大切である〟として、今大会のテーマにもなっている「みる」(視・観・診・看)について話を進めた。

「視る」・「観る」・「診る」の3つについては〝医療の現場において「視る」は視診、「観る」は様々な状況を想定しながら観察すること、「診る」は視診・観察とともに言葉で尋ねたり検査によってさらに詳しく調べ、診断まで導くことだと考えている〟として、4つの症例について診断までの一連の流れを踏まえて解説を行なった。さらに柔道整復師が扱う疾患と関連性のある内出血や紫斑、出血傾向についても例を挙げ、問診時に注意すべき点などをわかりやすく説明し、聴講者は熱心に聞き入っていた。4つ目の「看る」については〝医療者は今まで「治す」ことに重点を置いていたが、今は患者とその病態だけではなく、患者の社会的・精神的背景も考慮に入れた幅広い見地から診療することの重要性が強調されるようになった〟と述べた。

最後に〝患者を中心として4つの「みる」を実践することが、医療者として求められている姿勢である〟と締めくくった。

 

特別講演Ⅰ
『高齢者の急性腰背部痛に対する有効な体幹ギプスの巻き方』

医療法人社団宏友会栗原整形外科 栗原友介

栗原氏栗原氏は〝脊椎圧迫骨折に代表される高齢者の急性腰背部痛は、高齢化の進行とともに増加している。脊椎圧迫骨折の治療法は保存療法と手術療法があり、整形外科の学会や様々な学術誌等でも手術療法の論文は多く出てきているが、保存療法に関する論文は少ない。今回は骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対する体幹ギプス固定の治療効果向上を図ることを目的とし、診断と固定方法に若干の工夫を加え、その効果を検証したので紹介する〟と述べ、講演を開始。

診断における工夫として〝画像より臨床症状を優先した。骨粗鬆症が疑わしい高齢者で起床動作での激しい腰背部痛があれば、ほぼ骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折であろうと判断していると言っても過言ではない。起床動作については辛いという表現が必ず出てくるので、よく聞いて判断してほしい〟と強調した。

このように診断したものには、原則として全例に体幹ギプスを巻いているという栗原氏は〝従来の体幹ギプスの場合、巻かない時よりも巻いた時の方が疼痛減退日数が長くなってしまっていた。しかし従来型のギプスから前方を10cm程度縦割りしたギプスに変えたところ、疼痛減退日数は68日から16.9日まで激減した。起床時痛消失率は78%で、痛みが残存している人も生活に支障のないレベルまで取れた。VASを見ても装着直後に効果が発揮されていることが分かる。体幹ギプス継続率は90%と相当高く、すぐに効果が表れることから継続してくれるのだろうと考えられる。高いコンプライアンス、高い疼痛緩和効果、圧潰の進行抑制効果があり是非お勧めしたい〟と、体幹ギプス固定の効果と巻く際の工夫を、写真や動画を用いながら具体的に解説した。

 

 
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