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第6回柔道整復学豊郷台シンポジウムが開催される

2013/09/01

平成25年8月11日(日)、栃木県宇都宮市にある帝京大学宇都宮キャンパスにおいて『第6回柔道整復学豊郷台シンポジウム(第5回帝京大学・栃木県柔道整復師会ジョイントシンポジウム)』が開催された。

 

このシンポジウムは第1回を平成20年に帝京大学の主催で開催。翌年からは帝京大学と公益社団法人栃木県柔道整復師会の共催として毎年夏に開催されている。第6回目となる今回は『柔道整復学の原点に帰る』というテーマの下、特別講演や(公社)栃木県柔道整復師会会員による講演の他、帝京大学大学院・柔道整復学専攻の学生達による研究発表が行なわれた。

 

シンポジウムは「帝京大学柔道整復学キャンペーングループ」委員長の塩川光一郎教授の司会で始まり、はじめに帝京大学医療技術学部柔道整復学科・小松明学科長の歓迎の挨拶があった。この中では、これまでのシンポジウムを含め、過去6回のポスターが紹介された。次に、学長挨拶として壇上に登った帝京大学・冲永佳史理事長学長は〝日本では少子高齢化が進んでおり、これから柔道整復師が担うべき役割は重要であると認識している。それと同時に、これからは他の医療領域の方々と連携できる素養を持っていなければいけない。そのためには柔道整復師であっても科学的に物事を分析する能力、自分達が行なっていることを共通言語を用いて説明する能力、或いは医療の全体を見渡し柔道整復師としてなすべきことをしっかりと認識する能力など様々な能力を養う必要がある。それらのことからも大学教育は重要であるという結論に至り、帝京大学においても医療技術学部の中に柔道整復学科を設置した。大学院課程・修士課程も完成年度を迎え、研究においても少しずつ層を増しているわけだが、このような環境の中で柔道整復師としてきちんとした技術を持ちながらも科学的な分析ができ、他の職種との関連性をきちんと結びつけることが出来る柔道整復師を今後とも養成していきたい〟と、質の高い柔道整復師養成への熱意を語った。

 

その後、挨拶を行なった帝京大学医療技術学部・清水輝夫学部長に続き、帝京大学大学院医療技術学研究科柔道整復学専攻・塩川光一郎主任教授が「基調講演」として〝今回のシンポジウムは『柔道整復学の原点に帰る』をテーマとしている。そこで最初に、帝京大学の4年制の柔道整復学科設立を中心となって進めた樽本教授に当時はどんな苦労や思いを抱えていたのかをお聞きしたい。また、常日頃から地域住民の生活を支え、栃木県での柔道整復学科設立も温かく受け入れてくださった栃木県柔道整復師会の先生方にもご講演いただき、今後の発展のために日頃どのような事を考え治療に当たっているのかを大学側にお聞かせいただきたいと考えている。さらに、後半は熱心に研究を重ねている大学院生の学生にもその成果を発表してもらう。このシンポジウムで原点に立ち返ることで、新鮮さを取り戻し、より意欲的に活動するきっかけとしてもらいたい。最後に、最初の樽本教授の話と対をなす形で6年前にこの柔道整復学科を栃木県側として温かく受け入れてくださった栃木県柔道整復師会の当時の会長であった宇井肇先生から受け入れ側としてあの時何を考えたか、などをお話いただきたい〟と、当日のプログラムと開催の趣旨説明があり、シンポジウムは特別講演へと移った。

 

特別講演では、帝京平成大学・樽本修和教授が『柔道整復学:立ち上げの原点に帰って』をテーマに、柔道整復学科設立に至った経緯と今後、柔道整復業界が進むべき方向性等について講演を行なった。樽本氏は〝帝京平成大学と帝京大学では大学院(前期修士課程)を平成24年4月に開設した。平成26年4月には帝京平成大学大学院健康科学研究科柔道整復コースに後期博士課程が開設される。柔道整復学科設立において一番苦労したことは教育者を集める事だった。施術者として素晴らしい技術を持っている人はたくさんいるものの、その効果を客観的に裏付け、評価できるだけの論文を書ける人間がいない。柔道整復はコストが低い上に無血療法のため安全性も高いと言われているが、それが社会医療として国民のニーズに合っていて、尚且つ科学的根拠のある治療だと証明しなければならない。柔道整復を学ぶ学生たちに対しても、ただ経験論を話して聞かせるのではなく「これが柔道整復の専門性だ」ということを伝えなければならない。今後の教育のあり方として重要なのは、学生自身が知識を上手く用いて問題を解決できる能力を引き出すための教育を行なうこと。また、教育の中で問題・疑問があった際に研究に結びつける「教育と研究の一連化」も、大学における教育の意義と考える。大学の役割は、臨床の現場で得た経験を科学的に裏付ける、つまり「臨床から科学する」ことで学問として確立していくこと。現在見られる整形外科との意見の食い違いなども、科学的根拠を確立し医接連携を強化していくことで問題解消に繋がるのではないか〟として、自身の経験や実技を交えながら、科学的根拠の早期確立が必要と訴えた。

 

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