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統合医療学会新理事長・仁田新一氏に直撃インタビュー
統合医療学会(IMJ)は、元々は近代西洋医学のトップを走ってきた医師たちが中心となって作った学会である。現代の西洋医学は、最先端の遺伝子治療など著しい進歩を続けている。しかし、どうしても救えない難病もあり、現代西洋医学にもやはり限界がある。その限界に対し西洋医学と東洋医学、伝統医学、相補・代替医療等々を融合して最善の医療を行う、人間に優しい個を大切にしたオーダーメイドの医療を行おうというのが統合医療学会の理念である。本年4月に統合医療学会理事長は渥美和彦氏から仁田新一氏にバトンが渡された。仁田新理事長にこれからの話をお聞きした。
『新しい医療としての統合医療を同じ志の方々 と一緒に正しく安全に推進していきます!』
日本統合医療学会・理事長 東北大学名誉教授 仁田 新一 氏
―新理事長にご就任おめでとうございます。先ず抱負をお聞かせください。
これまで渥美前理事長が高い理念を掲げられて、殆ど一人で引っ張ってこられました。その渥美前理事長の高邁な理念を引き継いで国民に対して信頼性のある、経済効果の高い新しい方法論として、統合医療を引き継いでいきたいと思っています。統合医療には、西洋医学の他に伝統医学、相補・代替医療等いろいろな種類の療法がありますが、新しい方法論として国民に提供していきたい。当然その新しい方法論について、科学的な検証ができる部分は行っていきます。それには、先ず何よりもその方法論を持っている方たち、例えば柔道整復師や鍼灸師の方々にも今後日本国民に対してどういう方向で展開していきたいのかを、一度じっくりと考えて頂きたいと思っています。今よりもっともっと技術、理念なども向上した上で国民に対して奉仕をしたいという考えを持っておられるようなので、統合医療学会として一緒にやっていきたいと思います。我々統合医療学会としても力になれる部分は出来る限り力を出していきたいと思っておりますのでその決意を先ずして頂きたい。是非現状よりも上を目指したいという向上心を強く持って頂き、みんなで一緒に統合医療を推進していきたいというのが今の私の率直な気持です。ここからここまでが統合医療だということではなく、私自身西洋医学の医者ですが、西洋医学でも治せない難病があり、進行ガン、エイズ、心の病気等いろいろある訳ですが、このままではいけない、なんとかしなければならないという努力が必要です。又、それらに対し何らかの介入が出来る新しい方法論があるはずで、それは伝統医学であったり、相補・代替医療であったりします。これらの医療を新しい選択肢として西洋医学に携わっている人たちにみてもらいたいし、国民にもみてもらいたいのです。しかも近年、西洋医学の人材が非常に不足しており、この不足した人材を補うには今の医療従事者だけではなく、所謂医療類似行為者とされている人たち、更にアロマであるとか無資格者の人たちの人材も一緒に使わせてもらうという考えです。つまり、新しい方法論の統合と人材の統合を目指しています。あくまでも西洋医学がよい、東洋医学が効くなどということではありません。被災後の日本は経済的にも限度があり、人間の力にも限度があるということが分かって、価値観が変わってきています。近代西洋医学に閉じこもっていないで今の時代の新しい医療として、新しい選択肢があり、それを取り入れることで費用対効果が上がるのであれば、それを採用すれば良いのです。
IMJとしては国家資格以外のものをこれからどうするかというのが一つの課題であります。整体・カイロ・ヨーガ、アロマいろいろな療法がありますが、これらは国家資格になっていません。従って我々統合医療学会では、こういう療法をしっかり科学的に裏づけをとって、安全と有効性を確認したものから、医療を行えるようにしたいと考えております。欧米では、西洋医学の医者であっても例えばハリを打つために300ないし500時間くらい講習を受け勉強をします。勉強した後にライセンスが得られます。医者であれば何でも出来るというのは日本だけです。
統合医療をちゃんと実践していくために最も大事なことは、安全性と教育です。そして有効性・経済性をしっかり評価する必要があります。決して医療過誤はあってはならないことです。