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第2回勉強会「柔道整復師の保険治療とは何か」が開催!

2012/05/01

本多:
そこで私達素人にとってわかり難いのは、急性と亜急性という言葉です。山田先生は先程、亜急性は反復あるいは持続される力によって、はっきりした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生するという概念を使っておられました。医学書ではどの周期にどういうことが起こるのかという時系列的な理解が多いです。この亜急性というのは原因について言っている訳です。では何故そういう言葉を使わなくてはいけないのでしょうか?

荒井:
亜急性という問題は学術的な部分と療養費問題がちょうど上手く絡み合っているんだと思います。

本多:
やはりこの亜急性という概念は、保険請求に多かれ少なかれ関係のある概念なのでしょう。明らかに外傷だという疾患しか保険扱いにさせませんよというポリシーがあったとしましょう。しかし現実にはもう少し緩やかなものがあり、それを認めさせるには急性ではないけど急性に近いものもいいではないかという概念で亜急性という表現が出てきたんじゃないかと、私は思っています。

伊集院:
同じ姿勢を続けて姿勢を変えた時の痛みは慢性だと、私はずっと意識しておりました。だから患者さんに説明する時にも何とか柔道整復の保険の範囲でと言われる時には、如何に急性にするかということを考えていました。動作開始時痛といいますが、同じ姿勢をずっと続けてその中で循環障害が起きているから急に新しい動作をする時に痛みが出る、という感じで説明してきました。その後本多先生の説明を受けて、やはり柔整師が保険適用するために慢性にできないからこういうふうにしたのかなと思いました。

荻原:
私は首の寝違えの患者さんを診る時、慢性と思ったことはありません。昨日までは普通に動かしていたのに、今朝起きて痛くなっていたというのは急性だと思います。患者さんが気づかないうちに腰や首の筋肉が硬くなっていて、少しのストレスとか動きで痛みが生じたようなものは全て急性だと説明していました。

 

治療方法、経過観察について

本多:
次に、頚部の捻挫、挫傷、打撲では治療方法は違うのですか?

山田:
私が考えている頚部捻挫は椎間関節の損傷・障害です。椎間関節で痛みが出る、関節で痛みが出るのは滑液関節しかありませんので、頚部においては椎間関節を頚部捻挫として扱うもので、椎間関節包が腫れているかどうかの触診をしていく。関節包は炎症がない限り触知されませんので、そうなると腫れを引かせる必要があるためまずは冷やす等します。筋肉のほうで起こったものに関しては筋肉の損傷が起こったところが腫れて熱を持ちますから、それに付随する関節は機能障害が起こっても腫れや腫脹は起こりません。しかし腫れが引いた後の機能障害は、関節には必ず筋肉がついて関節を動かしていますからその機能を改善する治療ということになり、その場合は筋肉も関節もアプローチします。

本多:
挫傷も捻挫も場所が違うだけで、炎症を抑えるために冷やすということは共通項で良いんですか?どのくらいの期間冷やすんですか?

山田:
筋の挫傷の場合、浅層であれば2~3日で良いと思いますが、深層であれば1週間くらいかかることもあると考えます。関節では、皮膚から3cm位の場所だと炎症が実際に引いて関節包が収縮するまでに、通常早くても1週間~20日、約1カ月は必要だと思います。炎症が止まるまでが冷却期間だと思うので、その期間の半分として1~2週間ではないでしょうか。

本多:
初期治療の期間中はどのくらいの回数通院してもらうのが理想的なんでしょうか?

小木曽:
初期治療に関しては、よく治療をした方が経過も良いので患者さんには来れる方は痛みの強いうちは毎日来て下さいと説明しています。
来られない方は、自宅で冷やしなさいとか安静にしていなさいという説明はしますが、経過を見ることは出来ませんので、私は来られる方には毎日来るように説明しています。

伊集院:
私も患者さんに一番気を付けてほしいことでお話しするのは、初期の場合はこれからもっと腫れることがあるということです。今晩あるいは明日もっと腫れるかもしれないから、明日も明後日もちゃんと来なさいと言います。私の経験では、通常3日もすればそれ以上腫れることはあまりありませんので、最初の3日くらいは必ず毎日来て頂きます。