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第2回勉強会「柔道整復師の保険治療とは何か」が開催!

2012/05/01
急性・亜急性の区別

山田:
まず亜急性と急性の区別をはっきりとしていただきたいと思います。急性というのは突然現れるものという所では亜急性も同じなのですが、関節の可動域を超えて瞬時に損傷したものが急性なんです。いわゆる明らかな外傷です。関節の可動域内で繰り返し起こった外傷性損傷が亜急性なんです。どちらも外傷には変わりなくてそこには外傷ではないという余地はないと思います。ですからそこを理解してもらったうえで患者さんが覚えている覚えていないというのは、亜急性の場合関節内で反復した動きで1回の損傷ではないので覚えていないという事なんです。

本多:
今、山田先生が学問的に明確な基準を立てました。可動域を超えるか超えないかという事で判定する。可動域を超えた範囲というのはどういう基準で範囲を超えたと言えるのでしょうか?

伊集院:
先程、工事現場の監督と学校の先生の話がありましたが、上を向くというのは自分のする動作ですよね。自分のする動作というのは可動域を超えるという事はないんです。現場監督にしても学校の教師にしても、ずっと向き続けることは可動域の中で行われている動作で、同じ動作をずっと続けた反復か継続かは別です。

菅俣:
例えば極端な話で言いますと、アキレス腱が切れる時というのは可動域内なんです。つまり首の寝違えという観念を考えた時に、関節の中の損傷なのか周りを支えている筋肉や腱の痛みによってその可動域を超えるか超えないかはあまり関係ありません。超えたものもあるかもしれませんが、超えてなくても起きているものは起きている。そのように考えないとこの話は方向が少しずれて行ってしまうと思います。

山田:
関節の可動域内で繰り返されたのは亜急性です。急性ではありません。それとアキレス腱の断裂は関節を診ると可動域内ですが、明らかな筋組織が損傷するだけの力が加わったという事がはっきりしています。外力は動きだけではなく熱も光もすべて外力なんです。しかし我々が扱っているのはそのような外力を省いたものであって、筋肉の持っている強さ以上の力がかかったので切れるわけでそれは明らかに外力です。

本多:
今度は山田先生がもうひとつ違う問題を出しました。外力というのは有形力の行使だけではない。光や音など無形力の行使によって筋の損傷が起こる場合があり得るのだということです。

山田:
熱の外力が生体に及ぼす影響は、熱いと火傷、冷たいと凍傷です。外から受けたエネルギーと申しましたが、急性、亜急性とそこを直接結び付けないでください。

菅俣:
熱が外力という観念で考えるのならば、それが直接人間に対して影響を及ぼす。だから火傷や凍傷はそれがあったから結果直接的に変化が起きる。クーラーや風というのは一時的に筋肉にあてて血流は下がっているかもしれないけれど、人間の許容範囲内のものであってそれが直接的に外傷となっているのではなく、それで血流が下がっているために次の動作をした時に筋損傷、周りの軟部組織損傷が起きたのではないかと考えます。

本多:
菅俣先生の発想はよくわかります。つまり外力によって損傷が起き、その損傷が次の損傷を生んだ。そうすると損傷が外力とどうつながってくるかによってこれは外力によるものかそうではないのかが決まってくる。直接的にある外力によって結果が生じている場合は因果関係がはっきりしていますから外力というのは分かります。しかしその損傷の他に次の損傷が起きてしまった場合、外力との因果関係は薄いですよね。

福岡:
頚部の場合は曲げたり伸ばしたりねじったりといったひとつの関節における構造的な役割が体の中心であるため、右と左に及んでいる。例えば右腕で重いものを持ち上げている時、右側の首から肩にかけての筋肉は同時に緊張している状態です。そして持ち上げたような動作をしている時に後ろから声をかけられて振り向いたら、きっとそこには通常の範囲では起きない関節へのストレスとして首の捻挫、筋肉のストレインが起きてくる。可動域を超えてしまったから捻挫が発生したとか挫傷を起こしたというだけではない。

本多:
重いものを持っている時に後ろから声をかけられ、荷物を持ったまま一定の運動制限がある状態で振り向いた結果、損傷が起きた。可動域の範囲内ですから捻挫まではいかなくても筋の損傷が起きた。これは外傷なんでしょうか?

山田:
明らかに外傷です。普通可動域があって、その次に可動性があって可動性は腰椎、頸椎でもだいたい2、3度です。それが5度以上強いられるとこれは完全に関節、靭帯は損傷します。