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(社)神奈川県柔道整復師会・吉田会長、「傷病名問題」を語る!

2012/02/16

―我慢してしばらくしてから行く人も多いし、それは急性ではない、亜急性であるとする意味があるのかと確かに思いますが、柔整師さんもこれはあまりこだわっていらっしゃらないんですか?

そうです。従って〝何時、何処で怪我をしましたか?〟と問診で聞く訳です。急性・亜急性の判断というのは非常に分かり難い。負傷してから2週間、3週間経っても腫れがあったり、痛みがあったりすることはいっぱいある訳で、それを急性だ亜急性だと区別するのは、意味のないことです。〝いつ、どうしました?〟と聞いて、〝家で湿布を貼っていたけど2カ月経っても痛みが取れないから来ました〟という人に、「亜急性」「急性」の扱いになるかというと難しいし、そんな判断は必要ありません。要するに、〝いつ、どこで〟の原因を把握することが大事です。

 

―保険者さん次第で支給・不支給になるのは、患者さんも困りますし、柔整師さんも困ります。あなたの組合の被保険者さんは当接骨院では扱えませんと言わざるを得なくなったりしますね。

実際そういうこともあり得ると思います。しかし、それではいけないと思いますよ。国民の為の「受領委任払い」ですから。

 

―受領委任払いというのは命綱だと思います。制度改革が叫ばれていますが、改革の中味について吉田会長はどう思っていますか?

支給基準というのが受領委任払い制度そのものですから。つまり、「負傷例」ではなく「負傷名」にしていただくことです。所謂関節症を扱えたり腱鞘炎を扱えたり、そういった内容に変えていくべきです。新しい制度の中味を模索していかなければならない時期だと思っています。やはり受領委任払い制度というのは、あまりにも縛られており、国民の要望に応えられない現状だと思います。その中でどうにか応えている状況で、実際に負傷したとは限らないような、疾患名を特定できない患者さんも来ている訳です。そういった意味でも新しい制度が必要でしょう。未だどういう風な枠組みにしていくのか、中味の議論もこれからですが、もっともっと議論して検討を重ねて実現させるべきと思っています。

 

―社会保障審議会医療部会の答申では、柔道整復師等の療養費について、審査体系の強化などその適正な支給を求める意見が多かったこと、会計検査院からも指摘を受けていること、療養費は国民医療費の伸びを近年上回って増加している現状などを踏まえ、平成24年療養費改定において適正化するとともに、関係者による検討会を設け、中・長期的な視点に立って、柔道整復師の在り方の見直しを行なうとした答申内容ですが、この答申を受けたことにより、厚生労働省として「療養費の見直し」を検討せざるを得なくなり、中・長期的な観点から、柔整療養費の根本を再考することになって、現在、厚生労働省において検討されている段階のようですが、大変な事態が予想され、もっと緊迫感をもって業界一丸となって対処すべきことと思います。吉田会長ご自身のお考えをお聞かせください。

療養費の伸びのことを国が言うこと自体、おかしいと思います。というのは、国が学校を認可しており、これだけ柔整養成校が急増して、国家試験に合格した柔整師が毎年約5千人も輩出され、その人たちが年々開業していけば、どう考えたって上回るに決まっています。柔整療養費が国民医療費を上回って増加しているのが適正でないというのはおかしい。もう1つ、方針としてはあり得ますが、本来日数の制限も有り得ないことです。20日位来る人もいれば、バラバラで1日或いは2日で終わる人もいます。症状が強く月に20日位通院する人も現実にあります。今回の新しい請求用紙では、日付に丸をつけることになったのですから、それで十分役目を果たしていると思いますよ。しかも適正化を言うのであれば、そのために日付を設けたはずです。

 

―業界統一について

多くの個人団体が方向性を示した事について、特に田中さんが中心となり努力してきたことは素晴らしいと思います。今までそれが出来なかったんですからね。漸く柔整師が纏まる気運が見えてきました。纏まることが重要なんですから。これからは業界が一つになっていかないと、それをやらなければダメですよ。柔整師が一つになって、教育も含めて、全般的に見直して下さいと初めて要望を出すことが可能であると思います。

 (文責・編集部)

 

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