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日本社会医療学会東京部会及び日本柔道整復接骨医学会・社会医療分科委員会、合同研究会開催!

2011/07/16

『国際保健情勢と医療従事者』と題し元厚生労働副大臣・東海大学教授・(財)日本国際交流センターシニア・フェロー武見敬三氏が講演を行った。(以下、講演要旨である)

日本という国の健康というものが今国際社会の中でどういう風に見られているのか。そしてそのことが手技治療という我が国の伝統医療に如何関わってくるのかというのが今日の講演の基本である。

○我が国が健康社会だということをよく言われるようになり、また何故、日本が健康社会であるのかと問われる時に、その基準として言われるのが「平均寿命」である。特に女性は世界で最も平均寿命が高い。男女共に世界で最も平均寿命が高いグループに属していることが、日本が「健康社会」であると皆さんが言うようになった1つの基軸である。世界保健機関では「平均寿命」だけではなく〝如何に健やかに老いるか〟や〝如何に健康でありうるか〟という観点から日常の生活動作等を加味し、その寿命を測定する「健康寿命」という指針があり、この指針から見ても実は日本は男女共に今世界で1位を占めている。こうした観点から〝何故日本はこんなに健康な社会を作ることが出来たのだろうか〟として世界で大変注目されるようになった。中でも今年は我が国で皆保険制度が昭和36年(1961年)に成立してから丁度50周年である。先進国の中でも我が国のように皆保険制度という医療制度を長期に亘り効果的に運用してきた国は存在しない。よって日本の健康社会を作った一つの大きな支えがこの皆保険制度ではなかったかと言われるようになった。

○世界には2大医学雑誌があり、その1つのランセット誌が日本の健康社会の原因を究明し、また皆保険制度50周年を記念して特集号を発刊することになった。ランセット誌の編集長と大変親しくしておりこの相談をもちかけられ、幾つかのカテゴリーに分けて研究チームを組織した。今年の9月1日、日本特集号を日本とイギリスで同時発表することになり、又9月1日には国連大学でランセット日本特集号の国際シンポジウムを開催する準備を進めている。このように国際社会から、また権威ある専門的な医学誌からも〝日本の健康社会というものは何故形成されたのか〟という関心を多く持たれており、その背景をご説明したい。

○日本はまさに高齢化先進国であり、既に23.1%が65歳以上人口である。世界全体が高齢化していく。人口の高齢化を背景に疾病構造の変化が先進国・途上国を問わず世界中で起こる。日本の出生児の平均寿命の推移は、1970年位までの間に男女共急激に伸びていった。1945年~1965年、戦後の平均寿命の40%位はこの時期に伸びている。最初の段階は、我が国でも感染症に対する対策が功を奏し、乳幼児の死亡率を抑え込むことによって平均寿命が、確実に伸びていったが、1950年~2009年まで戦後の殆どの時間軸を通じて平均寿命が上昇し伸び続け、世界で最高の平均寿命になっていく。しかし同時に我が国は急激に人口が減少することになり2005年、日本の人口は1億2800万人、2050年になると9500万人にまで縮小、人口の40%が65歳以上という高齢化の推計がされている。