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日本社会医療学会東京部会及び日本柔道整復接骨医学会・社会医療分科委員会、合同研究会開催!
2011年度第1回 日本社会医療学会東京部会及び日本柔道整復接骨医学会・社会医療分科委員会 合同研究会が7月3日(日)午後2時から、東京都柔道整復師会・大会議室にて開催された。
はじめに社会医療分科委員会の世話人である北原康矩氏が開会宣言を行い、社会医療学会東京副会長・日本柔道整復接骨医学会社会医療分科委員会顧問の前田和彦氏が、開会挨拶を述べた。
公益社団法人東京都柔道接骨師会理事・広報部長の新井宏氏が〝いま、日本は国難ともいうべき大災害に遭遇し、被災地だけではなく日本全体、経済・産業・環境・政治が一大危機に晒されていると言っても過言ではないと思われ、医療のジャンルにおいても大きな影響が出てきています。最近は「社会保障と税の一体改革」というキーワードで国民の安全・生命・健康を守る社会保障の中で何を優先させるのか。何処から資金を調達するのかが論じられており、更に軽微な療養に関し医療保険の適用をしないとする免責制の導入もリストアップされるなど財政面が優先する動きもあり危機感を高めています。5月2日、石原東京都知事から公益社団法人の認定を受け、新法人として登記をし直しました。この公益法人改革の流れに乗って、患者利益を優先する組織に変えていくことが求められており、その環境が整ってきた〟等、来賓挨拶を行った。
「医療従事者に必要な職能的倫理観」―医療従事者は職能のみで倫理観を持てるのか―と題し、九州保険福士大学薬学部薬学科 医事法学研究室教授・前田和彦氏が講演を行った。(以下、講演要旨である)
今の日本の状況を見て、何か医療従事者に出来ることはないかと考えてみた時に、根本にあるものとして人間と人間の間にある様々な関わりは、やはり倫理的なものがあって始まるというところから、今日は視点を少し変えたところで話したい。医療従事者が持っている倫理観として、一番倫理観を持っている、又は持っているはずだと思われているのが医師だと思われる。そうではないと思われる人もいるのかもしれないが、一般的な前提として話を進めたい。
○医師は従来から倫理観を持っていた。職能として最も倫理観を持ちやすいといわれるのは医師だが、本当に業務遂行の中だけで倫理観を育めるのだろうか?と大きな疑問を持っていた。医師の世界では古くから医の倫理が問題とされてきた。ヒポクラテスの誓いというのは医師を中心とした倫理観で、医師として弁える道、ふむべき道、これはもう一回見るべき点があったのではないかと考える。科学技術の進歩により医学にも応用され、新たな問題も生まれてきている。医学が一歩、一歩前進を重ねるたびに新たな医療倫理の問題が生まれている。特に近年の先端医学は人の生と死という神秘的な領域に介入するところまできている。体外受精、胚移植、致死性の遺伝性疾患に対する遺伝子治療などが技術的に可能となり画期的な治療法として期待されている。これらの治療は単に医学、医療面からだけでは解決できない生とは何か、死とは何かといった人間の本質に関わる問題が含まれ最近バイオエシックス(bioethics)の面からの研究が進んでいる。(中略)
医学技術が進歩した現在では、とくに医師は常に倫理的な決断をくだすことに思い煩うことが、少なくないといわれる。治療によって完治するのか、ある程度の回復で終わるのか、治療を行うことはただ延命させているのにすぎないのか。出生前医学の進歩で生まれてくる子供に先天性疾患の恐れがあることが判明し倫理的な判断が医師に求められることは少なくない。医療の中で患者との間の倫理をキチンと考え教育の中で、もしくは卒後教育の中でもやるべき点があるのではないか。特に震災の後をみて、医療がやるべき道と本当に一致できるのであろうかと考えるところがあった。