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人材派遣健康保険組合   渡部業務部長に聞く!

2011/03/01

―保険組合の民間業者委託について取材しております。貴組合では、民間会社に委託されているようですが、どのような経緯で委託されているのか、どのようなメリットやデメリットがあるのか、また思っていたこととは異なっていたこと、などについて、お聞かせください。

当組合では、平成20年度から専門業者に、申請書データの入力や画像取込の他、内容点検にかかる照会調査の入力・発送・受付・データ管理作業等を業務委託しております。ただし、資格審査、照会該当者選定、回答に基づく支給・不支給・返戻等の判定、支払データ作成等は、当然のことながら組合内で実施しております。

メリットに関しては、それまでは、組合内で本格的な内容審査は殆ど行えていませんでしたが、照会調査及び支払に関連する様々な作業を業務委託することで、はじめて毎月1万5千件前後の申請書のうち、2割にあたる3千件前後の照会調査をすることが可能になりました。特に、規模の大きな組合が、効率的な照会調査を行うには、単に支払データにとどまらず、申請書の内容データの詳細がシステム管理されることが必須となります。1組合だけでそうしたシステムを開発してメンテナンスしてゆくのは、労力とコストがかなりかかりますので、専門業者のシステムを利用するが一番よいという結論になるのではないでしょうか。

一般的に健保組合の業務は、柔整療養費内容点検に限らず、様々な作業を業務委託することで効率的な業務運営が可能であり、皆様からお預かりした大切な保険料を有効に使う意味でも、基本的には業務委託は不可欠と考えております。

先にも申し上げましたように、特に平成17年・18年と柔整療養費だけが、急激に伸びてきているという状況があり〝これをなんとかしなければいけない〟と。しかしながら、もし当組合内部で本格的にそういった点検審査等の業務を行うとなれば、物凄いマンパワー・労力が必要です。実際、私も以前の組合で経験していましたから分かるんですが、小さい規模の健保組合でしたら何とか頑張れば出来るとは思います。しかし、当組合の規模では、到底不可能という結論で、民間業者さんを使って、ある程度の作業をお願いしようということで業務委託を始めました。基本的に柔整療養費をシステム化する場合に申請書のデータを全件くまなく入れてしまうと、管理メンテナンスが物凄く大変です。従って、データ入力する項目を最小限に絞り込んでいる組合が多いはずです。単純に受け付けて、資格審査をして支払うだけならば、例えば「具体的な負傷名」や「何部位の請求がきている」、「負傷ごとの通院日数が何日」、或いは「初検日はいつ」というような細かいデータは必要ない訳です。逆にしっかり審査をする上ではそういったデータがないと、細かい審査が出来ないので、そういったデータを全部取込む必要があり、実はそれが非常に大変なんです。そういう實情が背景にあります。当組合において、柔整療養費の申請書は1年間で約18万件ですから2年3年経つと50万件近いデータをキチッとメンテナンスするというのは最早不可能な状況です。やはり其処は、一定以上の規模の組合であれば、業者さんを使ってシステム開発をしてもらって、中味もその都度変わりますし、キチッとメンテナンスしてもらって管理する、これをやらないと照会は無理だと思います。経費は相当かかりますが、丸投げではいけませんし、保険者側で創意工夫をする必要があります。当組合に限っていうと業務委託上のデメリットはありませんが、業務委託を行っている以上は、やはりリスクがあります。データの漏洩が無いように耐えず監査に入ったりしながら厳密に遂行することが求められております。

(文責・編集部)

 

プロフィール

渡部  尚典

 昭和36年   愛媛県生まれ。
 昭和58年   朝日生命保険に入社。
 平成10年   朝日生命健康保険組合(出向)にて
                    柔整療養費適正化に取り組む。
 平成14年   「保険者機能を推進する会」に医療費適正化委員会が発足。
 平成15年   人材派遣健康保険組合に入組。
 平成18年   人材派遣健康保険組合業務部長。
 平成22年4月から「保険者機能を推進する会」柔道整復部会長。

 

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