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人材派遣健康保険組合   渡部業務部長に聞く!

2011/03/01

―9月2日に開催された第3回保険者会議では、ある保険者の方から〝今一番問題にしているのは、実際は、外傷ではない慢性疾患を外傷という形で病名をつくり上げて請求が来たり、実際はケガをしていないのに、ケガをしているという形で余分な負傷部位がくっついて請求が来ることを問題視している〟という意見がございました。貴保険組合では、何が一番問題だと思われているでしょうか?

全くその通りだと思います。昨年の会計検査院の決算監査報告の中でも、患者への聞き取り調査の結果、「日常生活に起因した肩こりを捻挫として請求されたり、申請書に記載された負傷部位と患者の申告した症状とが相違する」といった事象が6割以上あったことが判明したとの報道があったとおりです。

ただし、会計検査院の報告書の中で、「保険者が十分な点検及び審査が行われないまま柔道整復療養費が支給されているのは、適切とは認められない」という指摘を厚生労働省にしているように、これまできちんとした点検審査を怠ってきた、私ども支払側の保険者にも問題があると思います。また、被保険者に対しても接骨院の掛かり方について、そういった広報・啓発活動が不十分であり怠ってきたことにも問題があると思います。

この度、厚生労働省の来年度の予算編成通知に、保険給付の適正化対策の一環として、「医療費通知や負傷部位や原因の調査などにより、柔道整復療養費の給付適正化に取り組むこと」という趣旨の文言が加わったこともあり、今後は柔道整復療養費の点検審査に力を入れる組合が増えるのではと思っております。

因みに当組合のデータを見ますと、保険給付費いわゆる医療費は、6年前は203億円であったものが、人数も増えており約2倍の413億円になっています。しかし、柔整療養費の場合、6年前は2億8千万円で、6年後には約2.5倍の7億円になっています。高齢化も進んでいますし医療費の伸びというのは、当然仕方がない部分もある訳ですが、医療費の伸びに比べて柔整療養費は、特に17年・18年・19年と極端に伸びておりましたので、これは何とかしなくてはいけないということで、後の質問にもありますが、柔整療養費の照会・調査を平成20年度から本格的に開始しました。従って柔整療養費は平成20年以降も伸びてはいますが、医療費の伸びより若干抑え目になっています。照会審査をしないままであれば、21年度が7億円ですから、単純計算をすると8億円近くになっているはずです。

これまでは、保険給付全体でいうと柔整療養費というのは1~2%ですから、金額の大きい医療費のほうにどうしても目がいって、余り力が入っていなかった訳です。ところがどんどん伸びてきているということもありますし、不正請求も目についてきたという部分もあり、しかも調査を行えば効果も上がるということで、其処はやはり厳しくやっていかざるを得ないというところです。

 

―柔整問題として何をどうして欲しいというご希望・ご意見がございましたら、お聞かせください。

平成22年度の柔整療養費算定基準の改正目的は、これまで健保連が要望してきた柔整療養費の適正化や保険請求の透明化がその一つにあったと理解しております。したがって、今回の改正は、これまでになく踏み込んだ内容になっており、まずは改正内容をきちんと遵守していただきたいです。健保組合としても、改正された算定基準が正しく運用されているのか、また療養費適正化や保険請求透明化の効果が出ているか、柔道整復部会に加入している組合の皆様と一緒に検証してゆきたいと考えております。

個人的には、昨年9月に3部位以上は負傷原因を申請書に記載する制度改正がありましたが、保険請求の透明化をより徹底するために、できれば部位数に関係なく負傷原因を申請書に記載していただきたいと願っております。現在、多くの接骨院・整骨院では、申請書は手書きではなくレセコンから出力されていると思います。機械出力であれば部位数に関係なく負傷原因を記載していただいても、それほど事務負荷にならないのではと考えます。