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人材派遣健康保険組合   渡部業務部長に聞く!

2011/03/01

―不公平や不正がなくなる規律を業界内部でも、どうにかしたいとする考えの柔道整復師は多くいますが、具体的には両者の不正撲滅連絡協議会などを設置するなど、柔道整復師と協力して不正を撲滅していくという考えはあるのでしょうか。

不正請求に関しては、どの保険者も非常に歯がゆい思いをされているのではないでしょうか。当組合でも先日、あまりにもひどい水増し請求があったので、詳細について健保連を経由して監督官庁に報告したばかりです。その任意団体では、申請書を返戻して欲しいと言うだけで、該当の柔道整復師へは何ら指導もしないようです。団体によってはきちんと指導をした内容をご報告いただける団体もある一方で、団体によって不正請求に対する感度のレベルに差がありすぎると感じております。

また、現行の行政による調査は月日がかかり過ぎるため、保険者間で不正請求の情報を共有して、該当の整骨院の受診者に集中的に照会調査するといったことも重要だと思います。実際に、柔道整復部会では、そうした対応も行っております。

ただし、個々の保険者による照会調査にも限界があるので、本来不正請求は、行政・柔整業界・保険者が、緊密に連携を取るのが理想的だと思いますので、そうした動きがあるのであれば、積極的に協力させていただきたい考えはあります。また、行政による柔道整復師に対する個別指導や監査も一応行われているものの、保険医療機関の指導や監査が年間数千件実施されているのと比べて、その件数は2桁も違うと聞いています。出来れば、その状況や結果をきちんと公表していただきたいと思います。

もう1つ、地方の厚生局が柔整師さんの指導を行うことになっております。医科の担当官は沢山おりますが、柔整担当の方がたった一人しかおられない所も多く、いくら指導監査に行ってくださいとどんなに言ったとしても出来ることは限られます。其処を見直していただいて、もう少しキチッとした指導監査を行える態勢を作っていただければと思います。

 

―骨折、脱臼の医師の同意という問題については、昨年申請書に同意医師の名前の記載が義務付けられましたが、保険者側として何かご意見がございましたらお聞かせください。

当組合の場合、骨折脱臼の申請書が占める割合は約0.2%で、申請書1千枚の中に1~2枚程度(全体でも毎月20件程度)であり、申請書の99.8%以上が捻挫或いは打撲・挫傷です。因みに、当組合の医科レセプトの骨折の請求は毎月1,200枚~1,300枚あり、100人中99人は、骨折した場合に整骨院ではなく整形外科等に通院しています。当組合は比較的若い女性が多いこともありますが、骨折や脱臼の申請は殆どなく、殆どが捻挫の請求であること自体に問題があると考えます。また、医師の同意は患者を診察した上で与えられることを要しますが、ごく一部の整骨院では、実際には患者を診察していない医師から同意を得たとして、平然と骨折の申請書が提出されていると聞いております。そうした請求をチェックする上では、申請書に同意医師名や同意日の記載が義務づけられたことは、非常に良いことだと思います。そもそも骨折や脱臼の申請書自体が非常に少ないわけですから、柔道整復師の先生方には、ややお手数をかけることになりますが、少ない骨折や脱臼の申請書については、ルールどおりきちんとした手続きをお願いしたいです。

 

―今ある健康保険組合との協定基準についてどう思われますか?

本来協定というのは、当事者同士が協定するのが普通であると思います。しかし、現在の協定は、行政である厚労省が内容をガチッと決めてしまって、作成されている協定書に印鑑を押してくださいという形になっているのではないでしょうか。つまり、基本的には、支払側の保険者と施術者側の協定或いは契約という位置づけのわりに、これまでは、一応契約という形になってはいるものの保険者側の意見があまり取り入れられて来なかったのではないでしょうか。

例えば、2年に1度行われる診療報酬の改定は、中医協(中央社会保険医療協議会)で保険者代表や公益者代表も加わって議論され、その概要も公表されております。ところが、柔整療養費は、算定基準や協定書の改定時に、厚生労働省から社団法人日本柔道整復師会への意見聴取はあるようですが、健保連等の保険者代表に対しては、公式な意見聴取がきちんと行われていないだけでなく、議論の経過も何ら公にされず、保険者にとってはブラックボックスの中で決まっているように感じております。

少なくとも、健保連や協会けんぽ或いは国保連等の保険者代表をステイクホルダー(利害関係者)として、定期的な改定の議論に加える仕組みを作っていただきたいです。