柔整ホットニュース
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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その5 外部委託業者問題とは?―
―保険者からの返戻理由と民間調査会社からの返戻理由は、かなり異なるようで…
高橋 各健康保険組合が調査をする場合には、だいたい負傷名を調査するわけですね。「首・肩等治療しますが、間違いありませんか」と。或いはいくらお金を払いましたかと聞いてきます。ガリバー等の調査会社は病名は聞きません。患者さんの回答は、一番記憶に残っている、長く治療した部位しか答えに書きませんし、又書けないと思います。照会の仕方にかなり問題があると思われます。
杉﨑 保険者の場合、医科との併診等も含まれますし、どちらかといえば原因(施術部位)がありませんという形の調査が多い。ガリバーや大正オーディットなど委託会社は単なる調査会社ですから、勿論部位数・回数(日数)や支払った金額の調査もありますが、人の記憶は不正確な場合もありますので、日々の施術録に実際に施術をした旨を整備しておけば確実な回答は出来ます。保険者は「不支給」という権限を持っていますが、ガリバーや大正オーディットは、単なる調査ですからね。
高橋 協定外と書いてありますが、判断はかなり難しい。我々は亜急性についても施術をしますから、亜急性の疾患というのはどのくらいの期間までをいうかということで、3週間くらいまでは認めて頂ければと思います。また肩凝りにしても様々な要因がある訳で、患者調査の回答が「肩こった」との記載であれば返戻の対象になります。つまり誤解を招く書かせ方ではないでしょうか。
杉﨑 患者調査自体が個人情報の侵害です。本来は「患者さんに関することはやたらに教えられません」というのが常識です。例えば、お医者さんに電話を掛けて「○○さんは何の病気ですか?」と聞くこともなければ、勿論答えるはずもありません。それは守秘義務であり法律で決められているのです。そこを接骨院にかかった人に限って「あなた何処を怪我しましたか。何で怪我しましたか」といったことを、外部の人間が聞く権利はありませんし、あってはならないことです。
保険者であれば、支払い義務がありますから、照会することに関しての説明文をキチンと載せなければ、実際には苦情が来る訳です。例えば交通事故や損害保険の自賠責にしても、全部本人が内容を書くことになっています。施術内容については我々は一切答えられません。
高橋 同意書を持って来られて、初めて答えることが出来るのです。
―民間調査会社の実態をどう思われますか?
高橋 利益がなければ調査をやらないですからね。何%くらいかは知りませんが。
杉﨑 一件、医科がいくら、柔整がいくらって全部値段が決まっていてその値段でやっているように聞いております。全て返戻したものが、利益になるとは限らないとは思いますが・・・。
高橋 どういう基準でピックアップしているかわかりませんが機械的に行っていると思います。どちらかというと、ガリバーの返戻等は再請求を行えば支払ってもらえますので、それほどは気にしていませんでした。しかし、そうではない方で気になる部分がいっぱいあります。これから凄く難しくなっていくと思います。
―保険者さんの狙いは、明らかに安上がりにしたいということであるように思われますが…
杉﨑 確かに、調査することで医療費の削減が出来れば一番いいということでしょう。でなければお金を出してこんな事やる必要はない訳ですから。結局どのくらいのリスク、手数料と職員を雇うのと、どのくらいの差があるかと対価を計算して行っているんでしょうけれども。
高橋 私たちの仕事というのは協定に基づいて行っている訳で、協定に基づいた内容を行うことについては心配する必要はないのです。初検時にしっかり問診をして、初めからその記録を残しておく、いつでも対応できる準備をしておくことが、大事だと思います。そうすれば何も心配することなく請求できると思います。
杉﨑 やることをきちんとやってさえいれば、調査されようが、他の健保組合が直接返戻してこようが何ともないんです。
高橋 何か問題があった時に直接保険組合の代表者に話して問題解決をする、ただそれだけです。
杉﨑 我々の信用問題です。〝先生方、普段何をやっているんですか〟なんて言われるようなことがあってはならないんです。
保険者には患者さんから連絡してもらうのが一番です。そうする事によって我々の信頼性を高めることとなり、調査は無駄ということにつながっていくこととなります。我々は嘘をついてないんだと、患者さん本人がキチンと話をするとこういった調査も来なくなるのではないでしょうか。