柔整ホットニュース

特集

施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その5 外部委託業者問題とは?―

2010/10/16

―患者照会を送ったのに患者から返答がないために「返戻」となり、柔整師が不利になる、そういう時はどんな対応をされているのか?

杉﨑   患者さんから返答がなかった場合は、当会の会員に〝患者さんに連絡を取って100%出してください〟と伝えています。不支給の決定権は保険者にしかありません。ガリバー等の調査会社にはありません。再請求したレセプトが不支給になった例は今まで一件もありません。返戻書類は、毎月保険相談日に全件保険部長・副部長が点検し個別指導の後会員に送り、再請求書類として会事務局に送る流れです。

高橋   5、6年前はこういうことは事務局に任せきりでした。それでは良くないということで、「保険相談日」を設けて会員の相談にのるとともに返戻処理を行うようにしました。
当会は千葉県の健康保険組合とは良好な関係を保っています。千葉県内の健康保険組合ではガリバー等の調査会社には1社も委託していないということでしたから一応安心はしています。
行き過ぎた患者調査は止めてくださいといった話し合いを保険者としながら、方や会員のために利益になることをやっていかなくてはならないということで、保険部長、副部長が一生懸命対処している訳です。ガリバー社にも電話をして〝何でこれ削ってあるんですか〟と聞いてみましたが、やはり調査員は内容を理解していませんでした。又、ガリバーに委託した健康保険組合にも電話しましたが〝委託しているから私らにはよくわかりません〟という返事しか返ってきません。
ご質問の患者さんからの返事がない場合についてですが、私どもいろいろ電話をするなどしました。しかし、患者の言葉は信用できるが柔整師の言葉は信用できないという感じで、とにかく患者さんから答えがない限り支給されないということで泣きを見た例は結構あります。ただし、ガリバー社に関しては再請求すれば必ず支払われると確信を持っています。

杉﨑   ガリバー等の民間調査会社は、例えば部位数3部位を1部位に削減し何件調査したとしての手数料をもらうなど、そういった成功報酬的な仕事です。しかし保険者の場合は実際に「不支給」という決定権を持っていますから、そうではない。「保険相談日」については、高橋副会長が保険部長になった6年位前からこういう形を取り始めました。
患者さんへ送られる調査用紙に書かれている内容(健康保険が使えない場合の注意事項や参考として、「日常生活での疲れや肩こり」「スポーツによる筋肉疲労」「病気(神経痛・関節炎・五十肩・ヘルニアなど)からくる痛みやこり」「脳疾患後遺症などの慢性病」「単なるマッサージ代わりの利用」など記載)を見てわかる通り、調査表を出されること自体で我々柔整師の仕事の範囲が狭められる結果になってしまっている訳です。
これまでは、どこか痛ければ接骨院に行けば治してくれるということで接骨院・整骨院へ来院されましたが、こういったことを書かれてしまいますと患者さんはやはり医学的知識は余りありませんので結果的には営業妨害をされていると同じことになります。
我々は患者さんに説明する義務がありますから、きちんと行えば全く問題はありません。

高橋   保険組合が患者調査等を行うのはしかたがないことです。しかし、民間調査会社においては平等に行われていないという疑いがあるとも聞いています。例えば、社団の会員には厳しく患者照会を行うなどするが、自分たちと同じ系列組織の会員レセプトについては全く患者照会も返戻も無いということがもれ伝わってきます。委託した健康保険組合に知れて「おかしいじゃないか」となれば、契約を打ち切ることもありえます。調査を行う場合、公平性が担保されないといけません。又、私たちが療養費を扱うことができる理由というのは、元々外傷性の疾患だから良いとなっており、それに伴って、治癒にかかる日数等について一定の基準がある訳です。3部位の怪我であれば大きな怪我だからある程度の治療日数が必要で、今後その辺のくい違いが出て来るのではないかと思われます。