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史上最悪の介護保険改定を許さない!院内集会

2022/11/28

☆最後に樋口恵子氏(NPO法人高齢社会をよくする女性の会)が3つの団体を代表して抗議声明文を読み上げた。

史上最悪の介護保険改定を許さない!!抗議声明

介護保険は今年22歳。誕生以来「被虐待児」だったと言われるほど、「改悪」に次ぐ「改悪」が続き、利用者にとっても事業者にとっても使い勝手が悪くなってきたことを私たちは実感しています。今回の改定はなかでも「史上最悪」と言ってよいほどのものです。
国は次期介護保険改定に向けて着々と準備を進めてきました。コロナ禍のもとでの介護職の奮闘すら省みず、国は衆参2つの国政選挙を経た安定政権をもとに、ついに介護サービス圧縮と利用者負担の増大満載の改定案を提示しました。年末までに社会保障審議会介護保険部会の結論が出され、来年1月には閣議決定、令和5年度(2023年度)の通常国会で審議・成立というスケジュールです。
老後の安心を掘り崩すこの改定案をこのまま成立させてはなりません。私たち、介護保険の利用者、家族、事業者、介護職、医療・看護など関連の専門職はこの介護保険「改悪」に強く反対し、抗議します。

【私たちは以下の改悪に反対します。】

1.自己負担2割を標準にするな
現状の1割負担でも経済的に苦しくサービス利用を削る人がいます。また認定を受けた25%の人がサービス利用に至っていません。2割負担を標準にすれば、多くの人が必要なサービス利用を減らす、最初からあきらめるなど、「保険あって介護なし」の事態が起きるのは火を見るよりも明らかです。
高齢者の貧困率は2割を超え、年金は減る一方、昨今の物価高で生活費は高騰しています。負担増よりむしろ負担減が必要な状況です。

2.要介護1・2の訪問介護、通所介護を地域支援・総合事業に移すな
要介護1・2は決して軽度者ではありません。介護サービス利用理由のトップである認知症がある人も、このランクの人々が最も配慮が必要な時期です。市町村による総合事業に移行すると、訪問型サービス従事者は数日間の研修受講で介護の提供が可能になり、適切な支援ができるとは考えられません。
また、要介護認定者に対する介護給付は保険者の義務ですが、「事業」は予算の範囲内で提供するのが原則です。ゆえに上限に達したらサービスを受けることができないことも起きえます。
そして、これまでの要支援者に対する「事業」は、提供者、従事者が不足し機能していない自治体が多いのが現実です。

3.ケアプランを有料にするな
ケアマネジャーが提供するケアマネジメントは、介護保険サービスの入り口です。入り口からお金がかかることで要介護認定を受けても介護保険を利用することへのハードルが上がるでしょう。また有料にすれば適切なケアプランを提案するよりも、利用者や家族に迎合するケアマネが増えることが懸念されます。
ケアマネジャーの役割は、介護サービス利用のためのプラン作成にとどまらず、孤立を防ぐ、虐待を防止する、在宅介護の限界を見極めるなど多岐にわたります。定期的な訪問により、介護が必要な人の心身の状態を確かめ、ケアプランの見直しなどを提案する、在宅・施設を通じて介護保険サービス提供の根幹となるものです。この過程で、医療・福祉・地域の社会資源との連携が必須のソーシャルワーク機能を果たす介護保険にとどまらない視点を求められる業務なのです。

4.福祉用具の一部をレンタルから買い取りにするな
「単価の安い福祉用具」をレンタルから買い取りに変えることは、用具の正しい使い方指導、個人に合わせた用具の調整や定期的な点検が失われることにつながります。また、レンタルであれば状態の変化で適切な用具に変更できたものが、不適切になった用具を使い続ける、不要になった用具が自宅にしまい込まれるなど、資源の無駄遣いが発生します。

5.施設にロボットを導入して職員配置を減らすな
今回の改定には具体的に入っていませんが、AIやICTの導入によって介護施設の職員配置基準を今の3対1から4対1にしようと、実証実験が始まっています。ロボット化を推進したからといって、配置基準を減らす理由にはならず、施設の人手不足に配置基準を緩和することで対応する奇策は許されません。現在でも離職率が高く人手不足に悩む施設介護の配置基準を減らせば、今以上に介護職員の負担を増し、介護の質の低下を招き、介護現場の労働破壊をもたらすでしょう。

介護保険制度は施行以来、改定のたびに制度が複雑化し、使い勝手は悪くなり、介護職員の求人倍率は群を抜いています。もはや「おうちに放置される」ことさえ現実味を帯びてきました。団塊の世代全員が後期高齢者になる2025年まであと2年、こんな制度改悪は断じて許すことはできません。今一度、介護保険が「だれひとり置き去りにしない」制度として、利用者、家族並びに働く人々に安心と安全を保障することを、心から求めます。

   2022年11月18日

               

 「史上最悪の介護保険改定を許さない!!」連続アクション参加者一同

 

樋口氏は〝喜んでください。4番の福祉用具については撤回されました〟と報告し、最後に〝私たちは世界に稀な介護保険制度のある国であるということを誇りに思い、介護の社会化を守り通す初代の市民であるということに誇りを持ち今日の集いはその第一歩です。野垂死にではなく家垂死にという、家に放置されて死んでいく高齢者がこれから増えるのではないのか。人間は生まれた時から人のケアを受けなければ生きられません。そして人のケアを受けなければ無事にあの世に行くことも出来ないのです。このようなケアというものを社会の中枢にキチンと置き直して生活を立てる。キチンとした政策研究を国民の一人として望みます〟と結んだ。この後、記者会見が行われ終了した。

 

 

 
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