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柔道整復師と介護福祉【第59回:相談援助の手法①】

2019/09/16
相談援助の展開過程・各段階の特徴(ソーシャルワークとは?)

相談援助とは、高齢者、障害者、傷病者など援助を必要とする人(クライエント)が抱える問題や課題を解決して、ウェルビーイングの増進と生活の質の向上を目指します。

クライエントが抱く問題はそれぞれ異なり、多種多様です。そのため相談援助を行う福祉施設や機関、ソーシャルワーカーが配置されている機関も多種多様であり、クライエントの抱える問題に適した施設や機関が相談援助を行っています。

 

相談援助の過程
  • (1) ケースの発見
  • (2) 受理面接(インテーク)
  • (3) 問題、ニーズの把握
  • (4) 事前評価(アセスメント)
  • (5) 支援の計画(プランニング)
  • (6) 支援の実施
  • (7) 経過観察(モニタリング)
  • (8) 支援の集結

に分けられます。

 

相談援助の展開過程・方法及び留意点
(1) ケースの発見

クライエントが何らかの問題を持ち、援助の対象になった場合をケースと呼びます。 ケースの発見に、クライエントの中には自ら進んで問題解決をするために相談に来る場合と、家族から勧められたなど、自発的ではないが相談に来る場合が存在します。また、情報提供があった場合、ソーシャルワーカーがアウトリーチによってケースを発見する場合もあります。クライエントは、自分が抱える問題を他人(ソーシャルワーカー)に話さなければならず、自分の問題を知られることや、言いたくないことを話すということで不安やストレスを感じることになると推察できます。

ソーシャルワーカーは、以下を留意します。

クライエントの不安やストレスをできる限り減らす「不安の除去」
クライエントが話しやすいように「ラポールの形成」を目指します。

 

(2) 受理面接(インテーク)

インテークは、相談援助の初期段階であり、ソーシャルワーカーがケースの発見後、初めてクライエントと出会う段階です。この段階では、クライエントがソーシャルワーカーにどのようなことで悩んでいるかなどを話し、ソーシャルワーカーは、クライエントにどのような援助ができるかを話します。そして、クライエントの持つ問題に対し、共同で解決していくことを確認します。(契約)。

ソーシャルワーカーは、以下を留意します。

クライエントの話を引き出すために、「対等な関係」
クライエントのことについて深く知ろうとする「個別化」
話を理解しようとする「傾聴」の態度に留意する必要があります。
また、クライエントの抱える問題が緊急性か否かについても判断する必要があります。

 

(3) 問題とニーズの把握

ソーシャルワークは、人と環境の接点に介入していくことが必要になります。そのため、問題把握も、クライエント本人だけに焦点を当てるのではなく、クライエントを取り巻く環境にも焦点を当てる必要があります。つまり、人と環境の交互作用に着目し、個別化を行いながら情報収集していくのです。

問題の把握と同時期に行われるのがニーズの把握にあたります。
相談援助におけるニーズとは、クライエントの生活の質を高め、生きやすくするためのクライエントから出される希望や要望になります。
希望や要望をよく聴き、クライエントが抱える問題、特にクライエントとその環境の交互作用の状況を把握し、ニーズを把握していくことに留意する必要があります。

 

(4) 事前評価(アセスメント)

アセスメントとは、支援の計画を立てる前の事前評価や査定のことであり、クライエントのおかれている状況を把握し、生じている問題を明らかにすることを目的とします。また、ソーシャルワーカーが一方的にクライエントのアセスメントを行うのではなく、クライエントと協働で行うことで、クライエントとその環境の交互作用を捉えクライエントの状況の変化に対応して、次の段階(プランニング)の前提条件を探ります。そのため、ソーシャルワーカーは、全体の調和を考え、専門職としての価値観や視点で取り組むことに留意する必要があります。

 

(5) 支援の計画(プランニング)

アセスメントができると具体的なターゲットが明確になります。そのターゲットに向けて支援の計画を立てることがプランニングです。

ソーシャルワーク理論は、人と環境の交互作用に着目し成り立ちますが、その中でも「人と社会」、「人と属性」など様々な理論が存在します。

ソーシャルワーカーは、プランニングを行う際、専門職としての価値観と視点を持って、いくつもの理論を組み合わせ、作成していくことが必要です。そしてクライエントに十分に説明し、同意を得られるように留意する必要があります。

 

(6) 支援の実施

プランニングが確定すると、ソーシャルワーカーはクライエントに対し実践的に援助を行います。

ソーシャルワーカーは、地域の福祉施設や機関、NPO団体やボランティアなどと連携をとり、プランニングに沿った援助を行うことが求められます。また、クライエントと環境の接点に介入を図り、調整を行っていくことが求められます。尚、ソーシャルワーカーは、クライエントのプライバシーを守ることに留意する必要があります。

 

(7) 経過観察(モニタリング)

モニタリングとは、相談援助実践開始後、経過を観察・評価することです。プランニングに沿った支援やサービスが的確に進んでいるかなどを確認する必要があります。そのため、モニタリングを行い、クライエント・家族との不都合や、サービスの実践に支障がある場合には、再度アセスメントを行いプランニングを修正する必要があります。

ソーシャルワーカーはクライエントの生活環境の変化、新たなニーズ、クライエントの取り組み状況、サービス提供状況の確認、個人情報の保護と情報の共有などについて留意する必要があります。

 

(8) 支援の集結

相談援助の過程において支援する期間は、クライエントの状況やソーシャルワーカーの機能によって短期であったり長期におよんだりと様々です。どちらにしても、問題解決をクライエントが自らできるようになれば、支援の必要性がなくなり終結の段階を迎えます。クライエントは、ソーシャルワーカーの支援が終了することに不安を覚える場合もあります。特に支援期間が長期になるほどこの傾向が強いです。

ソーシャルワーカーはクライエントが抱く不安への対応について留意しておく必要があります。

 

留意事項

①~⑦の過程はケースの発見から終結まで継続して一連の流れで支援を行う必要があります。
それぞれの段階において留意すべき事項がありソーシャルワーカーはその留意点を自覚し、支援を行っていかなければなりません。

 

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